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【単独】炎に包まれたベッドの上に・・・障害者ソン氏は逃げられなかった

登録:2014-04-14 18:20 修正:2014-04-15 05:25
全身やけど…3日前に“活動支援”申請
一人で動けないのに“3級”と判定され
“緊急福祉”も申請したが無駄だった
一人では動けない3級障害者ソン・グクヒョン(53)氏が13日午前、ソウル城東区の自宅の火事で逃げられずに3度の全身やけどを負った。

 一人ではまともな日常生活が不可能だとして3日前に“緊急活動支援”を要請していた障害者が、家の火事で逃げられず、全身に3度のやけどを負って重態に陥っている。 2012年10月、家の中に広がる炎を見ても逃げられずに亡くなった脳病変1級障害者のキム・ジュヨン(当時33)氏の時と同じ事件が再発したのだ。その後もほとんど改善されていない、ずさんな障害者活動支援サービスが、またも限界を露呈したという指摘が出ている。

 13日午前10時56分、ソウル城東区(ソンドング)上往十里洞(サンワンシムニドン)の連立住宅1階にある“自立生活体験ホーム”から火が出た。通報を受けた消防官が出動した時、ソン・グクヒョン(53)氏は真っ黒に焦げたベッドの上に横たわっていた。現場に出動した消防士は「一人で火を消そうとして手と足、顔などにやけどを負ったようだった」と述べた。消防署は居間から火が出たものと見ている。 “自立生活体験ホーム”は障害者施設から出た障害者たちのための小規模な居住空間だ。

 ソン氏は言語障害3級、脳病変障害5級の重複障害者だ。迫り来る炎を見ても「火事だ!」という短い言葉も言えなかった。普段から相手の言葉に「うん」と答える程度がやっとだったそうだ。 右腕と右脚が使えず、一人で動くことは事実上不可能だった。煙を見つけて通報した家主も「ドアをいくら叩いても人のいる気配がしないので、だれもいないと思った」と述べた。

 ソン氏は昨年10月、25年間暮らしてきた障害者施設を出た。「私が望む生活をするために」とソン氏を助けてきた障害者活動家たちは伝えた。ソン氏は障害者施設から出るに当たって、不便な自分の身体を介助してくれる活動支援サービスを申請しようと国民年金公団に障害等級再審査を要請したが、2月末の基準と同様の3級と判定された。1級障害者にのみ与えられていた活動支援サービスは、故キム・ジュヨンさんの事件以後、2級障害者にまで拡大されたが、ソン氏のように“動けない3級障害者”には利用できないという限界がある。ソン氏の“生活体験ホーム”の隣室には1級障害者も1人住んでいるが、午前10時ころ活動補助人と一緒に外出した状態だった。 ソン氏が通っている障害者教会から昼12時ころ礼拝のために彼を迎えに来る予定だったことが知られて、残念な思いをつのらせている。

 ソン氏は最近「松坡(ソンパ)の三母娘の自殺事件」をきっかけに区役所と住民センターで緊急福祉の申請を受付けているというので申請してみたが、無駄だったという。それでも申請可能だった家事支援サービスは、一ヶ月にやっと24時間だけ支援される。 それも週末には全く利用できなかった。

 ソン氏は火事の3日前の10日、ソウル松坡区の国民年金公団前で開かれた「障害等級制廃止-緊急対策を促す」という記者会見に車椅子で参加した。自立と自活を夢見たソン氏の夢は、火事のために7ヵ月で萎んでしまう運命におかれた。 火災当日の午後に訪ねたソン氏の50平方メートル余りの小さな住まいは、真っ黒に焦げて煤けていた。ソン氏が発見された部屋のたんすの上には、障害者施設から出た9人の“脱施設障害人”にインタビューした本『私のためだと言わないで』が置かれていた。

 <全国障害者差別撤廃連帯>のナム・ビョンジュン政策室長は「障害者の活動支援は、障害等級ではなく、実際に活動支援が必要かどうかによって決定されなければならない」と主張する。

文・写真ソ・ヨンジ記者 yj@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/632567.html 韓国語原文入力:2014/04/14 10:33
訳A.K(1719字)

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