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時間制公務員、経歴認定・年金保障など「越えなければならない山」多し

登録:2013-05-31 09:36 修正:2013-05-31 12:59
2010年に施行した東大門区・松坡区の事例から
9級国家公務員面接試験の受験生がソウル松坡区(ソンパグ)オリンピック公園コンベンションセンターで面接準備をしている。 政府は「雇用率70%ロードマップ」達成のために無期契約職形態の時間制公務員を増やす計画だという。 キム・テヒョン記者 xogud555@hani.co.kr

松坡区、4年間54人の転換に留まり
新規採用非正規職も4人だけ
賃金損失・熟練度低下が“障害物”
「正規職-時間制の循環定着から」

 パン・ハナム雇用労働部長官は29日、京畿道(キョンギド)政府果川(クァチョン)庁舎でブリーフィングを開いて「(政府が推進する)時間制雇用はまた別の非正規職雇用だという意見があるが、それは違う。 先進国には正規職パートタイムも多い」と明らかにした。 時間制雇用中心の雇用率向上を公共部門が先導し、“時間制=下位非正規職”という認識を改善して民間領域に拡大するという趣旨だ。 “正規職時間制”という概念が登場する背景だ。 政府内では“全日制の時間制転換”と“時間制正規職の新規採用”の二方式が提起されている。 英国が二つの方式を守ってきた。だが専門家たちは“正規職時間制”の不明確性、全日制と時間制公務員との間の不調和、公職規律弛緩などの問題を心配する。

■“時間制公務員”申請は1人

2010年にソウル市東大門区(トンデムング)と松坡区(ソンパグ)が公務員の時間制勤務制を試みた。 全国初だ。 イ・ミョンバク政府の“柔軟勤務制”拡大施策に応じた措置で“正規職時間制公務員”が誕生したわけだ。 全日制公務員が6ヶ月~1年単位で一日3~8時間、週15~35時間を選択して仕事が出来るように制度化した。 施行に先立ち東大門区の職員131人、松坡区の職員64人が“希望意志”を表明した。 が、実際の申請者は東大門区1人、松坡区5人だった。 松坡区は2010年全体で13人、2011年は27人が“時間制公務員”として仕事をし、全日制職員の給料の半分(140万9220ウォン)を受取って育児や自己啓発などを併行した。それさえも2012年は10人、今年は4人(5月現在、全職員数1416人)に減った。 これを通して新規採用された時間制非正規職の職員は3年間に7人で、現在4人が在職中だ。

 松坡区(ソンパグ)の努力にもかかわらず、制度は施行以来4年間空回りのもようだ。 区が今年の初めに出した「柔軟勤務制分析資料」を見れば、労働者には賃金損失と同僚に業務を転嫁しなければならないという負担、管理者には労働の質的低下などが代表的限界として診断された。

■ 循環制・均等処遇などが前提にならなければ

東大門区(トンデムング)の事例を分析したペ・ギュシク韓国労働研究院研究委員は「人事上の不利益、差別などに対する憂慮が大きくて申請者が少なかった」とする。 該当自治区では平易な業務だけ4時間行なう時間制と過重・超過勤務にさらされた正規職との間の緊張も障害物だった。 時間制正規職が全く新規で採用される場合、全日制との差別および不和はさらに深刻化する可能性が大きい。

 松坡区(ソンパグ)が時間制勤労制活性化方案として△全日制の70%水準の賃金補填△時間制経歴に対する不利益解消△自由な勤務雰囲気の造成などを挙げた理由だ。 全国公務員労組のユン・ソンムン政策室長は「非正規職が増えるとともに差別も深刻化する。 無期契約職や時間制契約職のように雇用と公務員年金が保障されないならば実際のところ公務員とはいえない」と話す。 差別の基準点が明確だという話だ。

 英国は正規職時間制公務員が中央政府職員の20.8%、地方政府の42.4%(2010年)を占める。 時間制が単純、末端、代替職務だけに限定されない。 中央政府高位官僚の7.4%、中間幹部および専門職の17.2%も時間制公務員だ。 全日制公務員に比べて均等処遇、業務実績にともなう補償制度が根底にあり差別論難が少ない。 ペ・キュシク研究委員は「時間制公務員を採用すれば、結局全日制正規職への転換を要求するだろう。 公共領域の時間制雇用が成功するには正規職公務員を採用して時間制に循環させる方式がまず定着しなければならない」と話した。

■ 時間制公務員規模も知らない政府

政府は時間制公務員制度に注力するが、安全行政部は既存の時間制職員の現況さえ把握できていない。 <ハンギョレ>が去る23日安全行政部に「中央政府の時間制公務員内訳」の情報公開を請求したが、担当者は「何人がどの部署に採用されて何の仕事をしているのかわからない。 (言論などで議論される) 4000人余りという数字の出処も分からない」と答えた。 人事主務部署が既存時間制公務員運用に関する分析どころか実態も把握できていない中で、教師・研究職・情報通信などに時間制労働を導入することができると言っているわけだ。

 英国の初等および中学校教師の中で時間制正規職が22%を占め、オランダでは医師・看護師職などにも時間制正規職が進出してはいる。 しかし、国内事情は違う。 オ・ゴノ社会公共研究所研究室長は「時間制が広がるには全日制と雇用条件の差別がなく、且つその雇用を望む労働者がいなければならないのだが、常時性を強調する韓国の公職社会で時間制で適切な公共領域がどれくらいあるのか懐疑的だ。 このため、時間制公務職が雇用率70%達成のための核心ではないのに、展示効果ばかり期待しているのではないかという憂慮がある」と話した。

イム・インテク記者 imit@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/589693.html 韓国語原文入力:2013/05/30 10:21
訳A.K(2445字)

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