ハフィントン訪問 40%は米国外から
私はギリシャの遺伝子を持っている
公論の場を地球村に拡散させ
市民から信頼を得ている
ハンギョレに出会ったことは大きな祝福
"私はギリシャの遺伝子を持っている。 公論の場を地球村に広めたい。"
アリアナ ハフィントン(63)ハフィントン ポスト メディアグループ会長兼編集人は、自身がギリシャ生まれであることを唯一強調した。 ハフィントン会長は<ハフィントン ポスト>が古代ギリシャの都市国家ポリスで一般市民が集まって政治や社会、芸術などを討論し世論を形成した‘アゴラ’(広場)をオンラインに移したものと比喩した。 彼女は2005年にハフィントン ポストを創設した時から既成世論主導層だけでなく一般市民が自由に声を出せるようにすることが目標だったと話した。
ハフィントン会長はハフィントン ポストが創業6年後の2011年<ニューヨークタイムズ>オンライン版訪問者数を抜いて、米国訪問者数1位のメディアに育てた張本人だ。 <タイム>は彼女を‘世界で最も影響力のある100人’(2006・2011年)に選定したし、<フォーブス>は今年彼女を‘世界で最も影響力のあるビジネス ウーマン20人’のひとりに選んだ。 <ハンギョレ>とハフィントン ポスト コリアを設立することに合意した去る7日(現地時間)、米国ニューヨーク、マンハッタンのハフィントン ポスト本社で彼女に会った。
-ハフィントン ポストは英国・フランス・日本など8ヶ国の主要報道機関と現地オンライン サイトを開設したのに続き韓国進出も決めた。 グローバル ネットワークを拡張する目的は何か?
"多様な分野の人々を一ヶ所に集めて興味深い対話をするようにすることは私のギリシャDNAの一部だ。 当初からハフィントン ポストは飲料自販機の前や夕食テーブルで人々が交わしそうな政治・芸術・本・飲食など多様な主題の対話をオンラインでできるよう助ける場だった。 2020年にはほとんど30億人の人々がインターネット コミュニティに加入するだろう。 私たちはグローバル ネットワークを拡張することによって全世界的な次元で心を開いてこういう対話をできるようにしたい。 今でもハフィントン ポスト純訪問者の40%は米国外から来ている。"
-韓国ではどんな役割をしたいのか?
"世界において重要な地域である韓国でサイトを開くことになりうれしい。 今後世界が韓国をさらによく理解できるようにするだけでなく、世界が韓国人たちの声を直接聞けるようにする。 ハフィントン ポストは自らの取材陣が直接記事を生産するのはもちろん、韓国人に自身の意志を表現できるプラットホームを提供するだろう。"
-ハンギョレとパートナーになった理由は?
"ハンギョレとパートナーとして出会えたことは私たちにとって祝福だ。 ハンギョレは言論の自由のために振り切って立ち上がり、政治・経済などの分野で重要な調査報道をしただけでなく、ライフ スタイルと関連した良いニュースもたくさん生産していることによって市民の信頼を得たと理解している。 政治的指向を離れ該当国でどれほど人々の尊敬を受け信頼を得ているかが選択の基準だった。"
-今後ハフィントン ポストはグローバル ネットワークを通じてどんなことができると見るか? 重要懸案に対する共同企画も可能なのか?
"そうだ。私たちはハンギョレとともに既存の国際協力モデルを発展させていくだろう。 今まで私たちはグローバル ネットワークを通じて青年失業、バラク・オバマ米国大統領の2期任期に対する希望、フランシス法王選出、各国の同性愛権利、ストレス現象などを共同企画してきた。"
ハフィントン ポストのウェブサイト デザインは独特だ。 多くのオンラインニュース サイトはニュースが中心だが、そこでは良く目につく左側にブログ、中央にニュース、右側に生活・エンターテインメントを配置している。 このような図案は2005年2月当時ハフィントン会長のアパートの居間に創業者5人が集まって作ったものだ。 5人は紙ナプキンに図案を描き、後にそれを技術チームに伝達した。
ハフィントン会長は当時リアルタイムに変わるニュースと意見を一箇所で見ることができるワンストップ サイトを構想した。 特に、彼女は主流言論が多くの懸案を扱っているが、過度に新しいものを中心に報道していることを批判した。 彼女はオンライン ニュースは24時間いつでもニュースを追跡でき、特定分野に関心が高いブロガーが該当主題に対して執拗に食い下がれる点に注目した。 実際、ハフィントン ポストは草創期に有名人のブログで関心を集めた後、無名の一般市民ブロガーが特ダネも出し、イシューも多く作り出した。
市民から信頼を得ているハンギョレと
出会ったことは大きな祝福
青年失業など共同企画も可能
-ハフィントン ポストを創業した動機は何だったか?
"私は当時重要な議論がオンラインでなされていることを知った。 しかし当時は既存の多くの世論主導層がそれには参加していなかった。 私は初めから既存世論主導層と一般市民に意見を表出するプラットホームを提供したかった。 ここに偽計はない。 ただし、文の質は例外だ。 同時に私は‘市民的議論’がなされる場を作りたかった。 ブログとニュース、伝統的報道など3つを同時に追求した。 技術発展があってもジャーナリズムの役割は全く同じだ。 利用可能なすべての手段を活用して重要な懸案を公論化し、権力層に真実を言い、また、市民が自身の話をできるようにすることだ。"
-民主主義は熟考の過程を必要とするという点でコメントを通じてなされる市民的議論は重要だと見る。 ハフィントン ポストはそのような公論の場の役割を果たしていると見るか?
"そうだ。 それはギリシャのアゴラから始まった。 私はハフィントン ポストが、人々が来て政治とライフ スタイル、エンターテインメントなど全てのことを討論するオンライン アゴラと同じと考える。 ハフィントン ポストのコミュニティは非常に強い。 失業改善や生活の質向上など主要イシューを扱うコミュニティが多い。"
-コメントはどれくらいになるのか? そして議論の質はどうなのか?
"設立以後、今までに計3億件程度のコメントが上がってきた。 この頃は月間に700万件に達する。 私たちは悪性コメントを事前に遮断する装置を持っており、多くの文等は考えの深いものなどだ。 しかし悪性コメントを全て遮断することはできなかった。 そのために私たちは今月末から匿名コメント機能を全面遮断することにした。 お互いを尊重する対話をすることを願うためだ。 もしある人が重要な情報を持っていて、これを語る場合、安全が脅かされるならば私たちに非公開で身元を提供し、別の名前を使うことができる。"
-ハフィントン ポストが短期間に成功した理由は何だと見るか?
"私たちはブログとニュース集、伝統的報道、コメントを全て包括する初めてのオンライン メディアであった。 私たちは休まずに革新をつづけた。 新しいセクションと動画、ライブ ニュースを付加して世界化を推進した。 また‘サード メトリック’(Third Metric・第3の定規)運動のようなライフ スタイル革新運動を展開した。 成功の秘訣は私たちが全てのものの中心に参加し、読者を私たちがすることの中心に置いたということだ。"
-各界各層の有力な人々との個人的ネットワークがハフィントン ポストの初期の成功に寄与したという評価が多い。 そのようなネットワークを積み上げる秘訣は何か?
"私は人々と会って真実の関係を積むのが好きだ。 これは私の母から受け継いだものだ。 母は店の店員でも大統領でも関係なく、人々と真実の関係を結んだ。 母は人間にはすべての人々を結びつける共通の何かがあると信じた。 それは私たちの胸から出るものだ。"
ハフィントン会長が最近関心を傾けている‘サード メトリック’運動に話題を変えた。 この運動は金と権力という既存の成功定規では社会が持続可能でないとの認識の下に、生活の質や知恵、分かち合いなど新しい定規を打ち立てようとの趣旨を持っている。 彼女は去る5月からこの運動を主張している。 ハフィントン ポストはサイトに別途のコーナーを用意して関連コンテンツを配置していて、ニューヨークとロンドンで関連カンファレンスも開いた。 ハフィントン会長がこの運動を考えたのは2007年だ。 ハフィントン ポストの創刊初期であった当時に二人の娘の大学入学の面倒まで見なければならなくて、一日に睡眠を4~5時間しか取れなかったという。 その時、過労で机から卒倒して倒れ頬骨が折れたせいで手術までした。 その後、彼女は睡眠は7~8時間取り、瞑想するなど新しい生活を送っている。
養育・離婚など多様なコンテンツ提供
金・権力を越えて人生の質向上を導く
‘サード メトリック’運動に注力
-‘サード メトリック’を紹介してほしい。
"これは人々が過労とストレスに苦しめられ気力が尽きているという悟りに基づいたものだ。 これは私たちの健康と生活の質にも良くなく、賢明な意思決定を邪魔することもある。 それで成功の定規を金と権力を越えて生活の質や知恵・分かち合いなどで再定義しようということだ。 私たちのウェブサイトにある多様なコンテンツを通じて、人々が生き方を実質的に変化させる助けになろうと思う。 このコンテンツには養育・離婚・結婚・瞑想・ストレスなど多くのライフ スタイル関連主題が含まれている。"
ハフィントン会長は1990年代中盤まで保守派論客の1人だった。 そうするうちに進歩陣営論客に変身したことでも有名だ。 これについて彼女は社会問題を解決するにあたって民間領域の限界を認識し、政府の役割を新たに認識したのが理由だったと答えた。
"私は過去に民間領域が私たちの直面した所得不平等のような主要懸案を解決できると信じた。 しかし民間領域だけでは充分でないということを目撃した。 政府が動員できる資源と議題設定能力なしには、私たちの社会の最も根本的問題を解決できないということが明らかになった。"
今後の夢は何かという問いに、彼女は 「私は成功を長時間働くことと同一視しない世の中を夢見ている。 女性が女性である自分たちだけでなく男性たちのためにこの道を導く必要がある」と話した。
ニューヨーク/パク・ヒョン特派員 hyun21@hani.co.kr