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韓国水資源公社、タイ住民と衝突・土地補償遅延すれば“赤字泥沼”憂慮

登録:2013-10-02 18:21 修正:2013-10-03 07:58
現地環境団体すでに反発
「工事強行すればデモ・訴訟も辞さず」 工事遅れれば事業費“雪だるま”
タイに各種違約金も払わねば
“生態系破壊”のイメージ損傷も
去る5月19日チョン・ホンウォン国務総理とインナク・チナワット タイ総理がタイの チェンマイ・ル・メリディアン ホテルで総理会談を終えて握手している。 会談には韓国水資源公社のキム・ゴンホ社長などが同席した。 チェンマイ/ニューシス

 韓国水資源公社(K-ウォーター・水公)が「タイ版4大河川事業」と呼ばれるタイ政府の水管理事業で土地補償に責任を持つなどの契約条件で参加することは、経済性と倫理性の側面で深刻な問題がある。 水管理事業に対する現地住民の反発の強さに照らしてみる時、深刻な物理的衝突の危険性を排除することはできない。 国際的外交問題に飛び火する素地があるわけだ。

 まず経済性の側面で危険要因が非常に大きい。 大型土木工事において、土地補償費は費用予測の最も難しい部分だ。 物理的衝突などで工事が遅れる最も大きい理由でもある。 タイ政府の“課業指示書”(TOR)は土地補償費が増えればこれを事業者が負担することとし、タイ政府と事業者の契約締結後は事業費追加は不可、と釘をさしている。補償費が予算を超過すればそれはそっくり水資源公社の負担となって戻ってくる。 例えば、水資源公社が土地補償にかかる費用を1兆ウォンと提案し、残りの事業費用として5兆ウォンを提示したとすれば、実際の土地補償に1兆2000億ウォンがかかっても水資源公社は2000億ウォンを一手に引き受けなければならない。 反対に土地補償が8000億ウォンで済んだ場合、タイ政府が2000億ウォンを差し引いていく方式だ。

 タイ政府は“課業指示書”に、工事遅延すれば事業者が責任を持たねばならない負担を詳細に明示した。 契約期間中に調査・実施設計を終わらせることができなければ一日遅滞する毎に調査・設計費の0.01%に該当する違約金を払うこととした。工事が遅れれば毎日工事費の0.05%を支払うことになっている。 もし水資源公社が約束した5年内に工事を終えられなければ、すでに韓国で4大河川事業費用を無理矢理引き受けさせられて8兆ウォンの負債にあえいでいる水資源公社としては、致命的な財政危機に陥る危険がある。

 これと関連して水資源公社側は「『もし住民と土地補償交渉が不可能な私有地の場合、雇用主は関連土地収用法により土地収用を進める』という内容が課業指示書に入っており、結局政府が責任を負うことになる」と主張する。

 だが、タイ政府が土地収用に出たとしても、事情が変わる可能性は高くなさそうだ。 現地公営放送である<タイPBS>の気候・災害専門記者であるタリン・クロンアカラは「タイ政府が土地を収用に乗り出せば住民は訴訟を起こすだろう」として「タイではこの手の訴訟が処理されるのに何年もかかる。 予定された工事期間内に政府の土地収用は不可能だ」と話した。 現地の環境市民団体である<タイ ウォーターパートナーシップ>’のハンナロン・ ヤオワル代表は「工事を強行すれば住民の大半が現場に行ってデモを行うだろう」として「水管理事業に反対する市民団体は訴訟を通して政府の不法な事業進行手続きを法的に問う予定だ」と話した。 韓国のある建設業者役員は「タイ政府が提示した土地補償関連条項が負担になって、韓国の大型建設会社の中には水資源公社と一緒に水管理事業入札を準備しかけたが途中で自ら下りた会社もある」と話した。

 建築・都市計画の専門家であるキム・ジネ前民主党議員は「外国でなされる小規模都市開発プロジェクトに参加した場合には、韓国の建設会社が該当政府の法人または公企業と共に土地補償を引き受けるケースが全くないわけではないが、これは不動産開発を通して収益性を期待できるため」として「この事業はタイ政府にとって利益のある事業なのに、なぜ韓国の公企業が土地補償という最も困難な部分の後始末をしなければならないのか」と指摘した。

 “4大河川事業輸出”が呼び起こす倫理問題も侮れない。 イ・ミョンバク政府が世論の圧倒的反対を無視して2009~2012年に22兆ウォン余りの税金を注ぎ込んで“速度戦”で押し進めた4大河川事業は、韓国の河川生態系に災難的悪影響を招いた。 監査院の監査結果だけ見ても、16箇所の堰のうち15箇所で設計不良、11箇所で保守不良などの問題が発生している。 “緑藻(ノクチョ)ラテ”と呼ばれる洛東江(ナクトンガン)・錦江(クムガン)などの水質悪化は、至急代案を作らなければならないほどだ。

 ヨム・ヒョンチョル環境運動連合事務総長は「4大河川事業は失敗だったという事実が明らかになっているにも拘わらず、4大河川の核心事業を引き受けた水資源公社はタイでは『4大河川は成功した事業だ』と嘘を繰り返し、韓国では『4大河川事業を輸出することになった』と広報してきた」と批判した。 ヨム総長は「いくら他国のことであっても、4大河川事業のように手続きと世論を一切無視して強行されるタイの水管理事業に参加して金さえ儲ければ良いというのが正しい態度か」と尋ねた。

イ・ユ・ジュヒョン記者 edigna@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/605472.html 韓国語原文入力:2013/10/02 11:38
訳A.K(2317字)

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