チャン・ジェグ会長 暴力ガードマン 引き連れて
記者を追出し“編集局奇襲封鎖”
16日午前11時40分頃、ソウル市南大門路(ナムデムンロ)2街の韓進(ハンジン)ビル15階にある<韓国日報>編集局につながる14階と16階の非常階段通路は韓国日報記者と取材陣であふれていた。 鍵の専門家が30分間試みたが、堅く閉ざされた15階の扉は開かなかった。 チョン・サンウォン韓国日報労組非常対策委員長は「中からも二重に施錠装置がしてあって開かないようだ」と話した。 新聞を作る記者たちが社側の閉鎖により編集局に入れないという言論史上初の事態が発生したのだ。
社側、社員にEメール送り
「新編集局長の指揮に従え」
記者たちのIDも“退社者”処理
製作網接続遮断…記事書けず
論説委員も社説執筆を拒否
非常対策委「会長不正 追加告発」
■ 編集局閉鎖で正常な新聞製作は不能
この日、韓国日報編集局にはチャン・ジェグ会長に従う一部編集局幹部と編集局や労組に所属していない職員10人余り、会社が呼んだ 暴力ガードマン15人ほどがいた。編集局の外では進入に失敗した記者たちが「編集局不当閉鎖、直ちに撤回せよ」、「チャン・ジェグ会長は退陣せよ」と叫んだ。
数日前まで新聞を作っていた記者たちが編集局に入ることができない事態は、前日(15日土曜日)の夕方6時20分頃に始まった。 退陣圧力を受けているチャン会長が一部編集局幹部と編集局所属でない社員などを引き連れて編集局にやってきたのだ。 彼らは暴力ガードマンらと共に当直記者とコ・ジェハク経済部長を外に追い出した後、編集局のドアを全て封鎖した。この知らせに数人の記者が編集局に集まってきたが、ドアは開かなかった。 チャン会長側は記者たちが「勤労提供確約書」に署名しなければ編集局に入ることはできないと言った。 社側が電子メールで送った文書を見れば「社規を遵守し、会社の任命した編集局長および部署長の指揮に従って勤労を提供することを確約する」という文面が記されている。
社側は新聞製作のためのコンピュータシステムも閉鎖した。 記者たちが既存のIDで接続を試みれば「退社した人です。 ログインできません」というメッセージがあらわれた。 人事措置を拒否して新聞製作を続けてきた編集局幹部4人には自宅待機発令が下った。
このような措置は「反発する職員を摘出して新しい新聞を作る」というチャン会長の意志から始まった。“韓国日報事態”は4月29日労組が会社に200億ウォン台の損害を及ぼした疑い(業務上背任)でチャン会長を検察に告発するとともに始まった。 労組と多数の社員は、創業者であるチャン・ギヨン前会長の次男で兄弟(チャン・ガンジェおよびチャン・ジェグク前会長)に次いで2002年から経営権を行使したチャン会長が、会社に損害を及ぼしながら自己の利益を追求したため会長の資格がないと見ている。 経営難によりソウル市中学洞(チュンハクトン)の社屋を売却する際、その場所に建てられる建物の一部を140億ウォンで優先的に買い取る契約を建設会社としたが、チャン会長が建設会社から借りた増資貸金200億ウォンを優先買収権と対等交換したというのが労組側の主張だ。
チャン会長側は先月1日イ・ヨンソン編集局長を更迭する人事発令を下したが、労組と記者たちは解任同意投票も経ていないうえに自身の不正を覆い隠そうとする試みだとしてこれを拒否した。 韓国日報記者たちは当時ハ・ジョンオ新任編集局長を任命同意投票で否決して拒否したが、社側は彼を16日再び編集局長職務代行に任命した。 社側は人事を拒否して紙面を作り続けたイ・ヨンソン局長には12日に解任を通知した。
■ ストライキしてもいないのに、職場閉鎖?
15日夕方から会社に集まった韓国日報記者たちは「正常に新聞を作ってきた人々が仕事をできない状況は話にならない」としてチャン会長を糾弾した。 労組は社側の措置を不法職場閉鎖と規定して仮処分申請など法的対応にも出ることにした。 編集局への出入りを妨げ、記者たちを選別的に受け入れるというのは職場閉鎖に該当し、ストライキをしてもいないのに職場閉鎖をしたのは不法だというものだ。 現場を訪ねた民主労総法律院のシン・インス弁護士は「明白な労働法違反だ」と話した。
一方、会社側は「編集局閉鎖ではなく“編集局正常化”のために不可避な、しかし適法な措置だ。 一部の編集局幹部と労組執行部が編集局を占拠し、新任編集局長と部長の出入りと運営を妨害したため」と主張した。
社側は大部分の編集局人員を排除したまま系列会社である<ソウル経済新聞>や通信社のコンテンツを利用して紙面製作を試みたが、大多数の記者が抜けた状況でまともな新聞を出すことは難しいという観測が出ている。 17日付新聞は全体28面で構成されたが、ほとんど通信社のコンテンツや部長が直接書いた記事を配置したといわれる。 社側は“確約書”を書いた編集局構成員が「10人余り」いると明らかにしたが、労組では「編集局長と部長6人を除けば平記者は7人に過ぎず、それも事態初期からチャン会長の立場に同調していた人たちだ」と明らかにした。 論説委員も社説を書かずに事態解決のための対外活動に乗り出すと明らかにし、小説家キム・ドオン氏、文学評論家イ・ミュンワォン氏、時事評論家イ・ガンユン氏など外部執筆者たちも、記者たちを支持する次元から寄稿を中断すると明らかにした。 労組側は「社側がこのような形で新聞発行を継続するならば“にせもの韓国日報”になるだろう」と話した。
労組非常対策委は幽霊会社を設けて会社の金を持ち出した疑いなど、チャン会長の新たな不正疑惑について追加告発すると明らかにした。 コ・ジェハク経済部長は「(チャン会長が経営してきた)この10年間、根拠のない会計があまりにも多かった。 年間売り上げが700億~800億ウォン程なのに、毎年80億ウォンの広報費を使ったことや、美術展示会を開いて毎年30億ウォンずつ赤字を出したことなどに不正の疑いがあると判断して、このような内容でまもなくチャン会長を検察に追加告発する」と明らかにした。
チェ・ウォンヒョン記者 circle@hani.co.kr