春になればソウル駅は一層込み合う。 全国を巡る営業マンと春の行楽に出かける家族たちが入り混じる。 鉄道旅行はロマンチックだ。 1970~80年代、列車で食べたゆで卵とサイダーは今も広く知られる思い出の味だ。 昨年KORAIL流通とKORAIL観光開発は、ソウル駅舎内の3階通路に弁当専門売場8店を開いた。 汽車マニアのための食事メニューだ。 たれ焼肉、鶏カルビのような韓国料理類から、日本式弁当、タイ式麺類まで多種多様だ。 カジュアルなフレンチレストラン‘ルイサンク’を営むオーナー シェフのイ・ユソク氏とともにその味の違いを調べた。 イ氏は10年余りの経歴を持つ気鋭の新世代シェフだ。
記者:‘タミヨン’は韓国料理で‘たれ焼肉(トッカルビ)弁当’(7000ウォン)が一番売れるといいます。
イ・ユソク(以下 イ):玉子焼きは作ってからいくらも経っていないようですね。一日過ぎても味が大きく変わります。 トッカルビは冷めた状態で食べたせいか少し固いです。 10代、20代が好きそうですね。
記者:作って時間が経った弁当かどうかを確認するには、玉子焼きを味わえばいいんですね。ご飯は過度に 固くてぬくみがありません。
イ:そうですね。 ご飯の味が残念ですね。 冷めすぎでストーブで暖めた昔の弁当を思い出します。 ナムルのおかずは大人たちが、トッカルビは子供たちが好みそうです。 (おかずの)種類は多いけど、何かが足りません。 メインメニューが何かをしっかり見せれば良くなります。
記者:弁当が全般的に日本風に包装されましたね。 日本の駅弁は有名でしょう。その影響を受けたようですね。
イ:タミヨンの弁当は、包装を高級にして補完したようです。(おかずを入れた紙を見て)色感の調和に気を遣っていますね。 草のような感じを与えるでしょう。 私は保温弁当の世代です。 90年代でしょう。 その前の世代は洋銀弁当の世代です。 このような形の弁当はありませんでした。
記者:‘ヌードルボックス’のタイ式麺料理である‘パッタイ’(7500ウォン)が弁当になるとは、変わってますね。 パッタイは米粉で作った麺に緑豆を入れて炒めたタイの麺でしょう。
弁当文化が発達した日本の影響
日本風包装が増えた
ヌードルボックス パッタイ
食べやすくて暖かい
コンさん家のおにぎり 一回の食事として充分
イ:包装が気に入りました。 グーグル検索ホームページのようにスッキリしています。 さらには‘美味’という字句もなくて。 表に8種類の麺メニューが記されているでしょう。 多過ぎもせず少な過ぎもしない個数です。 ひと目で目に入り、10種だったら見る人の集中度が下がります。
記者:列車弁当は時間に追われることが多いので素早く目に映るのが良いですね。 量も多くて、麺にぬくみもあります。 タイ飲食専門店のパッタイと別に差がないですね。
イ:味は良いのですが。 家の前にあれば3日に一度は食べそうです。 事実、原価はそんなに高いことはないでしょう。 全世界の麺料理はみなそうです。 残念なのは、わが国のカルグクスが8000ウォン、9000ウォンなら高いと言う人が多いのに、アーリオ・オリオのパスタなどは2万ウォン台を軽く越えても黙って食べるじゃないですか。 原価差はそんなにないのにね。
記者:そのような理由のために韓国料理をされる方々は悔しがる人が多いです。
イ:ヌードルボックスは持って食べやすく、洗練されていて高級感があります。 ‘高級’を与えるために価格を5000ウォン台程度ではなく7000ウォンにしたようですね。 このような弁当文化を売るというコンセプトのようです。 米粉で作った麺なので小麦粉の麺よりのびない点も長所です。 弁当用に適当です。 ‘最も単純なものが最高だ’をよく示していますね。
記者:20~30代が好むそうです。
イ:特に女性たちです。 一人でご飯を食べるのが以前ほどには負担にならないスマートフォン時代に相応しい弁当のようです。 体積は小さく、ダウンロードした映画でも観ながら、カカオトークや映像通話をしながら食べるのに良いでしょう。
記者:‘バービーボックス’で最も人気がある‘ソウル駅弁’(8900ウォン)を味わいましょうか? ブロッコリー、魚フライ、天ぷら、トッカルビ、卵焼きなどおかずが多彩ですね。
イ:機内食のような感じが少しありますね。 包装はカジュアルな感じがします。 魚のフライと天ぷらは切るのがちょっと不便です。 全体的にちょっとあっさりすればという物足りなさが残りますね。
記者:トッカルビはとても甘いですね。 事実、弁当専門店で売るものを非常においしくするのは容易ではありません。
イ:同感です。 卵焼きは当日焼いたものだし、ご飯は‘タミヨン’よりマシです。 全般的には油っこいです。 我が民族は油っこいのは好みませんよ。
記者:私もクリームソース パスタよりはオイル パスタが好きです。
イ:キムチのような醗酵食品を食べて育った民族でしょう。 腹がいっぱいでも酸度が満たされなければ、どこか何となく寂しさを感じる方々が多いです。 洋食を食べる時でもピクルスが欲しくなります。 私たちは味覚も非常に発達しています。 ご飯を包んで食べるときでも、好きなものを入れて食べるでしょう。 人それぞれ入れる材料が違いますよね。 多彩なおかず文化なので、何を食べた時においしいかが分かる民族です。 舌が無意識に発達したのでしょう。
記者:我が国の醗酵食品に関心が強い世界的なシェフが多いんですよ。
イ:シェフはトレンドに関心が高いのです。 我が国の発酵食品はめずらしいんでしょう。 本来、新鮮なものを使わなければならないのは事実ですが、長く漬けて醗酵食品として味を出すからです。 1ヶ月も発酵させたザワークラウト(ドイツ式キャベツのキムチ)も、わが国のムグンジ(熟成キムチ)とは勝負になりません。 舌先に残るその塩辛さとコクです。
記者:ムグンジは極限の酸味を提供します(笑い)。
イ:バービーボックスの弁当は酸度調節にもう少し気を遣えばという物足りなさが残ります。
記者:日本の弁当ブランドである‘ホットモット’では‘テリヤキ茸丼’(5000ウォン)を準備しました。 初めて(2012年)韓国に入ってきた時、色々味わって見ましたが格別興味は持てませんでした。 四角おにぎりは印象的でしたが。
イ:ご飯は全般的に結構だが、ちょっと甘いですね。 個人的には甘い食べ物が好きです。 それでも甘みが若干強いですね。 全体的な味の調和にもっと神経を使えば良いと思います。
記者:ご飯に丼ソースだけをかければ良いという簡単な食べ物なのに、かえって難しいということですね。 ソースに較べてご飯もとても多いです。‘ココマのりまき’(3000ウォン)食べてみましょうか? 6本入りですね。
イ:持って食べやすく、箸がなくとも食べられて良いですね。 包装が日本風なのがちょっと残念です。 幼い時、学校の前で食べたのりまきを思い出します。 一種類だけで6 本入りなので、ちょっと飽きますね。
記者:ゴマ油がちょっと多いですね。惜しいですね。
イ:油が酸化すると健康に良くありません。
記者:‘ココロ弁当’の‘いなり盛り合わせ弁当’(とびっこ(トビウオの卵)とプルコギいなり寿司. 5900ウォン)食べて見ましょうか?
イ:‘盛り合わせ’より一つの部類だけある方がいいです。肉ならば肉、魚ならば魚でね。
記者:とびっこいなり寿司はいまいちですね。 新鮮さが生命なのに。 プルコギいなり寿司は美味しいです。
イ:魚卵類は冬でも危ないです。 キムチが意外とおいしいですね。 酸味が適当にあります。 プルコギいなり寿司はいい味です。
記者:この頃はキムチを辛くしないで、あたかもサラダのようにさくさくかむ味を生かして作るレストランが多くなりましたね。 これも似ていますが。‘Sランチ’は他所とは違いサンドイッチ類があって‘牛プルコギ丼’(8500ウォン)も一緒に注文しました。
イ:サンドイッチはあまりに冷めていて長所が生きないですね。 パンに勝負をかけるか、中に入れるハムやチーズに勝負をかけるか、選択と集中が必要だと思います。
記者:パンがとてもおいしくないですね。パンがまずければ食べたい気持ち自体がなくなります。
イ:牛プルコギ丼は味わった弁当のうちで、ご飯が一番美味しいですね。 家のご飯を思い出します。 機内食風の感じもちょっと出ていて。 他のおかずはいまいちですが。 レタスもあまりに広がりすぎで、鶏肉は固いです。
記者:レタスの下にあるサラダ用パンは残念です。‘コンさん家のおにぎり’のマグロキムチおにぎり(2500ウォン)食べてみましょうか?
イ:‘コンさん家’は有名ですね。 無難な味です。 手に油がつくところだけ、ちょっと改善すれば良いです。 一食の食事として充分に見えます。 忙しい会社員や大学生にも好まれそうですね。 ケチの付けどころがありません。
記者:追憶も蘇り、手軽で良いですね。 1~3位まで選ぶとすれば?
イ:ヌードルボックスが1位、2位がコンさん家おにぎり、3位がココマのりまきとココロ弁当ですね。
昨年11月から今年1月まで、KORAIL流通などが集計した販売順位は、ココマのりまき(子供のりまきとマグロ子供のりまき), コンさん家おにぎり(マグロキムチおにぎり),ヌードルボックス(パッタイ)の順だ。
パク・ミヒャン記者 mh@hani.co.kr