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トイレに名前・写真まで…気まずい‘清掃実名制’

登録:2014-04-09 21:13 修正:2014-04-10 07:15

駅など公共施設 数年来施行
清掃労働者 「知り合いに見られるか不安
上に言われればやるしかない」

主要政策決定には実名制でないのに
与しやすい人にだけ選別適用
人権団体 "過剰行政…人権侵害の素地"
"トイレの前に顔写真をつけられて誰が喜ぶ?"

 9日午後、ソウル駅で会ったある清掃労働者は、トイレの入口に貼られた自身の写真を眺めてため息を吐いた。 人々が忙しく行き来するトイレ入口の側壁には、清掃担当者の写真、名前、事務室の電話番号が記されていた。 その上には‘常にきれいなトイレにするべく最善を尽くします’という字句が書かれている。(写真) 匿名を要請した別の清掃労働者も同じだった。 「行き来する人が多くて、知っている人が見るかと思えば嫌な気分です。 だが、上から言われればやるしかないでしょう?」 韓国鉄道公社が管理するソウル駅舎の男女トイレ10か所の内、管理事務室側を除く8か所にこのような写真が貼られている。

 韓国鉄道公社は2007年から‘顧客中心サービス’を実施するとして、全国すべての駅に施設管理実名制を導入した。 ソウル駅の利用客は一日平均7万5000人余だ。 ソウル駅のトイレの前に写真が貼り出された清掃労働者は、自分の意思と関係なく多くの人々に個人情報をさらしているわけだ。

 ソウル麻浦区(マポグ)の国民健康保険公団も事情は同様だった。‘清潔責任者’という字句の下に清掃労働者の写真と名前が並んで貼り出されている。 ある清掃労働者は「急に必要なことがあったりする時に備えて貼っていると理解している。 公団側が言ったのではなく、管理所長が写真を貼り出すと言った」と説明した。

 それでは公共機関や公企業などで本当に必要な他の実名制もきちんとなされているだろうか。 最近、安全行政部が中央部署と広域市・道の局長級以上が処理した決裁文書を公開すると言ったが、先月28日に蓋を開けてみると47の中央行政機関の局長級以上の決裁書類の中で原文公開サービスが可能な書類は5%にもならなかった。 大統領府は当初から公開対象から除外されていた。 重要政策責任者の実名はきちんと公開しないのに‘与しやすい’人々だけが顔と名前をさらしているわけだ。

 市民も‘トイレ管理者の実名制が絶対に必要なのか’と反問する。 ペク・セラ(31)氏は 「トイレに写真が貼られているのは形式的だという気がする。 電話番号さえあれば十分なようだ」と話した。 イ・某(28)氏は「趣旨は分かるが、個人の人格を侵害するならば他の方法を考えて見るべきではないか」と話した。

 韓国鉄道公社とは異なり、韓国空港公社は去る2月17日から金浦(キンポ)空港など全国14の空港トイレに貼られていた清掃労働者の顔写真を外した。 職員の志気が下がるという意見を受け入れ、名前と電話番号だけが書かれた札に変えた。清掃労働者たちの反応は上々だ。 金浦空港の清掃労働者カン・某(57)氏は「親戚や知人が写真を見るかと思って不安だったが、今は気が楽になった」と話した。 パク・ネグン‘人権中心 サラム(人)’所長は「重要な政策は誰が決めたのかを明らかにしないのに、清掃労働者の顔と名前まで明らかにすることは人権侵害であり、且つ無駄な行政」と話した。

ソ・ヨンジ、パク・スジ記者 yj@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/632024.html 韓国語原文入力:2014/04/09 20:20
訳J.S(1511字)

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