内乱陰謀などの容疑で拘束起訴されたイ・ソクキ統合進歩党議員が、内乱陰謀を扇動したといういわゆる‘5月の集い’発言の一部内容を国家情報院が‘かけはぎ’したという主張が出てきた。 また、国家情報院がいわゆる‘内部情報提供者’を利用して録音した44ヶの録音ファイルも捜査官ではない第3の私人に任せることを禁止した通信秘密保護法に違反して不法収集された証拠だという主張が提起され、証拠能力論難が起きている。
31日、水原地裁刑事12部(裁判長 キム・ジョンウン)で開かれたイ・ソクキ議員らの3次公判準備期日でイ議員らの共同弁護団は「公訴事実の核心証拠と言える録取録がイ・ソクキ議員の発言を歪曲したものであり、録取録44ヶ全てが違法に収集された証拠なので、裁判で証拠として使うことはできない」と主張した。
弁護団は 「検察が証拠として提示した録音ファイルと録取録を比較した結果、イ・ソクキ議員の発言内容のうち‘具体的に準備しよう’という言葉が‘戦争を準備しよう’に、‘宣伝’が‘聖戦’にそれぞれ歪曲された事実を確認した」と明らかにした。
また 「イ議員の‘戦争反対闘争を訴え’は‘戦争に関する主題を訴え’に‘(天主教)切頭山(チョルドゥサン)聖地’という表現は‘決戦聖地’に同じく歪曲されたが、これは違法に収集された録音ファイルのコピーといえる録取録の主要部分が歪曲加減されたものであり証拠能力がない」と主張した。
検察は2次公判準備期日である去る21日、イ議員が5月12日ソウル麻浦区(マポグ)マリスタ教育修士会講堂で行った講演内容を含め計70時間分にあたる44ヶの録取録と録音ファイルを裁判所に内乱陰謀および扇動などの疑いに関する主要証拠物として提出した。 しかし国家情報院が‘内部情報提供者’を利用して録音したことは私人(民間人)への録音聴取の執行委託を禁止した通信秘密保護法に違反した違法証拠という点も提起された。
弁護団は「録取録1~11番の録音ファイルは捜査機関である国家情報院がいわゆる‘情報提供者’であるイ・某氏にデジタル録音機を提供し、ホン・スンソクらとの対話内容を録音させたもので、犯罪捜査のための通信制限措置(盗聴)許可などを受けていない不法録音」と明らかにした。
残りの33ヶの録音ファイルに対して弁護団は 「国家情報院が情報提供者を利用して相手との対話の録音および聴取をしたが、これは捜査機関員でない第三者に録音および聴取に関する執行委託を禁止した通信秘密保護法に違反したこと」と主張した。
現行通信秘密保護法(9条1項)は‘通信制限措置はこれを請求または申し込んだ検事、司法警察官または情報捜査機関の長が執行するが、ただし盗聴の場合に同じく逓信官署などの通信機関に執行を委託したり協力を要請できるだけで、私人に執行委託できるという規定は別にない。
また、国家情報院が裁判所から受け取った通信制限措置許可書では、秘密聴取の対象をイ・サンホン、ホン・スンソク、ハン・ドングンに、許可範囲を国家保安法違反疑惑事実に対する録音および聴取に限定したが、これにもまた違反したことが明らかになった。
実際、検察が提出した証拠は対象者であるホン・スンソクなど3人の他にも、5・12集いなどでイ・ソクキ議員をはじめとして5・12集いに参加した第三者の話まで録音したり、検察は許可書に明示された国家保安法違反疑惑事実のみならず内乱陰謀および内乱扇動などの証拠として該当録音ファイルを提出したということだ。
弁護団が違法証拠だと指摘した国家情報院の録取録と録音ファイルは、内乱陰謀などの疑いを立証するために検察がすでに確保した‘内部情報提供者’イ・某の陳述以外の有力証拠だ。これに伴い、証拠の採択を巡って両者の論議が強まる展望だ。
この日の裁判には検察側からはチェ・テウォン公安部長など専門担当捜査チーム検事7人全員が、弁護団からはキム・チルチュン団長など10人が参加し、イ・ソクキ議員など6人の被告人は出席しなかった。
水原(スウォン)/ホン・ヨンドク記者 ydhong@hani.co.kr