去る2月18日、ソウル三清洞(サムチョンドン)の金融研修院では大統領職引継ぎ委員会の国政課題討論会が開かれた。「序盤にモメンタム(推進力)を逃がすことになれば、ただ時間がかかり施行できなくなったケースをたくさん見ました。 ‘初めの3ヶ月、6ヶ月、この時に殆どすべてのことをする’このような覚悟で進まなければなりません。" 当時、朴槿恵(パク・クネ)大統領当選者は真剣な語調で任期序盤の国政ドライブを予告した。
朴大統領が25日で就任6ヶ月をむかえる。 新政府の任期の10分の1が過ぎたが、今までにこれといった成果は見られない。 朴大統領が強調した任期序盤の‘モメンタム’を逃がしたわけだ。 たとえば当時、朴当選者が討論会で具体的に目星をつけて解決を強調した‘幼稚園-保育園統合’問題や、農・水・畜産物流通構造改善などの問題は足踏み状態だ。
その理由を、大統領府は政府スタート直後の政府組織法処理国会の遅延および序盤人事波動などで説明するが、専門家たちや政界内外では朴大統領のリーダーシップを問題視している。 大統領の国政運営哲学と方法論により結果も大きく変わらざるを得ないためだ。
「対策なしでひたすら朴大統領の個人技に国政を預けておくことはできない。 与党でも早期に立て直して国政運営システムを作らなければならないようだ。」 セヌリ党の核心‘親朴’に挙げられるある重鎮議員の話だ。 今までは朴大統領個人の支持度で持ちこたえたが、結局大統領ひとりに依存する国政運営方式が限界にぶつかるだろうという予想だ。
実際、与党で朴大統領の国政運営方式の中で最も問題として挙げられる部分がまさに‘国政責任集団の不在’だ。 ‘自分一人で人事’、‘1人リーダーシップ’、‘ゴマ粒指示’、‘上司の命令に服従しろという垂直的意志決定構造’等に代表される朴大統領のスタイルは、NO.2の存在を認めない。 それだけでなく、権限を持って仕事を推進し、その結果に責任を負うべく立ち向かう参謀が生存できない構造を作ってしまった。 去る政府時期に大統領府で仕事をしたある要人は「過去には‘私が政権を作った’と考える参謀が多かった。 参謀どうしが集まって激烈に討論もし、大統領に色々な建議もした。 ところが、今は大統領府にそのような人が見られない」と話した。
権限と責任を持つ参謀がいない結果、すべての決定を大統領が直接行ってこそ、はじめて執行されて、大統領府や政府が推進する仕事の速度は限りなく遅くなっている。 政府スタート初期に各部署高位幹部の人事が遅れて業務が中断され、任期が終わった公共機関と公企業首長が並んでいるのに後任者が適時に任命されずにいるのもこのような事情に関連している。
ある大統領府関係者は私席で「‘私が責任を負うからこの人を使おう’と言える雰囲気でない。 特定人を積極的に推薦してわけもなく非難されることもある」と打ち明けた。 大統領府の別の関係者は「最側近首席と言えるイ・ジョンヒョン広報首席でさえ、大統領の意向に一寸も逆らわないのに、誰がイ首席に国政責任があると考えるだろうか。 後に大統領一人でかぶることになるかと思うと心配だ」と話した。
朴大統領の‘自分一人でリーダーシップ’が大統領府に来てから更に深刻になったという評価もある。 党非常対策委員長時期には、それでもキム・ジョンイン前議員、イ・サンドン教授など苦言を買って出る人々をそばに置いたが、今は誰もいないというのがその根拠だ。 イ・チョルヒ イ・ムン政治戦略研究所長は「大統領が去る6ヶ月間、人事や対野党関係などあらゆる分野で厚みを増すのでなく、排除して距離をおく貧弱な‘ワンマン リーダーシップ’を強化してきた。 さらに孤立した道を歩むようだ」と評価した。
行政府との関係も同じだ。朴大統領は大統領選挙の時‘責任長官制’を約束した。 だが、実際に行政府を動かさなければならない長官たちが人事権をまともに行使できず、他の部署と少しでも不協和音が出ただけですぐに大統領に指摘を受ける。 長官たちが責任感を持って仕事を推進するというより、与えられた課題を携えて顔色を伺うことに汲々とするほかはない。 最近の税法改正案に対する大統領の原点再検討指示が出てくるや、ヒョン・オソク経済副総理が‘謝罪記者会見’を自ら要望した風景がこのような現実をよく表している。
ある政府部署の高位公務員は「仕切りをなくせと促しながらも、全体的な絵を見て行政府が有機的に作動させようとするシステムはあまり考えていないようだ。 原子力発電所の振興を受け持っている産業部に、原子力発電所の監督も総括しろと指示したのがそのような事例」と指摘した。
ソク・ジンファン記者 soulfat@hani.co.kr