ユ・ウソン(34)氏のスパイ疑惑を立証するとして偽造された中国政府の公文書を裁判所に提出して大きな波紋を起こした‘国家情報院証拠ねつ造’事件に関する検察の捜査結果が発表された。 検察は国家情報院職員2人を追加で不拘束起訴するものの、ナム・ジェジュン国家情報院長をはじめとする‘上層部ライン’は無嫌疑処分した。 偽造された文書を裁判所に提出した検事2人も免罪符を受け取った。
国家情報院証拠ねつ造疑惑を捜査したソウル中央地検真相調査チーム(チーム長 ユン・ガプクン)は14日午後、ソウル瑞草洞(ソチョドン)のソウル高等検察庁庁舎で最終捜査結果を発表した。 発表内容を見れば、検察はイ・某 対共捜査処長(3級)とイ・インチョル駐瀋陽総領事館領事など国家情報院職員2人を不拘束起訴し、自殺を試みて入院中のクォン・某 対共捜査局課長は時限付きで起訴中止することにした。 イ処長らには謀略証拠偽造および使用、虚偽公文書作成および行使などの容疑が適用された。 国家保安法上のねつ造疑惑は適用されなかった。
検察はこれに先立って先月31日、同じ容疑で国家情報院対共捜査処キム・某課長(別名‘キム社長’)と協力者キム・ウォンハ氏を拘束起訴した。 これで証拠ねつ造事件で刑事処罰の対象になった国家情報院職員は中下位職4人と民間人協力者1人で終わることになった。
検察はイ処長の指示の下、クォン課長とキム課長、イ領事らが証拠ねつ造実務を主導したと明らかにした。 これら3人は、中国和龍市(ファリョンシ)公安局名義の事実照会書とユ氏の弁護人が提出した中国三合辺境検査廠(出入国事務所)の情況説明書に反論する内容の答弁書を偽造した疑いを受けている。 また、偽造された和龍市名義のユ氏出入境記録が‘和龍市が発行したことは事実’という虚偽の確認書をイ領事に作成させた疑いも受けている。
その一方で、ナム・ジェジュン国家情報院長はもちろん、担当局長と団長など‘上層部ライン’は全員疑惑なしという判断を受けた。 ユン・ガプクン捜査チーム長は「国家情報院捜査チーム関係者らは、団長以上の上級者に証拠入手の経緯と関連して報告したことがないと主張し、国家情報院の電文および電文決裁関連調査結果もこの主張に符合する」として、無嫌疑処分の背景を説明した。 イ処長とキム課長らが証拠ねつ造のために中国瀋陽の総領事館に送った電文は2級である対共捜査団長が決裁権者だが、検察は対共捜査局長と団長らが証拠入手の経緯と関連して「具体的な報告を受けたことはない」と述べたことを受け入れた結果だ。
だが、中国公文書の偽造に少なからぬ予算が使われており、中国駐在領事館まで加担させた証拠偽造を3級の処長水準で主導したという説明がどれほど常識に符合するかは疑問として残る。
捜査チームは偽造された文書を裁判所に提出した検事2人も無嫌疑処分した。 ユン チーム長は「国家情報院捜査チーム関連者らは、該当検事たちと協議して証拠入手を推進したと主張しながらも、検事たちは偽造に関与したことがなく、検事たちが偽造した事実を知っていながら証拠として提出したことはないと述べた」と明らかにした。 同様に国家情報院側の陳述が決定的な無嫌疑処分理由になったわけだ。
"(国家情報院・検察が提出した)文書が偽造されたもの" という中国大使館の回答内容が公開(2月14日)されて証拠偽造疑惑に火が点いてから2ヶ月、検察が公式捜査体制に突入(3月7日)してから38日後に出した捜査結果を巡って、検察内外では「予想されたシナリオ」、「尻尾切り捜査」という陰口が聞かれている。 また、国家情報院の嘘を明らかにするために始まった捜査でも、国家情報院の‘話’ばかりに依存したという指摘を避けることはできなくなった。
キム・ウォンチョル、イ・ギョンミ記者 wonchul@hani.co.kr