北韓が16日、国防委員会スポークスマンを通じた重大談話で、北韓の核保有国地位は朝鮮半島非核化までの一時的なことであり、朝鮮半島の非核化は金日成、金正日の遺訓であり政策的課題であることを明らかにしながら、北韓-米国当局間高位級会談を電撃提案した。
国防委スポークスマンはこの日、韓半島非核化を対話の前提条件として前面に掲げてはならないと強調しながら 「朝鮮半島(韓半島)の緊張を緩和して米国本土を含む地域の平和と安全を担保することに真に関心があるならば、朝(北)・米当局間で高位級会談を持つことを提案する」と明らかにしたと<中央通信>が伝えた。
重大談話は北-米高位級会談の議題として△去る1月以来の軍事的緊張状態の緩和問題△停戦体制を平和体制に変える問題△米国が出した‘核なき世界建設’問題を含めて双方が願う種々の問題など三項目を提案した。 談話は特に 「朝鮮半島の非核化は私たちの首領様と将軍様の遺訓であり、私たちの党と国家と千万軍民が必ず実現しなければならない政策的課題」という点を明らかにすることによって米-中首脳会談が合意した北韓を核保有国と認定できないという立場を受け入れる姿勢を見せた。
北韓は二度にわたる核実験の後、去る2011年に憲法改正を通じて核保有国の地位を明示して以来、故金正日国防委員長当時まで堅持してきた‘韓半島非核化は金日成主席の遺訓’という方針に言及しなかったり留保をしてきた。 金正日委員長は2005年に核保有を明らかにしながら、核兵器開発に乗り出しながらも 「朝鮮半島非核化は金日成主席の遺訓」という点を一貫して強調してきた。 しかし2011年12月金正日委員長死亡直後、北は核保有を金正日委員長の最大業績として強調しながら2012年に改正憲法序文に核保有国であることを明記さえした。 これによって今後は北韓との非核化交渉は不可能だという見解に力を与えもした。
しかし今回の談話は、朝鮮半島非核化が‘軍隊と人民の意志であり決心’であり、また‘私たちの首領様と将軍様の遺訓’であり‘党と国家と千万軍民が必ず実現すべき政策的課題’として三つの側面から強力な非核化意志を明らかにすることにより米中の核保有国不認定要求を受け入れたわけだ。
もちろん談話は 「核保有について言うならば、それは朝鮮半島の非核化を実現するための自衛的で戦略的な選択だ」と強調している。 そして米中首脳が北韓の核保有を認められないと合意したことに対して‘誰が認定しようがすまいが’核保有国の地位が「朝鮮半島全域に対する非核化が実現され外部の核脅威が完全に終息する時まで、片時も揺れることなく維持されるだろう」と強調した。
しかし‘南朝鮮を含む朝鮮半島全域の非核化と私たちに対する米国の核脅威を完全に終息させる目標’が達成されれば、撤回することができる戦略的選択だということだ。 北は今春にも核保有国の地位を前提に北韓-米国間非核化交渉は核保有国対核保有国の核軍縮だけがありえると明らかにした経緯がある。 それに比較すれば、今回の談話は‘朝鮮半島非核化と米国の核脅威除去’という、より具体的な目標を掲げた現実的な交渉議題として提示したと評価できる。
北韓の今回の北米高位級会談提案は、南北当局会談が失敗に終わって5日後に出てきたことで、米国が北韓-米国対話に先立ち、既存6者会談9.19共同声明など非核化のための合意の履行など北韓の先行措置が必要だと明らかにしたことに対して前提条件なき対話を要求したものだ。 去る6日、祖国平和統一委員会談話に続く国防委談話は、重大談話という同じ形式を帯びていて、全く同じく‘委任に従ったもの’と明示することによって金正恩第1秘書の指示によるものであることを明確にした。
特に今回の対話提案は去る5月14日に日本総理の特使資格で北韓を訪問した飯島勲 内閣官房参与(諮問役)に続き、5月24日チェ・リョンヘ特使を中国に送り‘中国の建議を受け入れ関連国と対話する’意志を明らかにし、去る6日祖国平和統一委員会重大談話で韓国との会談を提案し、米国とも会談を提案することによって中国に対する約束を本格履行している姿を見せている。 北韓が昨年12月12日の衛星用長距離ロケット発射以来、北韓の核実験と中国の安保理制裁積極履行などで冷却された関係の復元を重視しているという反証だ。 これを基に北韓は来る27日、韓中首脳会談を持つことにした中国に対して北韓が米国との会談提案をしただけに中国が北-中協力関係を重視するならば米国が北米交渉に出てくるよう暗黙的に圧力を加えているわけだ。
また、米国に対して北韓外務省ではなく国防委員会が直接高位級会談を提案したことは異例的だ。 過去に北韓-米国はニューヨークチャンネルなどの経路を通じて、または外務省スポークスマン談話も声明を通じて立場をやりとりし、北韓、米国間接触や会談を進めてきた。 これは米国がニューヨーク チャンネルを通した対話提案に対して拒否感を示したためと見ることもできるが、既存外務省-国務部間交渉よりオバマ大統領ないしホワイトハウスとの直接談判を意識したものと見られる。 談話が議題の中の一つとして言及している‘米国が出した核なき世界建設’はオバマ大統領が主要政策課題として提示したものだ。
外交消息筋は、今回の談話で北韓が提案した高位級会談は北核6者会談の米国側代表であるグレン、デービス対北韓政策特別代表以上の高位級会談を狙っていると見られ、北韓が今回6月末にブルネイで開かれるアセアン地域フォーラムにパク・ウイチュン外相を送ってジョン・ケリー米国務長官との北-米外相会合を推進する可能性があると観測している。 北-米は去る2000年このアセアン地域フォーラムで当時マドリン・オルブライト国務長官とペク・ナムスン外相が初めて外相会談を持って以来、去る2011年バリ地域安保フォーラムでヒラリー・クリントン-パク・ウイチュン外相の会合に至るまで北米交渉のための契機に活用してきた。
米国は北韓の高位級会談提案を受け入れるだろうか? 南北対話が決裂した状況で米国がさっさと受け入れることは難しいだろう。 しかし米国が対話の可能性を残しておいているのは明らかで、北韓がこういう変化した姿勢を見せたので拒否することは難しいものと分析される。
14日(現地時間)デービス対北韓政策特別代表は、南北当局会談開催中止について「北韓が外交や対話に乗り出すという根本的な選択をしなかったことを示すもの」としつつ「北韓の核保有国としての地位は絶対に認定できず、対話のための対話は不適切だ」という既存の米国政府の原則を再確認した。
この日、慶南(キョンナム)大極東問題研究所(IFES)と米国ウッドロー・ウィルソン国際学術センター(WWICS)がワシントンDCで共同主催した 'ワシントンフォーラム' で行なった彼の発言は一見すると過去と変わっていない。 2点だ。 一つは米国の立場だ。「何より米国は北韓を核保有国として絶対に認定しない」とし、「私たちは北韓の挑戦に対して原則的な接近を継続するほかはない」ということだ。 他の一つは北韓が変われば米国が対話に応じることができるということだ。 「米国は対話のための対話でなく、実質的な問題である北韓核プログラム問題を解決するための対話を望む」とし「真正性があって信頼できる対話のためには北韓の真剣で意味ある変化が必要だ」ということだ。 結局、今回の国防委特別談話を米国がどのように評価するかが米国の対応を決めるだろう。 しかし北韓の今回の特別談話が過去とは異なる立場を含んでいることは否認し難い。そうした点でデービス対北韓政策特別代表の次の発言は非常に意味深長だ。「我々は昨年'2・29合意’破棄以後にもニューヨークチャンネルを維持するなど、北韓と継続的に話していて、北韓との対話を嫌っているわけではない。 (今月末に予定された韓-中首脳会談以前の北韓-米国対話の可能性については)現在、計画されたものはない。」カン・テホ記者 kankan1@hani.co.kr