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[単独] 密陽(ミリャン)住民 2人の死の背後には…不十分な‘送電塔説明会’

登録:2013-12-13 09:35 修正:2013-12-13 12:02
韓電、事業初期説明会を開催したが
送電線が通過する村で0.6%の出席率
葛藤が大きくなっても具体的説明は聞けず
後になって "家の前を通過" 伝え聞いた2人
苦悩の末に一ヶ月後に命を絶つ

 去る6日に亡くなった慶南(キョンナム)密陽(ミリャン)の住民ユ・ハンスク(71)氏は、超高圧送電塔が自身の畜舎と自宅付近を通過するという事実を最近になって知った後、自ら命を絶ったことが明らかになった。 昨年1月に焼身自殺したイ・チウ(当時74才)氏もやはり送電塔が自身の畑に建設されるという事実を後になって知るようになった点を考慮すれば、韓国電力公社(韓電)の不十分な説明および意見取りまとめ手続きが相次ぎ起きた悲劇の一因であるわけだ。

 12日<ハンギョレ>による取材の結果を総合すれば、ユ氏は11月5日に自宅を訪ねてきた韓電職員から自身の畜舎から310m離れたところを送電線が通過するという事実を初めて伝えられ、12月2日夜に服毒し6日に亡くなった。 ユ氏の隣人である住民ハ・某(72)氏は「一ヶ月間ユ氏は送電塔問題で苦しんでいた。 以前に住民説明会とか公聴会のようなものがあったのかは私たちは知らない」と話した。 韓電関係者は「送電線近隣に畜舎がある場合、家畜被害問題を協議するために順番に訪問している。 ユ氏の畜舎にもそのために訪問した」と説明した。

 ユ氏の自宅と畜舎がある密陽市上東面(サンドンミョン)コジョン里はまだ送電塔工事が始まっていない。 韓電は2008年に密陽市超高圧送電塔工事を始めたが、今頃になってユ氏に送電塔の具体的な位置と、畜舎は補償範囲外という事実を知らせたわけだ。

 結局、ユ氏は事前に送電塔工事に対する意見を明らかにする機会もなく、一方的な通知だけを受ける形になっただけでなく、あらかじめ土地と畜舎などを処分する機会まで失った。 同じ村の60代の住民は「韓電の人が来た後、何も問題のなかった人が酒を大量に飲むようになり苦しんでいた。 畜舎からそんなに近いという事実を知った一ヶ月後にあんな事故が起こった」と話した。 ユ氏の息子ユ・ドンファン(44)氏は「後になって畜舎を売ろうとしたが、近隣に送電塔が立てられるという事実が知らされ半額でも売れなかった」と話した。

 昨年1月16日に焼身したイ・チウ氏も、2011年12月中旬に‘密陽市庁公務員’と名乗った人から「送電塔が立つ予定なので供託金を受け取れ」という電話通知を受けた。 数日後には同じ内容の書留郵便物も来た。 イ・チウ氏の弟イ・サンウ(73)氏は「兄が焼身する一ヶ月前、電話を受ける時まで私たちの土地に送電塔が立つという事を全く知らなかった。 村のどこかに送電塔ができるということしか知らなかった」と話した。

 二人の住民の自殺は、送電塔建設過程で住民に対する説明および意見取りまとめ手続きが不十分だったという点を如実に示している。 去る7月、密陽事態の仲裁のために構成された専門家協議体の検討報告書を見れば、住民説明会は事業推進序盤の2005年8月23~25日に面単位で開かれた。 参加した住民は丹場面(タンジャンミョン)50人、コジョン里が属する上東面(サンドンミョン)38人、府北面(プブンミョン)10人、清道面(チョンドミョン)28人に過ぎなかった。 イ・チウ氏が暮らしていたポラ村が含まれる山外面(サンウェミョン)では、住民たちの反発により説明会が全く開かれなかった。 送電線路が通過する5ヶ面の人口2万1069人中、参加したのは0.6%だけという事実上の要式行為に終わった説明会であったわけだ。

 以後、密陽送電塔建設論難が広がる渦中でも、村単位の具体的で公式的な説明は行われなかった。 コジョン里の住民キム・某(61)氏は「村役場で説明会を開けば良いものを、村の人々は内容がよく分からずに参加しなかった。 老人たちが大部分で、自分から積極的に情報を見つけることも難しい」と話した。 イ・ゲサム‘密陽765kV送電塔反対対策委員会’事務局長は「故ユ・ハンスク、イ・チウ氏は送電塔建設地点を後になって認知して衝撃を受け亡くなった。 事業計画を透明に公開して住民たちと十分に対話しない限り、このような悲劇が再び発生する可能性がある」と憂慮した。

 これに対して韓電関係者は「住民説明会を正常に開いたのに、事業計画について知らずにいたという主張には納得できない」と話した。

ソン・ホギュン記者、密陽/イ・ジェウク記者 uknow@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/615243.html 韓国語原文入力:2013/12/13 08:23
訳J.S(2013字)

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