政府が27日夜、水西(スソ)発KTX子会社の鉄道運送事業免許を電撃的に発給し、政治圏・宗教界・市民社会の鉄道スト事態の解決に向けた仲裁努力が水の泡となった。同日、労使交渉と国会環境労働委員会の仲裁過程が進行している間にも、政府は免許発給手続きを着々と進めていた。表では対話するふりをしながら、実際には一歩の譲歩もなしに政府の計画を推し進めたわけで、仲裁に努力した人々を一斉に“馬鹿”にしてしまったという嘆息まで出ている。
ソ・スンファン国土交通部長官は同日夜、政府ソウル庁舎で記者会見を開き、「水西(スソ)発KTXの運営免許が発給された。いよいよ鉄道競争時代が開かれた」と述べた。鉄道スト撤回も注文した。
政府はまるで進撃するように、当該子会社の設立と免許発給を推進してきた。同日KORAILが労使交渉決裂を宣言するや、スピードを上げた。大田(テジョン)地裁が同日、 KORAIL の法人設立費用の認可申請(法人設立費用50億ウォンにこれまで使用した15億ウォンを含めて認めてほしいという要請)を受け入れるや、KORAILは午後4時頃、遅滞なく裁判所に法人設立登記を申請した。大田地裁は4時間半後の夜8時30分頃、夜間当直者が登記申請を認可。続いて国土交通省は夜9時、この法人に鉄道運送事業免許を発給し、夜10時ソ・スンファン長官の記者会見が始まった。登記申請後5時間で、110年の歴史を持つ鉄道産業において一寸先も見通せないような“大変革”が完了し、教育・医療へと拡大される民営化の第一歩が踏み出されてしまったわけだ。
9日に開始された鉄道スト事態解決の核心争点は、ほかならぬこの免許発給の是非だった。子会社設立を民営化の始まりと見る鉄道労組にとっては、切迫している免許発給の中断が対話の基本前提であり、ストの撤回条件だった。しかしKORAILは子会社設立のために、10日の理事会の法人設立議決、12日の免許発給申請を経て13日から法人設立登記申請手続きを進行中だった。政府は、鉄道事業法に基づき法人設立登記が完了し次第、法人免許を発給するという既存の方針を表明してきており、27日には、一日で残りの手続きをすべて終えたことになる。
このようにスピードを上げた理由は、朴槿恵(パク・クネ)大統領がストの中盤で「民営化しないという政府の言葉を信頼しない名分なき不法スト」と言明した厳罰方針に、国土交通省とKORAILが一糸乱れず従った結果と見ることができる。子会社設立と免許発給を後戻りの利かない確定事実として釘をさし、労働界が28日に開催する全面スト集会を弱化しようとする意図もうかがえる。チョ・ドンムン カトリック大教授(社会学)は「国会はもちろん与党も全く不要という、大統領と大統領府参謀数人が国政を壟断する姿であり、非常に憂慮される」と述べた。
鉄道労組側は、水西(スソ)発KTX子会社が事実上設立完了となった以上、対政府闘争に集中する意思を表明した。チェ・ウンチョル鉄道労組スポークスマンは「免許を発給したからと言って、鉄道民営化問題が終わったとは考えない。政府が対話そのものを無視し、結局一方的に(免許発給を)強行したものであって、労組の闘争が中断されると考えるのは妄想だ」と話した。
イム・インテク、キム・ジフン、パク・スジ記者 imit@hani.co.kr