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「国家情報院捜査は局面転換用…‘5月の集い’は時代錯誤的」

登録:2013-09-02 00:53 修正:2014-09-05 13:10
国家情報院‘内乱陰謀’捜査
市民団体・学界専門家の見解
去る31日夕方、ソウル駅広場で開かれた‘国家情報院政治工作大統領選挙介入糾弾10次汎国民大会’に参加した市民たちがろうそくを掲げ国家情報院改革と特検を通じた国家情報院大統領選挙介入真相糾明などを要求している。 リュ・ウジョン記者 wjryu@hani.co.kr

 イ・ソクキ統合進歩党議員らに対する国家情報院の内乱陰謀捜査を見守る市民社会の常識に立脚した見解を眺望するため<ハンギョレ>は1日、人権運動界・学界・法曹界など色々な分野で合理的な声を上げてきた専門家8人の意見を聞いてみた。

 専門家たちは今回の捜査が国家情報院の局面転換用だと規定する一方、‘イ・ソクキ録音記録’に記録された発言もやはり非常識・非現実的だと指摘した。 彼らはまたイ・ソクキ議員などの疑惑が事実だったとしても、内乱陰謀罪を適用するのは無理だが、国家情報院改革などを要求するろうそく集会など正当な進歩・市民運動まで萎縮させかねないと憂慮した。

 意見を明らかにした専門家は、キム・クンシク慶南(キョンナム)大政治外交学科教授、キム・チャンス統一迎え政策室長、ミン・ギョンウ前統一連帯事務局長、パク・ネグン人権中心‘人’所長、オ・チャンイク人権連帯事務局長、文化評論家イ・テククァン慶煕(キョンヒ)大教授、チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授、チャ・ビョンジク法務法人ハンギョル弁護士の8人だ。

国家情報院の意図的策略
大統領選挙介入で改革に追い込まれるや
‘ロウソク集会’の力を削ぐ意図 垣間見え
内乱陰謀疑惑適用‘無理手’
古めかしい捜査、公開時点 微妙

危険な対北観と現実認識
施設爆破は人命被害を伴い
非常識で危険な発想
少数の時代錯誤的集団 問題
進歩陣営であらかじめ整理すべき
正当な市民運動 萎縮憂慮
今回の捜査で社会葛藤 拡大
実際の発言公開・捜査協力など
進歩党 責任ある姿勢が必要
国家情報院 改革も継続進行を

■国家情報院、大統領選挙介入に内乱陰謀捜査で局面転換

 国家情報院が大統領選挙介入で改革圧迫を受けるや、局面転換用に‘内乱陰謀捜査’を持ち出したということで意見が一致した。 チョ・グク教授は 「国家情報院改革と選挙介入問題が政局の核心なのに、それをひっくり返す事件が起きたなという気がした。 (内乱陰謀事件に対する)事実が確定されないまま攻防が拡散し国家情報院改革問題が埋められかねない。 (国家情報院が)長期に渡り捜査したとして、なぜ今の時点に公開したかが気になる」と話した。 チャ・ビョンジク弁護士も「国家情報院が突然に内乱陰謀として公開捜査を行うのは異例的」と明らかにした。 専門家たちは国家情報院糾弾ろうそく集会を早期に鎮火させようとする意図も伺えると口をそろえた。

 録音記録内容が事実であっても、内乱陰謀罪の適用は難しいだろうという見解が多数であった。 チャ・ビョンジク弁護士は「少なくとも国家情報院が確保したという録音記録だけ見れば、内乱や内乱陰謀に該当するか疑わしい。 起訴が不可能だったり、起訴しても無罪になる可能性が高く見える」と話した。 ミン・ギョンウ前事務局長は「(内乱陰謀捜査は)国家情報院の無理手と見る。 130人余りが集まった席でそのような(内乱謀議)話をしたということは常識以下のことだ。 雰囲気に酔って過激な発言をしたかもしれないが、具体的に謀議をしたりわけではないだろう」と見た。

■不適切で危険な対北観と現実認識

 専門家たちは国家情報院批判とは別に、録音記録に登場する北韓に対する態度と韓半島情勢認識が国民の常識とは遠い上に進歩的価値にも外れていると批判した。 オ・チャンイク事務局長は 「録音記録が捏造でない限り(イ・ソクキ議員の5月の集い)参席者はら社会が容認する範囲を越えた逸脱をした。 公党の国会議員と党役員が参加した状態でそのような議論をしたということは保護できない逸脱」と指摘した。

 特にオ局長は「現実とかけ離れているだけでなく危険な発想だ。 施設爆破は人命被害が予想される状況なのに(参加者らは)全く震えていない。 1980年代に実際に物理力を動員して統一しなければならないという運動勢力があったが、これは当時全斗煥に代表される具体的な暴力集団と光州(クァンジュ)市民虐殺をどのように解決するのかに対する熟考から出たもの」とし「‘自主’という価値のために人々が死んでもかまわないのか」と問い直した。 このような歴史認識と対北観が反戦・平和という人権の価値と合致しないという趣旨だ。 パク・ネグン所長も「(録音記録発言は)現役議員として適切でない」と話した。

 この他にも録音記録が事実であるという仮定の下で、「録音記録内容は過去に大学生がMT(メンバーシップ トレーニング)に行って話していたような路線がそのまま出てきた」(イ・テククァン教授), 「偏向したごく少数の影響力のないグループのような奇形的考え方」(キム・チャンス政策室長)等の批判があふれた。

■守旧勢力と共存してきた‘古い進歩’

 こういう事態を見せるほど進歩陣営内部に自浄作用が不足していたという反省が繰り返し提起された。 ミン・ギョンウ前事務局長は「健全な進歩勢力が育成され追い出すべきだった勢力だが、そう出来なかったために起きた問題だ。 進歩陣営に自浄能力がなく、少数の時代錯誤的集団が進歩政党という進歩勢力の拠点を大衆の意志と関係なく掌握しているということ」と話した。 イ・テククァン教授は「進歩がこのような問題を整理して来なければならなかったのに、そうでなく去る総選挙を経てイ・ソクキ議員らの国会進出契機が作られた。 汎進歩勢力が曖昧な態度をとったため」と指摘した。

 韓国の守旧勢力が時代錯誤的少数勢力と共存しているという分析も出てきた。 国家保安法を通じて思想の自由を不当に抑圧し、イ・ソクキ議員部類の古い勢力が名分を得て、守旧勢力は再び‘古い進歩’を攻撃して名分を確保して居るという意味だ。 イ・テククァン教授は「国家保安法の受恵者は国家情報院と統合進歩党だ。 統合進歩党が国家保安法のために力を得て、統合進歩党があるので国家情報院が生きれる。 敵対的なようだが共存している。 その過程で脅威を受けるのは韓国の民主主義だ」と指摘した。 キム・チャンス政策室長は 「このような勢力の不必要性について社会的共感が作られなければならないのに、内乱陰謀疑惑の不当性で追い立てれば焦点が‘国家情報院の誤った捜査’に合わされることになり少数勢力の地位を固めることになる」と話した。

 ‘古い進歩’の閉鎖的な組織文化も言及された。 キム・クンシク教授は「現実の変化、国際情勢の変化、国民意識の変化を反映しない組織文化を持ち、秘密裏に会合して時代錯誤的な路線などを自ら正当化する閉鎖的自己正当化」を批判した。

■事件の実体を明らかにするものの、国家情報院改革はそのまま進めるべき

 イ・ソクキ議員らに対する内乱陰謀疑惑捜査が正当な進歩・市民運動にとって障害物になることを皆が憂慮した。 キム・チャンス政策室長は「(内乱陰謀捜査は)持続的にイシューになるだろう。 国家情報院・検察の捜査発表などを持って守旧勢力はろうそく集会を追いかけて‘応戦集会’を行い、社会的葛藤を惹起させ10月の再補欠選挙まで引っ張っていくだろう」としながら「極めて永く影響を及ぼすだろう」と見通した。 パク・ネグン所長は「‘イ・ソクキ録音記録’に収められた主張は、言うだけならかまわないと擁護はできるが、立場が正しいかとなれば難しくなる。 進歩運動に及ぼす打撃が心配だ」と話した。

 専門家たちは国家情報院改革要求を持続するためにも、統合進歩党が責任ある姿勢を見せなければならないと明らかにした。 キム・クンシク教授は「イ・ソクキ議員らが録音記録に出てきた発言をしたのが事実なら、国民の前で謝罪してそのような部分ではえぐり取らなければならない。 捜査にも協力しなければならない」としつつも「与党や国家情報院が焦点ズラシをしたことは明らかなので、それはそれなりに対応していけば良い」と話した。 チョ・グク教授は「実際の発言が何か、国家情報院でも統合進歩党でも公開しなければならない。 これはもちろん法廷でなされなければならない」として 「国家情報院改革要求を揉み消すことに利用されないよう、よく監視することが必要だ」と主張した。

 オ・チャンイク事務局長は「法廷で真実を争わなければならない」として「(今回の捜査が)進歩陣営を攻撃することに利用されるという心配はあるが、犯罪を構成する疑惑が見える状況で国家情報院選挙介入に対する焦点ズラシなどの憂慮を理由に‘捜査するな’とは言えない。 ただし最大限、実体的真実を明らかにする方向に行かなければならない」と話した。 チャ・ビョンジク弁護士は「(イ・ソクキ議員などに対する刑事処罰より)政治的解決が必要だ。 (国会で)除名したり懲戒する方式を考慮できる」と話した。

コ・ナム、パク・ヒョンチョル、チョン・ファンボン記者 dokko@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/601687.html 韓国語原文入力:2013/09/01 22:29
訳J.S(3913字)

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