本文に移動

[無罪判決内容と問題点] ‘大統領選挙介入’情況無視した判決…裁判所、警察主張だけを受容

登録:2014-02-06 23:39 修正:2014-02-07 16:24
キム・ヨンパン前ソウル地方警察庁長官が6日午後、ソウル瑞草区(ソチョグ)のソウル中央地裁で開かれた宣告公判を終えて、取材陣と裁判所警備官などに囲まれ裁判所を出るところ。 パク・ジョンシク記者 anaki@ahni.co.kr

 6日ソウル中央地裁刑事21部イ・ポムギュン裁判長は、公職選挙法違反と職権乱用などの容疑で起訴されたキム・ヨンパン(56)前ソウル地方警察庁長官の判決文を読む前に 「証人が陳述をすることになった背景と情況を総合して、被告人の内心に選挙介入意図があったかを判断した」と話した。 警察が2012年12月大統領選挙の直前に国家情報院職員キム・ハヨン(30)氏のノートブックPCなどを分析した後、文在寅(ムン・ジェイン)・朴槿恵(パク・クネ)支持・誹謗の疑いがないという中間捜査結果を発表する過程で、キム前庁長の選挙介入意図を明らかにする‘客観的’物証がないためだ。 キム前庁長の犯罪意図を判断する部分は、法理を問い詰める領域よりは裁判官の良心領域に近い。 裁判所は検察側主張を全て排斥し、キム前庁長と警察官多数の主張を全て受け入れ、選挙介入意図はなかったという判断を下した。 だが、検察が提起した疑問に対する明確な答は示さなかった。

■疑惑が不明なのに‘疑惑なし’という結論が妥当?

 ソウル警察庁デジタル証拠分析チームは、当時国家情報院職員キム・ハヨン氏のノートブックPCから多数のIDとインターネット活動の痕跡を見つけた。 これに対して裁判所は自ら "犯罪の疑惑が不明だった捜査初期に発見されたもので、当時はその意味が不明確だった一部の証拠" と判断した。 裁判所は続けて "捜査が終結して追加証拠が多数確保され、関連者が起訴までされた‘現在’の観点により意味を付与した後に規範的な判断基準を突きつけ被告人や分析チームが誤ったと主張することには納得が行かない" と話した。

 だが、裁判所の言葉通り、当時キム氏の大統領選挙介入疑惑が明らかでなかったとすれば、警察は‘疑惑なし’という結論を出さないか、または中間捜査結果を発表せずに捜査を継続することが正常だった。 当時、有権者が関心を持ったことは国家情報院職員が大統領選挙に影響を及ぼすためにインターネット掲示文・コメント活動をしたか否かであった。 正常な手続きならば、警察がすでに大統領選挙介入疑惑の端緒を発見していた以上、捜査をさらに進めるべきだった。 それにもかかわらず、警察は被疑者であるキム・ハヨン氏の意見により‘文在寅(ムン・ジェイン)・朴槿恵(パク・クネ)支持・誹謗文’に分析範囲を縮小してキム氏のノートブックPCを分析した後‘文在寅・朴槿恵支持・誹謗の疑いはなかった’と発表した。 これにより有権者は大統領選挙介入活動は一切なかったものとして受けとめた。

‘疑惑なし’捜査結果発表が妥当?
投票者の心を変える事案…不明な時は発表しないことが正常

報告書に‘疑惑なし’表記 異見?
分析官署名拒否 反発…単純ハプニングとみなす

クォン・ウンヒ課長陳述には信憑性がない?
検察‘警察による合わせ込み’指摘にも裁判所は認めず

 分析報告書に‘疑惑なし’という単語を使ったことと関連して、分析官の間で異見があった点に対しても、裁判所は "普段は専門分析官でないキム・某チーム長の個人的な意志を分析報告書に反映したことにより発生したハプニング" とし、納得し難い判断を出した。 裁判所は "文在寅・朴槿恵支持・誹謗文が発見されなかったという点が報告書に記載された以上‘疑惑事実’の意味に対して大きな意味を付与しないままに単純に文章をなめらかに修正するという次元でキム チーム長がこのような提案をしたに過ぎない" と判断した。

 だが、関連捜査を行った警察官は、裁判過程で証拠分析報告書に‘嫌疑’という単語を使う事例は殆どなかったと何回も述べた経緯がある。 非専門家が報告書には通常使わない‘嫌疑’という表現を使おうと提案し、報告書を専門的に書く分析官が署名を拒否するほどに異議を提起したが、単純に文章をなめらかにするという次元で生じたハプニングだということだ。 ‘嫌疑’表現について裁判所は "事件の内容、分析官個人の指向により報告書の内容は十分に変わりうる" と話した。

■クォン・ウンヒ vs 多数の警察官、信憑性判断は多数決?

 裁判所は捜査外圧を暴露したクォン・ウンヒ当時水西(スソ)警察署捜査課長の陳述に対して "信じられない" と判断した。 その理由を、クォン課長を除くすべての警察官の証言が互いの陳述に符合するためと明らかにした。 裁判所は "ソウル警察庁の分析官および幹部はもちろん、水西警察署職員全員がそんなことはないと一致して述べている。 クォン・ウンヒ課長の陳述が客観的事実関係に明確に背馳する部分が多く、信憑性が顕著に落ちると見える" と結論づけた。

 検察は多数の警察官が互いに口裏を合わせたと主張した。 実際、法廷で警察官らは検察で行った陳述を翻意したり回避したりした。 裁判所もたびたび "質問に対する返事をするのでなく、あらかじめ準備してきた答えを話しているという感じを受ける" とか "警察がみな固く団結して言葉を変えているという印象を検察が感じることが心情的に理解できる" と話しもした。

 だが、裁判所は判決文で "他の警察官たちの陳述も検事調書で一部曖昧に記載された内容が、この法廷で趣旨が明確になった以上、被告人に不利な陳述をして翻意したと評価することもできない。警察内部で立場、個人的指向など利害関係が異なるすべての警察官が相当な時差を置いて互いに謀議して陳述内容を虚偽で合わせたとはとうてい見られず、そのような疑いを持つ事情も記録に見られない" と明らかにした。

 実際、裁判で検察は "警察庁職員がモニタリングした内容を伝え聞いて、互いに口裏を合わせて出て来ているという意見書を出さざるを得ない" と公開的に問題を提起した。 証人たちも検察で述べた内容を警察監察の時に報告したと法廷で述べもした。 警察内部捜査資料が弁護人を通じて裁判所に提出されもした。 だが、裁判所は陳述を合わせた可能性を認めなかった。 検察関係者は "分析官らは事実上キム前庁長と共犯関係と見られるにも関わらず、裁判所がこのような警察官らの話をそのまま受け入れたことは納得し難い" と話した。

 クォン・ウンヒ課長が「報道資料配布前に一日だけでも捜査チームに時間を欲しい」と話したし、報道資料配布後にキム・ハヨン氏が書いた政治関連文が発見されるやイ・グァンソク署長が「ソウル警察庁が私を殺そうとしているんだな」と話した事実なども当事者が法廷で否認したという理由でクォン課長の話を信じなかった。

 この他にも検察が押収したソウル警察庁キム・某企画室長の業務日誌には、分析結果が出る前日に開かれた会議で予想質問・返答内容を議論しながら書いた内容の中で "削除した内容を復旧したところ、特定候補誹謗・支持コメントを発見できなかった" という字句が記されていた。 これに対して裁判所は "その当時、分析範囲に該当する文が発見されなかった状況を基に、例示的に作成したものと見られる" と解釈した。

イ・ギョンミ記者 kmlee@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/623070.html 韓国語原文入力:2014/02/06 22:45
訳J.S(3181字)

関連記事