「国民が支持するスト、大衆の前に立つのが正しいと判断」
「民営化反対は信念…私一人捕まえたからといってストは止まない」
「今一番難しいのは、私たちの前にある巨大な壁だ。大統領、総理、国土交通部長官、与党代表・議員たちという壁だ。果たしてそこに小さな亀裂でも生じて、光が差し込んでくることがあるだろうか。国民が呼応してくれ、無惨な公権力投入も見た。このまま引き下がることはできないと考えて、危険を覚悟でまた戻って来た。公権力をもってしては、このストを中断させることはできない。」
26日で18日目となる鉄道ストを率いているキム・ミョンファン(48)全国鉄道労組委員長が、去る22日、全国民主労働組合総連盟(民主労総)に警察が乱入する直前に潜伏して4日ぶりに、<ハンギョレ>とのインタビューで姿を現わした。警察の検問と追跡を避けて逃避を続けたキム委員長の顔は、以前より黒くなりやせて見えた。ソウルと首都圏一帯で身を隠していたという彼は同日夜、ソウル貞洞(チョンドン)の民主労総事務室で安否を尋ねる記者に「大丈夫だ」と答えた。だが、腰の具合が悪いのか、少しかがんで歩いていた。ストの正当性を話す時だけは目に鋭い光が宿っていた。
警察の進入が始まった22日の夜明け前、警備の網をかいくぐり民主労総から抜け出したキム委員長は4日目の26日夕方、1階入り口から民主労総に入ってきたと言った。キム委員長は「建物の前に人がたくさんいたので、入ってくるのにそれほど困難はなかった」として、「宗教施設も考えたが、指揮部である自分が行けば大きな負担をかけることになる。警察に完全に露出することになるとしても、国民が支持するストなら、大衆の前に立つのが正しいと判断した」と語った。
-これまでどこにいたか。
「ソウルと首都圏にいた。(ソウルの曹渓寺(チョゲサ)に身を隠した)パク・テマン副委員長の方とは別に動いていた。 民主労総が蹂躙されるのを見ながら、果たして安全なところはどこか悩み、また、指導部の不在による組合員たちの不安感を考えて悩んだ。」
-ストは20日目が目前だ。最長期ストが可能な理由は?
「当初6日のプログラムでストライキを始めた。勤務パターンにより全職員が職位解除されるまでの期間が6日で、それを最大値として見た。特に“不法スト”として政府及び会社側が世論を煽るだろうから、3~4日を超えることは難しいと見た。ところが、これまで石を投げつけてきた国民の代わりに、私たちの話を聞いてくれる国民が出てきた。一方的な罵倒でなく、労使、労政の攻防に耳を傾けてくれている。 論理では私たちに自信がある。」
政府はこの22日、鉄道ストを急いで終息させようと、民主労総にまで強制的に押入ってスト指導部を追跡したが、失敗した。会社の職位解除-告訴-懲戒、警察捜査、民主労総乱入といった政府の強硬策により葛藤は激化し、歴代最長のストまで生み出した。
-ストを撤回する余地はないか?
「ストは止まない。我々の要求は一貫している。金大中(キム・デジュン)政府の時から試みられた民営化に反対する中で、私たちにとっては一種の信念になっている。(子会社を通しての)事業分離もやはり、公企業の重複業務をなくすという政府の政策と衝突する。来年は貨物部門を分離するという話が出ている。市民も民営化を民生の問題として受け止めている。"
-改革が必要だということも事実ではないか。
「鉄道改革は必要だ。 しかし、負債解消と支配構造の改善が先になされなければならない。国土部が社長から管理者の1人まで統制する構造では、自律経営は不可能だ。 17兆ウォンの負債のうち政策の負債が10兆を超える。内部の運営赤字が解消できれば、長期的に優良企業を作ることができる。そのことをチェ・ヨネ社長も知っている。」
キム委員長は「公権力ではこのストを中断させることはできない。委員長一人捕まえたからといってストは止まらない」と述べた。 「公権力が投入されたらどうするか分からない」と彼は言った。この20日、妻と小学校5年生の息子が民主労総まで会いに来た。大学入試を準備中の娘には会えなかった。家族との連絡も絶ち、2013年のクリスマスはこの政府の指名手配令の下で過ごした。再会の日もいつになるか分からない。ストは第2ラウンドを迎えた。
イム・インテク記者 imit@hani.co.kr