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[人が中心だ-公共性が崩れた国(3)生命まで金儲けの手段]政府は医療営利化加速

登録:2014-05-20 21:19 修正:2014-09-03 15:14

医療など公共分野も‘収益優先’
装備は増やしても看護人材を減らし
治療費が払えない患者は追い出し
それでも政府は「病院収益増大」

 48才の男性患者ソ・某(京畿(キョンギ)高陽市(コヤンシ))氏は、去る4月初め、結核性肋膜炎で高陽市のある療養病院で亡くなった。 彼は去る1月初め、結核に罹ったという事実を療養病院で確認した。 だが、そこでは肋膜炎を治療するための処置(心臓や肺などがある空間である胸腔に管を打ち込み膿などを取り出す治療)ができなかった。

 総合病院に送ることもできなかった。 基礎生活受給者であるソ氏には、保護者もお金もなかった。 それでも療養病院の社会福祉士が高陽市に緊急医療支援金を申請し、それを持って総合病院に行った。 だが、入院50日後に患者が払わなければならない本人負担金が600万ウォンにもなり、退院を余儀なくされ、再び療養病院に戻って数日後に亡くなった。 療養病院に勤めるある医師は20日「治療できない病気で亡くなるのならば仕方が無いが、十分に治療可能な肋膜炎なのに結局は金がないために亡くなった。 病院の収益が人の命より重要なものなのか」と話した。

 セウォル号惨事で克明にあらわれた‘人よりお金’という論理は、人の生命を直接的に扱う医療分野でも例外でない。 我が国ではいくら良い大学病院があって、世界一の治療法を備えていると言っても、治療費がなければこれを利用できなくなって久しい。 国民の健康と生命を守らなければならない医療を‘収益性’を第1原則とする民間病院にまかせたためだ。

 国内病院の90%は民間病院だ。 これは世界で最も高い水準であり、経済協力開発機構(OECD)平均(28%)はもちろん、‘民間医療の天国’と言われるアメリカ(75%)よりも高い。 民間病院は激しい競争の中で生き残り、利潤を多く残すために収益を追って運営されている。 患者を世話するために必ず必要な看護師は、収益に結びつかないために採用を減らし、各種の高価な検査および手術装備はたくさん持ってきて、患者に‘高額の検査’を薦める。 2010年基準OECD資料を見れば、人口1000人当りの活動看護師数は我が国が2.3人で、比較可能なOECD23ヶ国の中で最も少ない。 反面、保険適用がほとんどできない磁気共鳴映像装置(MRI)は、人口100万人当たり19.9台(2011年基準)でOECD平均(12.5台)よりはるかに多い。

 歴代大統領は毎度のように地方医療院などの公共医療を拡大すると公約したが、守られなかった。 さらに朴槿恵(パク・クネ)政府は遠隔医療許容、病院の営利子会社設立許容など、医療営利化を煽る政策を推進している。 ウ・ソッキュン保健医療団体連合政策委員長は「収益を中心に据えて安全を軽視した結果がまさに‘セウォル号惨事’だ。 そうでなくてもより多い収益のために一目散に走っている国内病院が、子会社を通じて営利付帯事業をできるようにするなど医療営利化政策が続けば患者の医療費はさらに上がり、患者の安全はより一層危険に瀕するだろう」と話した。 キム・ヤンジュン医療専門記者 himtrain@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/638123.html 韓国語原文入力:2014/05/20 20:21
訳J.S(1456字)

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