ソウル龍山(ヨンサン)区にある某高校は最近、来年から使用する歴史教科書の選定を前にして論争に巻き込まれた。親日・独裁の美化と数えきれないほどの誤記により批判の的になっている教学社の教科書。それを校長自ら選定するように圧力をかけ、教師達が反発しているという。
この学校の某教師は24日<ハンギョレ>との通話で、『聞いた話によると、校長が教学社の教科書を選定するよう圧力をかけたらしい。でも一人の歴史担当教師が校長に強く反対の意を示したため、無かったことにされたと聞かされた』と伝えた。この学校の校長は『教学社版は教学社版なりの長所があり、他の教科書もまたそれなりの長所がある。だからよく見比べて選択するように言い聞かせたことは確か』と述べた。
通常の高校が歴史教科書を選定する過程は以下の通りである。まず、検定をパスした8種の教科書の中から教師達が3種を選択する。その後は校長がそれを確定し、学校運営委員会が最終決定を下す。しかし、この学校はまだ、初期段階の「3種の教科書の選択」すら済ませていない。
ソウル瑞草(ソチョ)区のO高校でも似たような事態が起きた。この学校の関係者の説明によると、ソウルの江南(カンナム)地域に属する高校の校長会があって、そこで会長を務めているこの学校の校長が「校長会の協議結果」だとして、『極左教科書三種と、極右一種を、選定から除外するよう』指示したとのこと。しかし歴史担当の教師達は「非合理的」と反対している。
この様に、一部の学校では歴史教科書の選定による様々な葛藤が露になっている状況だが、来年から現場で教材として使用される教科書の中で、教学社版教科書が使われる可能性はあまり無いだろうと、ほとんどの教師達は見ている。
教学社版教科書が親日・独裁の美化など観点に欠陥がある事もあり、教育府の修正命令が下された以降にも歴史学で代表的な7つの学界が検討した結果、およそ652件の問題点が発見された。おまけに大学修学能力試験(センター試験)等、各種のテストにおいても適切ではないとの指摘が後を絶たないからである。全国教職員労動組合(全教組)ソウル支部関係者も『ソウル地域の場合、採択率0%の可能性もある』と伝えた。
一方、民主党のト・ジョンファン議員が調べた結果、教学社版は検定をパスした後、修正審議過程の途中で勝手に42ヶ所を書き換えたことが発覚した。書き換えたのは誤植、表記など、大部分は間違った部分の修正だった。しかし、写真や引用などの資料を削除、変更した部分もあり、新しい文章を付け加えた部分もあった。教科書の修正事項は大小を問わず、必ず教育部の承認を得なければならないとされている。
ト・ジョンファン議員は『教育部は今からでも教学社版の承認を取り消すべきだ。また、(最終承認を下したことにより)このような問題を引き起こした責任もとるべき』と指摘した。
ウム・ソンウォン記者 esw@hani.co.kr