上層部ラインが妨害・隠蔽‘良心告白’?
"捜査過程に問題があると感じ、事件担当者として言うべきことを言っただけ"
ソウル警察庁、キーワード 4ヶだけ検索
"徹底した捜査をしてこそ信頼が受けられるのに…
これ以上話せば、私の職分を越える"
"当時の捜査課長として言うべき事を言っただけです。"
22日<ハンギョレ>と会ったクォン・ウンヒ前水西警察署捜査課長(現、松坡(ソンパ)警察署捜査課長)は淡々と語った。 国家情報院による大統領選挙介入疑惑に対する警察捜査を率いたクォン課長は、捜査過程で上層部ラインの妨害と隠蔽試図があったと明らかにして世論の関心を一身に受けている。 言論は‘暴露’‘良心告白’という単語で彼女の話を伝えたが、クォン課長はそのような見方には同意しなかった。
"当時の捜査を受け持った実務責任者として感じたことをそのまま話しただけです。 捜査過程に問題があったと感じたし、このような問題が解決されてこそ今後の他の事件捜査も公正に進行されるようになりますから。"
クォン課長は昨年12月12日から今年2月4日まで国家情報院事件の捜査責任者として、事件の実体を明らかにすることに積極性を示した。 彼女は1月23日<ハンギョレ>記者に「警察史上最も重要な事件の一つだと考える」と語った。 捜査途中で健康状態が悪くなり病院にも何回も出入りした。 そうするうちに2月4日、突然に松坡警察署に異動発令をされた。 自身の意志と関係なく国家情報院事件捜査から手を切ることになったわけだ。
クォン課長が国家情報院事件捜査で強調したことは‘徹底’と‘公正’の2点であった。 彼女が最近、捜査過程の問題点を提起したのも、徹底して公正な捜査がなされえないことを黙って見ていられなかったためだ。 水西警察署捜査チームは昨年12月14~16日ソウル警察庁サイバー捜査隊が国家情報院職員キム・某(29)氏のハードディスクを分析する時、大統領選挙世論歪曲疑惑に関連した100ヶ余りのキーワードを検索してほしいと依頼した。 だが、ソウル警察庁は結局、文在寅(ムン・ジェイン)・朴槿恵(パク・クネ)など4ヶのキーワードだけについて検索を進めた。 ソウル警察庁はこれについて「100ヶ余りのキーワード検索には時間がとてもたくさんかかるため、4ヶだけを進めた」と明らかにしている。
だが、クォン課長は「迅速な捜査も重要だが、徹底した捜査があってこそ信頼できる結果を出せると考えた」と話した。「当時、捜査実務陣は大統領候補誹謗文にしばしば書かれるキーワードを複数捜し出し、ソウル警察庁に依頼した」が、ソウル警察庁は‘迅速な捜査’だけに固執し、昨年12月16日に粗雑な中間捜査結果発表で荒々しい批判を受けた。
ソウル警察庁は急に中間捜査発表をしておきながら、キム氏のハードディスクは発表後2日も過ぎた昨年12月18日午後7時35分に水西警察署に送った。 それまで水西警察署では捜査できる何の証拠資料もなかった。 クォン課長は当時を思い出しながら「捜査が迅速なわけでなく発表だけが迅速ということになった」と話した。
ソウル警察庁は当初、水西警察署にハードディスクを早く戻せなかった理由を「膨大な資料を保存するのに時間が多くかかったため」と説明した。 だが、実際には押収物を水西警察署に遅く送ったのはソウル警察庁が「任意提出した証拠物なので証拠物を水西警察署に送ることはできない」という立場に固執したためだった。 キム氏のハードディスクは水西警察署が任意提出させた後にソウル警察庁に分析だけを任せたものなので、ソウル警察庁のこのような立場は理解できないことだった。 水西警察署は結局、昨年12月18日ソウル警察庁に‘デジタル証拠分析物返還’公文書を送った後に証拠物を返してもらうことができた。 通常は分析が終わればすぐに返してもらう証拠物を、公文書を送ってからようやく受け取ることができたのだ。 結局、水西警察署は大統領選挙前まで公正な捜査をする機会さえ持てなかった。
すでに検察に捜査が渡ったし、クォン課長は‘捜査’を理由に言葉を慎んでいる。 「職分を越えて捜査上の秘密を話したり個人的に浮び上がりたい気持ちはない」ためだ。 「私がこれ以上の話をすることになれば捜査内容を話すほかはありません。 それでは捜査に影響を与えることになるのはもちろん、私の職分も越えたことです。 それはできません。」
クォン課長は「自分個人が浮び上がれば、私が話した問題提起は埋められ、他の方向の論議ばかりが大きくなりかねないと考える」として「当時の捜査課長として言わなければならない話をしたという程度に見て欲しい」と注文した。
チョン・ファンボン記者 bonge@hani.co.kr