本文に移動

[複数労組施行 2年] 激励金‘新労組’ 420万ウォン・‘既存労組’ 0ウォン…会社側による飼い馴らし

登録:2013-07-03 01:37 修正:2013-07-03 15:27

 自動車部品製造会社であるボッシュ電装(忠北(チュンブク)清原(チョンウォン))には二種類の労働者がいる。 先月激励金など420万ウォンをまとめて受け取った労働者とそれを眺めた労働者だ。 彼らは同じ工場で仕事をするが、所属労組が違う。 会社が2012年初めに直間接的に設立に関与した企業単位労組(ボッシュ電装労組)があり、1990年代初めから維持されてきた全国金属労組ボッシュ電装支会がある。

 会社は先月、企業単位労組と2013年度賃金協約を結んだ。 基本給を凍結する代わりに150万ウォンの一時補償金と賃金団体協議が終るたびに支給してきた激励金270万ウォンがこの労組の組合員に支給された。 ボッシュ電装支会組合員はこれ見よがしに除外された。

新労組はほとんど上級団体に加入していない。

<金属労組ボッシュ電装支会>

会社側 昨年初 賃金団体協議 一方的中断
支会長の解雇後に設立された新労組が
‘ニンジン策’のために半年間で多数労組に

 イ・ファウン ボッシュ電装支会長は「会社は私たちと賃金団体協議が終わっていなかいとして去る5~6月に4回会社側と会ったが、交渉原則だけ話して終わった」として「2012年分賃金団体協議も未だに交渉中」と話した。 ボッシュ電装支会労働者は2011年に結んだ賃金団体協議に則り2年前の賃金をそのまま受け取っている。

 2011年7月から複数労組制度が施行された後、会社側が会社寄りの労組を活用して、既存の労総所属労組を差別・抑圧・破壊する新しい労組弾圧があちこちで深刻化されている。

 昨年1月、ボッシュ電装は支会側との労使協議を一方的に中断した。 これによる労働争議過程で座り込みをした労組幹部を解雇した。 そして翌月に組合員18人で構成された第2労組(ボッシュ電装労組)が‘魔法’のように誕生した。 会社は労組員数で過半数をはるかに越えていたボッシュ電装支会を団体交渉の単一交渉窓口とは定めずに、両方の労組とそれぞれ個別交渉を進めて特定労組を排斥し無力化した。 2010年1月1日未明に奇襲的に通過した‘労働組合および労働関係調整法’改正案は、複数労組事業場の使用側が労組員が多い交渉代表労組のみと交渉しても、すべての労組と個別交渉をしても良いとして選択できるように選択権を与えた。

 ‘差別’が賃金団体協約に明文化され始めた。 賃金差別はむしろわずかだった。 昨年中旬‘工場の新設で組合員が移動する場合、組合に1年前に通知して3ヶ月前に合意する’とする新労組と結んだ団体協約条項が、金属労組支会に渡した会社要求案では‘通知する’に変わった。

 ‘経営上の理由で生産システムを変更しようとする時、組合に事前通報・協議しなければならない’という新労組との雇用安定関連条項が、支会側との協議案では‘協議が成立しない時は多数労組との合意案に基づいて協議後受容する’という但し書きを付けた。

 ‘多数労組’を前面に出したのには理由がある。 会社主導の賃金・福利差別、労-労葛藤惹起などで、18人で始まった新労組が半年余の間に多数労組になったためだ。 新労組の組合員は330人を越え、2011年末には389人に達していたボッシュ電装支会は一時38人まで縮小した。

 金属労組は 「懲戒と民・刑事訴訟などで支会執行部を萎縮させ、創造コンサルティングと共に戦略会議をしながら新労組を設立するための支援策を講じた。 そして支会組合員に勤労条件上の不利益を与え、脱退と新労組加入を勧めた」として、昨年10月検察に会社を告訴し、12月には国家人権委員会に差別是正の陳情をした。 だが、検察は8ヶ月経っても沈黙を続け、人権委は手をこまねいている。

 イ・ファウン支会長は「組合員に二つの労組間の差別が何かと質問すると、賃金ではなく私たちに対する態度、目つきだという返事が絶対多数であった。 労組問題や人権差別を越えて、特定労働者を軽べつする人間の感性に対する差別だ」と語った。

 複数労組制度施行以後、会社側の特定労組弾圧はボッシュ電装だけの話ではない。 雇用労働部資料を見れば、制度施行以後に設立された労組1175組合中680組合(57.9%)が、それまで民主労総と韓国労総所属の労組が活動していた事業場で作られた。 これらの内、相当数が会社側の御用労組である可能性が高いというのが二大労総の見解だ。 新労組登場と共に職場閉鎖、賃金差別、指導部懲戒などが行われたサンシンブレーキ、柳成企業、万都、バレオ万都、コンチネンタルなどが代表例だ。 ウォーターコリアの金属労組支会組合員は草取り、塗装のような雑用を会社から強要されもした。

<保健医療労組イエス病院支会>

民主労総 脱退圧迫説 出回り
新労組ができ1年間に160人離脱
新労組幹部に‘先任’の席 プレゼント

 穏健労組さえも会社の利益に反する邪魔者と感じ、去勢しようとする試みが行われている事業場も少なくない。 先月28日に訪ねた全北(チョンブク)全州(チョンジュ)のイエス病院も複数労組で大きな困難に直面していた。

 そこでは保健医療労組イエス病院支部が多数労組(現在450人)だ。 1997年に民主労総に加入したイエス病院支部は、1999年救済金融事態後の整理解雇に反対するストライキをたった一回しただけで、23年間‘剛性’とは距離の遠い労組だった。 職員が全員キリスト教を信じているという連帯感が強かった。

 2011年に新病院長が就任してからヒビが入り始めたと職員は話す。 「その時から知らず知らず‘民主労総から脱退しなさい’などの圧力を受けりようになりましたよ。」 その年の12月‘福祉労組’という新労組が設立された。支部は事実上会社側のそそのかしによって作られた御用労組だと主張している。 当時、組合員の全員が病院幹部が会長を務めているある同好会の出身者であったということが一つの証拠だと言う。

 福祉労組に恩恵を、支部には差別を強化しながら、支部を孤立させた。 会社は‘先任’という新しい職責を作り、大概は福祉労組の組合員に任せた。 平社員と代理の中間管理者だ。 支部幹部は「30~40個の先任の席の中で、私たちの労組では4人だけ」と話した。 支部長は「ある40代の看護師は支部事務室にきて、見も知らない後輩が先任になった、脱退するしかないと泣きながら労組脱退書を出しもした」と話した。 病院で激務とされる3交代勤務はたいてい支部組合員の役割だった。 2年間に260人余りが離脱して新労組に行った。 パク・ソンス支部長は「どうあれ近い将来(労組が)こわれそうだ」と話した。 これに対して福祉労組のチェ・キルファン委員長は「労働者が自生的に労組活動をすることができる状況で、あえて産別労組に加入するのは実益がないと判断され、気の合う労働者が集まって企業別労組を作った。 会社のそそのかしで労組を作ったという主張は事実ではない」と話した。

 当初、複数労組は90年代から労働界の念願事業だった。 労組の団結・交渉権を向上させ、労働権を保護することができるためだ。 だが、粗末な法網と制度を使用者が悪用しながら趣旨自体が歪曲されている。

会社側は施行後にできた労組と交渉
賃金・人事差別で既存労組を無力化
労組設立時、会社介入を禁止し
交渉窓口単一化制度を廃止すべき

 こうした現象に対して労働界は会社が会社親和労組の設立に関与したり積極的に支援する行為を労組に対する支配介入と見て、積極的に処罰することが必要だと見る。 ノ・グァンピョ韓国労働社会研究所所長は「制度の限界があって労働運動過渡期に導入されたために、複数労組の純粋機能が発揮されるより日本のように使用者による労組破壊がより大きくなった状況だ。 本質的に自律的交渉権を制限する窓口単一化制度を廃止する代わりに、産別労組の交渉権も企業労組と同一に保障しなければならない」と話した。

 金属労組のパク・ジュヨン労務士は「既存労組が強ければ会社が個別交渉を行い、既存労組が弱ければ代表労組を立てて既存労組の交渉権自体を塞ぐ方式で窓口単一化制度が悪用されている」と話した。 窓口単一化制度の全面改善が必要だという話だ。

 それにも関わらず雇用労働部は「去る4月基準で労働部が指導した複数労組事業場776個中773個(99.6%)で交渉窓口単一化手続きが進行中だ。 現場に複数労組による問題がないと見て関連データを今は集めていない」と話した。

イム・インテク記者、全州/イ・ジョングク記者 imit@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/594174.html 韓国語原文入力:2013/07/02 21:25
訳J.S(3646字)

関連記事