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[旅客船沈没 大惨事] 檀園高生の申告で来た警備艇、船員が乗って脱出…申告した高校生は生死不明

登録:2014-04-24 09:10 修正:2014-04-24 15:50
8時52分にすばやい遭難申告
174人の大切な命を救う
申告した当事者は脱出できなかった
海上警察が明らかにした‘申告受付 8時58分’
実際には警備艇を出動させた時間
‘学生による申告を隠そうとしたか’疑いも

 セウォル号事故の時、最初に出動した海洋警察庁の警備艇は、済州(チェジュ)海上交通管制センター(VTS)の連絡ではなく、沈没する船に乗っていた安山檀園高の生徒の電話申告を受けて出動していたことが23日明らかになった。 この生徒は失踪して生死が確認されていない。 結局、警備艇を呼んだ生徒は行方不明になった反面、乗客を待避させなければならない乗務員らが最初にその警備艇によって救助されるという呆れ返る‘逆説的状況’が広がったのだ。 海上警察は当初16日午前8時58分に申告を受け付けたと明らかにし、セウォル号と交信した済州管制センターの連絡を受けて出動したと明らかにしていた。

 23日、済州海洋警察などの説明を総合すれば、セウォル号に乗った檀園高2年6組生徒チェ・某(17)君は16日午前8時52分に全南(チョンナム)消防本部119状況室に遭難申告をした。 チェ君は2分後に木浦(モクポ)海上警察と通話し、木浦海上警察は事故の位置と船の名前などを把握するのに4分を費やし、8時58分に海洋警察の警備艇123艦を出動させた。

 セウォル号はチェ君より3分遅れた8時55分に済州管制センターに事故状況を知らせた。 済州管制センターは1分後に済州海洋警察に連絡した。 済州海洋警察の関係者は<ハンギョレ>との通話で「状況把握をして8時59分に木浦海洋警察に連絡したところ、すでに警備艇が出動した状態であった」と話した。 済州海洋警察はその後も連絡がまともに通じたかを確認するために9時2分に珍島(チンド)管制センターに確認の電話をしたという。 この関係者は「珍島管制センターが通話中なので、すでにセウォル号事故の知らせを聞いて対応をしているものと考えた」と話した。

 だが、当時珍島管制センターはセウォル号事故が起きたこと自体を全く知らずにいた。 木浦海洋警察が警備艇を出動させていながらも珍島管制センターには連絡しなかったせいだ。 木浦海洋警察は出動の8分後である9時6分になって珍島管制センターに事故発生の事実を知らせた。 珍島管制センターはその時初めてセウォル号の事故を把握し、同船と交信して乗船人員が何人なのかなどを把握するのに大わらわだった。 同じ海洋警察庁の所属である木浦海上警察と珍島管制センターも一分一秒を争う急迫した状況で緊密な協力がなされなかったわけだ。

去る16日、沈没するセウォル号操舵室から出た船員が、海洋警察の助けを受けて警備艇に乗っている。/木浦海上警察提供

 海上警察はこれまで遭難申告を受け付けた時刻は8時58分だと明らかにしてきた。 だが、実際にはこの時刻は警備艇が出動した時刻だった。 警備艇の出動も済州管制センターではなく沈没船に乗っていた高校生の申告によりなされていた事実が明らかになり、海上警察が高校生による申告で警備艇を出動させたという事実の露見を恐れて申告受付時刻を意識的に遅らせて発表したのではないかという疑問も提起されている。

 海洋警察の警備艇は出動命令を受けた当時、事故海域と30km離れた状態で事故現場には9時30分に到着した。 その間、船長・航海士・機関士など船舶職乗務員らはブリッジに集まって乗客に「危険だから客室にいなさい」と言った後、自分たちだけが知っている通路などを利用して最初に到着した警備艇に乗って脱出した。

 検察警察合同捜査本部は「機関部船員7人が先に船を離れ、以後に船長など操舵室にいた8人も脱出して、最初に出動した海上警察の警備艇に搭乗していたことが確認された」と明らかにした。 結局チェ君は、自身が申告して呼んだ救助船に乗れず、セウォル号が海中に沈む間、乗客救護義務はもちろん船まで捨てた乗務員らの命だけを救ったわけだ。 危険な状況でも落ち着いて申告して警備艇を呼んだチェ君は、今も生死が確認されていない。

イ・ギョンミ記者、木浦/キム・ヨンドン記者 kmlee@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/634339.html 韓国語原文入力:2014/04/24 08:35
訳J.S(1883字)

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