賃金差別はそのままに‘時間制働き口’…"労働環境改善が先行しなければ"
差別なき給与で雇用を活性化した
1980年代‘オランダ モデル’構想
政府‘働き口 ロードマップ’核心 浮上
最低賃金OECD最下位水準で
非正規職賃金は‘正規職の半分’
専門家 "内容見ずに制度だけ見る"
朴槿恵(パク・クネ)大統領が27日言及した‘時間制働き口 拡大方案’を巡り憂慮の声が高まっている。 任期内‘雇用率70%’という目標達成だけに重点を置いた結果、ややもすると勤務条件や雇用保障水準が劣悪な新たな形態の非正規職を量産するだけになりうるという指摘だ。
大統領府と政府が来週出す‘働き口 ロードマップ’の核心内容も‘時間制働き口の拡大’になると発表された。 いわゆる‘オランダ モデル’だ。 1980年代初め、雇用率50%水準で時間制働き口の比重が18.5%であったオランダは、1982年労働時間短縮と時間制労働者保護規範である‘パセナル協約’を作った。 以後、女性を中心にした雇用市場の活性化に成功したという評価を受けている。 朴大統領が時間制働き口の導入に言及して‘女性労働者雇用拡大’等を強調したのもこのような事例を念頭に置いたものと見られる。
政府が提示する根拠は、我が国の勤労時間が経済協力開発機構(OECD) 34会員国中で２番目に長いという点と、時間制働き口の比重が先進国に比べて低いという点だ。 経済協力開発機構(OECD)資料を見れば、2009年の我が国時間制働き口の比重は9.9%でフランス(13.2%),ドイツ(21.9%),日本(20.3%),オランダ(36.7%)に比べて低いのが事実だ。
しかし専門家たちは政府が制度の‘運営’を見ないで‘制度’それ自体だけに注目したための限界があると指摘する。 オランダのように時間制働き口を定着させた国々は、雇用安定性が大きく劣る短所を補完できる高い給与と社会福祉基盤などの反対給付があった反面、国内では時間制労働者の劣悪な労働環境などに対する議論自体が殆どないということだ。
例えば2009年OECDが発表した我が国の最低賃金は時間当り3.9ドルに過ぎず、カナダ(9.76ドル),オーストラリア(15.75ドル)に比べて大幅に低い。 時間当り最低賃金でマクドナルド ハンバーガー‘ビッグマック’をいくつ食べられるかを測定した‘ビッグマック指数’を比較しても結果は同じだ。 同じ年に韓国の労働者は時間当り最低賃金で1.3ヶのビッグマックを買って食べられた。 オーストラリア(3.5ヶ),日本(2.5ヶ),英国(2.6ヶ)と比較すると半分の水準だ。
韓国労働社会研究所の分析によれば、2001年正規職の80%水準だった時間制労働者の時間当り賃金は、2011年正規職対比51%に大幅低下した。 最低賃金未満を受け取る労働者数は全体時間制労働者の30%にもなる反面、労組組織率は0.3%に過ぎなかった。 文字どおり‘悪い働き口’である。 グローバル政治経済研究所のオ・ゴンホ研究室長は「先進国の場合、時間制働き口の単位時間当り賃金が正規職より高い。 時間制働き口を増やそうという前に、先進国の労働環境と運営方式をもっと研究しなければならない」と話した。
民主党など野党も反発している。 キム・クァニョン民主党首席スポークスマンは「勤労時間短縮、ワークシェアリングとともに、非正規職を減らす努力が先行した以後に制限的に正規職時間制働き口作りを検討するのが妥当だ」と話した。 国会環境労働委所属のウン・スミ民主党議員も「オランダのような国は正規職と時間制勤労者の時間当り賃金格差がないが、わが国の時間制働き口は差別が激しく法の死角地帯に置かれている。 このような状況で先進国の良い時間制働き口を導入すれば、全く別物になる」と指摘した。
これと関連して大統領府関係者は「朴大統領の‘時間制働き口’発言だけが浮上した結果、政府の他の補完努力がきちんと知らせられなかった側面がある。 朴大統領が大統領選挙公約で明らかにしたように、正規職雇用慣行の定着や公共部門正規職転換および大企業の正規職転換誘導、非正規職勤労者社会保険支援拡大なども同時に推進していく」と説明した。
ソク・ジンファン、イ・ジョングク、ソン・ホジン記者 soulfat＠hani.co.kr
訳J.S(1991字)
