14日、イ・ソクキ統合進歩党議員らの内乱陰謀事件2次公判で核心証拠よして検察が提出した録音ファイル44ヶ中9ヶの原本録音ファイルが破棄されていた事実が明らかになり、録音ファイルの証拠能力を巡って鋭い攻防が繰り広げられた。 弁護団は「原本でないデジタル証拠は最高裁判例に照らして証拠能力がない」と主張し、検察は「内乱陰謀・扇動がなされた5月の集いの録音ファイルは原本が存在する」と対抗した。
水原(スウォン)地裁刑事12部(裁判長 キム・ジョンウン)審理で開かれた公判で、検察側証人として出てきた国家情報院職員ムン・某氏は「情報提供者イ・某氏から5月の集いを含め2011年1月から去る9月までの参席者発言内容などが含まれた録音ファイル44ヶを渡され、直接録取録12ヶを作成した」と話した。
録音ファイルの内11ヶは情報提供者イ氏がムン氏に任意に渡したものであり、残りのファイル33ヶは裁判所の通信制限措置(盗聴)許可書を受けた後に情報提供者に録音を要請して受け取ったものとムン氏は検事の質問に答えた。
‘デジタル録音機を使ったが原本ファイルは保管されているか’という検事の質問に対して、ムン氏は「情報提供者から任意で受け取った録音ファイルは破棄した。 デジタル録音機には他にメモリーカードがなく、録音ファイルを国家情報院のコンピュータや外装ハードディスクにコピーし、録音機にあった原本ファイルは録音容量が少なかったので消した」と証言した。
弁護団側は‘デジタル証拠は原本を提出しなければならない。 原本でない証拠には証拠能力がない’と主張した。 最高裁は2012年、録取録作成の土台になった原本録音テープの証拠提出をせずに録音者の証言および録音のコピーであるCDに対する検証を実施したということだけでは録取録を有罪の証拠として使えないと判示した経緯がある。
これに対し検察は補充質問で「いわゆる5月の集いの録音ファイルは原本そのままを証拠として提出した」というムン氏の返答を引き出した。
核心証拠と言うべき録音ファイルのいわゆるhash値も議論になった。 hash値は特定ファイルの損失・圧縮過程を表わすことによって電子記録の変造有無を示す値であり、‘電子指紋’と呼ばれる。 デジタル資料はファイル情報、録音周波数帯域、hash値を利用して原本資料との同一性を確認できる。 ムン氏は「録音ファイルをコピーする場合、国家情報院の専門家がhash値を付けた」と話した。 検察は再び補充質問を通じて「録音ファイルをコピーする場合、情報提供者が立ち合いの下でhash値を付与した」と主張した。 これに対し弁護団は「国家情報院情報提供者が立ち会ってhash値を付けたものは客観的証拠能力がない」と対抗した。
国家情報院が録音ファイルを録取録に移す過程で偽・変造したという疑いと関連して、ムン氏は「よく聞き取れない部分は括弧を付けて引用符処理した。 変造はしていない」と話した。 これに先立って弁護団は‘宣伝実行’が‘聖戦実行’に変わるなどの録取録かけはぎ疑惑を提起した経緯がある。
これに先立って国家情報院は、この日朝、いわゆる地下革命組織ROの資金源を見つけるとしてイ議員が代表を務めるCNPグループ、分かち合い環境事務室、5月の集い参席者の住居地など18ヶ所に捜査官を送り押収捜索を行った。 弁護団は「裁判が進行中の状態での主要証人に対する押収捜索は、証人尋問の内容を前もって見ることと同じだ」として反発した。
水原/ホン・ヨンドク記者 ydhong@hani.co.kr