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‘セウォル号の衝撃’思い出したように… 」今すぐ外へ出なければ」 集団脱出 ヒヤリ

登録:2014-05-02 22:40 修正:2014-05-03 18:33
地下鉄2号線 追突事故‘集団パニック’現実化
大邱(テグ)地下鉄事故の学習効果も加わり
「火災が起きるかもしれない」 「早くドアを開けろ」
乗客1000人余 自らドアを開けて待避
列車の統制ができなかったなら大事故になるところ
2日午後、ソウル城東区(ソンドング)の地下鉄2号線上往十里(サンワンシムリ)駅で車両異常のために停車していた列車に、後から来た列車(左)が追突する事故が起き、両方の車両の前後部分が破損している。 反対側の列車の乗客がガラス窓越しに外を見回している。 キム・テヒョン記者 xogud555@hani.co.kr

見守っていた市民も不安加重
"事故時の安全指示に従わない可能性"

 後方から女性の悲鳴が聞こえた。「早くドアを開けてくれ」 と叫びながら壁をたたく人もいた。「今すぐ外へ出なければ」として乗客全員がドアの前に集まった。 人々は倒れ一部は下敷きになった。

 2日午後、ソウル地下鉄2号線追突事故現場ではセウォル号事故で市民の脳裏に刻まれた大型事故に対する恐怖が‘集団パニック’となって現れた。

 上往十里(サンワンシムリ)駅に停車していた2258号電車に追突した2260号電車の乗客は恐怖に震えた。 座席に座っていたパク・ウンギョン(40)氏は‘ドン’という音とともにからだが右に傾き、ステンレス製柱に顔面を打ち付けた。 その瞬間、停電になった。 パク氏は「人々が右往左往すると‘助けてくれ’、‘119に申告しろ’という叫びが上がった」と話した。 誰かが「車両の前方のドアが開いた」と大声を張り上げた。パク氏は「乗客たちがそちらに我を忘れて押し寄せていった」と伝えた。

 キム・イルヘン(59)氏も衝撃で倒れた。 彼は「人々が‘ドアを開けろ’と大声を上げた」と伝えた。 同じ電車に乗っていたパク・某(24)氏は「2両目に乗っていたが事故で照明が全て消えた。 誰かが‘火災が起こるかも知れない’と大声を張り上げるや、瞬く間に修羅場と化した」と話した。

 2258号の乗客も同様だった。 チャン・スンホ(26)氏は「衝突直後、セウォル号を思い出した」と話した。 チャンさんは「乗客たちが‘今すぐ出て行かなければ’と言った。 誰かが手動でドアを開けようとしたが開けられなかったため後にいた人々が互いに自分がやると言って押し合いになった」と話した。 彼は「乗客たちが悲鳴をあげて、早くドアを開けろと催促し、壁をたたいた」と語った。

 事故直後、乗客1000人余は‘自分の判断で’列車外に出て行き始めた。 最近、地下鉄事故が多かったが‘自発的待避’は異例だ。 セウォル号の乗客が‘現在の位置でそのまま待機しなさい’という案内放送だけを信じて、指示に従って惨劇が起きたことに伴う‘学習効果’のためだった。 地下空間の閉鎖性と停電、2003年の大邱(テグ)地下鉄火災事故に対する記憶と最近の集中報道も恐怖心を最大化させた。 一部の乗客が「冷静に行動しよう」、「落ち着いて」と言ったが、一旦広がった不安は簡単には収められなかった。 反対側の列車と高圧電流などがタイミングよく統制できなければ深刻な人命事故につながりかねない状況だった。

 上往十里駅で電車を待っていた市民たちも不安に震えた。事故直後、駅では「今いらっしゃる方は駅から出て下さい」という放送が繰り返された。 これといった状況説明はなかった。 上往十里駅の地上出入口には救急車と消防車60台余り、消防署員・警察官など200人余りが駆けつけた。 これを見た市民は再び大型事故が起きたと考えた。

 市民たちは9・11テロ後にアメリカ人が体験した‘集団パニック’と同様の心理状態をセウォル号事件後に経験している。 クァク・クムジュ ソウル大心理学科教授は「社会の一般的な信念や規則、約束のようなものに対する信頼が崩れて、人々がパニックに陥った」と分析した。 青信号で渡り、赤信号で停まるという基本的約束が信じられなくなったということだ。 クァク教授は「以前にも地下鉄事故はあったが、セウォル号惨事を体験してから、過去には‘事故’だったことが、今は‘災難’として迫るようになった」と語った。そのために‘待っていてはいけない’、‘早く脱出しなければならない’と考えるようになったという説明だ。

 ファン・ジュンウォン江原(カンウォン)大病院精神健康医学科教授は「セウォル号と大邱(テグ)地下鉄事故を見て、静かに車両内に留まっていれば死ぬという学習効果が生まれた」と診断した。 彼は「韓国はこれまで災難以後に制度整備などがきちんとなされたことがない。 人々は今後も同様な状況では言われたとおりにしない可能性が高い」と話した。

ソ・ヨンジ、パク・キヨン、チン・ミョンソン記者 yj@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/635551.html 韓国語原文入力:2014/05/02 21:23
訳J.S(2137字)

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