セヌリ党と一部保守団体が提起した全国公務員労働組合(公務員労組)の不法選挙運動疑惑に対して検察が告発から10日目に押収捜索に乗り出すなどせわしなく捜査を行う中で、その背景に関心が集中している。 一部では与党が公務員労組の不法選挙運動捜査を公開圧迫するや検察が直ちに捜査に入った情況が明確だとし‘下命捜査’ではないかという批判が出ている。
検察の足早な捜査はある程度予見されていた。 先月29日、自由青年連合など極右団体が公務員労組を告発した後、与党は全方向的に捜査を促した。 告発の二日後に朴槿恵(パク・クネ)大統領の‘公務員団体と個別公務員の政治的中立遵守’発言が出てきたし、同日国会法制司法委員会の最高検察庁国政監査ではキム・ジンテ セヌリ党議員が公務員労組の不法選挙運動疑惑を集中提起した。 去る1日にはチェ・ギョンファン院内代表などセヌリ党院内指導部が公務員労組に対する捜査を促す発言を吐き出した。 この日の検察の押収捜索は、告発から10日目に、本格捜査着手から四日目に行われた。
与党の捜査要求が直ちに検察捜査につながった背景には、国家情報院大統領選挙介入事件に対する与党の組織的焦点ボカシ プログラムがあるのではないかという分析が出ている。 国家情報院によるツイッター選挙介入の証拠を追加した検察の起訴状変更申請が裁判所で受け入れられたことにより、与党で‘有罪判決後暴風’に備える動きが始まったし、検察がこれに加勢に乗り出したということだ。 しかし検察関係者は「告発された事件を綿密に検討した後、裁判所が発行した令状によって押収捜索をしただけで、他の考慮はない」と話した。
全国教職員労働組合(全教組)法外労組化と統合進歩党解散審判請求に続き、公務員労組に対する本格捜査が進行されて、労働界では進歩勢力と労働界に対する持続的な圧迫として受け止めている。 民主労総チョン・ホヒ スポークスマンは<ハンギョレ>との通話で 「組合員数6万人の全教組と18万人の公務員労組が一ヶ月の間に揃って政府の圧迫を受ける状況を偶然とは見難い。 民主労組弾圧と反労働という政権次元のシナリオによる動きではないか」と話した。
名目上、不法選挙運動疑惑に対する捜査が選挙法違反起訴時効(6ヶ月)が過ぎる時点で始まった点も疑問を招いている。 選管委は去る7日、公務員労組の選挙法違反有無と関連してキム・ヒョン民主党議員に送った答弁書で「公務員労組が所属団体の懸案解決のために特定候補者と協約式を開催し、通常の告知手続きにより自身のホームページにそれを掲示した行為だけでは選挙運動に該当すると見ることはできない」と明らかにした。 だが「(その他活動に対しては)具体的な時期・対象・方法・内容などを総合的に考慮して判断しなければならず、現時点では事実関係を確認できず違法有無を答えることは難しい」と話した。
捜査の結果、特定候補支持文を載せた人が公務員であることが明らかになれば、公務員の政治運動を禁止した国家公務員法65条違反容疑を避けることは難しく見える。 司法府があまりにも厳格な定規を突きつけているためだ。 ソウルで勤めるある判事は 「国家公務員法上、政治運動禁止条項は匿名で上げる文は大丈夫だという趣旨ではない。 公務員身分ならば職務外でも政治的中立を守らなければならないという意」と話した。
検察は更に一歩踏み出して、国家公務員法66条の集団行為禁止違反疑惑も調べている。 ‘個人の逸脱行為’ではなく‘公務員労組の組織的介入’と疑っているということだ。 そのためには公務員労組内部の議論過程を覗き見る必要があり、追加で労組事務室に対する押収捜索が行われる可能性もある。
去る6日、極右団体が全教組も追加で告発し、全教組にまで捜査が拡大する可能性もある。 検察関係者は 「全教組が大統領選挙時に不法選挙運動を行ったかについては、公務員労組とは違い掲示文などが具体的に明らかになっていない」と話した。
キム・ウォンチョル、イ・ギョンミ、イ・ジョングク記者 wonchul@hani.co.kr
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民主労総 "全公務員労組サーバー押収捜索は不正選挙の焦点ボカシ"
全公務員労組サーバー押収捜索に労働界 強力反発
"朴大統領 海外歴訪中に処理するのは
大統領府へ火の粉が飛び散ることを防ごうとする意図"
検察が8日、全国公務員労働組合(全公労)サーバーを電撃押収捜索したことに対して、労働界は強力に反発して出た。 ネチズンたちもその背景に疑問を示した。
民主労総はこの日‘検察の公務員労組サーバー押収捜索、不正選挙の焦点ボカシを中断せよ’という題名の論評を通じて、 "大統領と政府与党が総体的に企画し実行した18代大統領選挙不正選挙疑惑の焦点ボカシであることは明白だ" と明らかにした。
民主労総は「国家情報院と軍サイバー司令部、国家報勲処などの不法な選挙介入情況が相次いであらわれ裁判が進行中という状況で突然に自律的な組織である公務員労組を不法選挙介入でもしたかのように押収捜索騒動を行うのは、正統性が疑われている政権の卑劣な犠牲作り" と規定した。 民主労総は続けて最近一連の‘公安追い込み’と関連して "朴槿恵(パク・クネ)大統領の海外歴訪中に統合進歩党に対する政党解散審判請求と公務員労組押収捜索などを素早く処理することによって、飛び火が大統領府に及ばないように防御" する意図だと強調した。
民主労総は特に、セヌリ党が全公務員労組と文在寅(ムン・ジェイン)当時候補が結んだ政策協約を問題にしたことに対して "話にならないゴリ押し" と反論した。 民主労総はその理由として "公務員労組が選管委担当責任解釈まで受けて行ったこと" としながら "当時、朴槿恵候補も公務員労組総会にシム・ジェチョル議員を送って祝辞を述べた" と説明した。 全公務員労組は当時、文候補の他に無所属候補とも政策協約を結んだし、朴槿恵候補側にも政策協約を要請したと言う。
また、セヌリ党の一部議員が公務員労組ホームページの自由掲示板に、文在寅候補を支持する文3件が上がったと非難したことに対して、 "自由掲示板に匿名で処理されたことで、公務員労組の組織的行為ではない" と主張した。
全公労関係者は 「これを口実に他の資料までみな持って行こうという下心ではないのか。 明白な労組弾圧と規定している」と<ハンギョレ>に明らかにした。 検察は午後3時現在、2005年からの資料と内部網に上がっていた会計資料まで押収捜索すると言っていて、全公労が強力に抗議している。
一方、ネチズンたちも検察の電撃的なサーバー押収捜索に対して批判の声を上げた。 イ・ジェファ弁護士はツイッターを通じて "大統領が一言言えばすぐに電光石火のように押収捜索、国家情報院大統領選挙介入捜査の時とは対照的な姿" と皮肉った。 ツイッターID@he***のネチズンは "全公労が税金でバイトを雇用しながら勤務時間内にコメント作業でもしたんですか?" と反問した。
チョン・ユギョン記者 edge@hani.co.kr