米国国防部の<基地構造報告書>で2011年駐韓米軍規模が韓-米合意より9000人も多いことが明らかになり、この報告書の内容に関心が集まっている。 米軍のイラク撤収と戦略的柔軟性にともなう結果という一部の分析が出てきているが、駐韓米軍はこのような事実自体を確認していない。
20日この報告書の内容を見れば、駐韓米軍は2004年までに3万7000人余水準で維持されてきたが、2歩兵師団の1個旅団がイラクの戦場に引き抜かれた後に2万人台に減った。 それにより2006~2009年の駐韓米軍規模は2万6000~2万9000人水準を維持してきたが、これは2008年韓-米首脳間で合意した2万8500人水準と近似した数字だ。 ところが、駐韓米軍規模がイラクからの軍撤収が始まった2009年以後の2010年と2011年にはそれぞれ3万1000人、3万7000人水準に増えたことが明らかになった。 2005年以前の水準に戻ったわけだ。
この報告書で9000人が増えた駐韓米軍はイラクから撤収した米軍部隊の一部ではないかと推定できる。 米軍は2009年初めまでイラクに14万5000人が駐留していた。 ところが2009年3月にバラク・オバマ大統領の撤収計画によりイラク駐留米軍は2010年8月に5万人、2011年12月には3000人へと急激に減った。 そのため撤収した部隊の一部を戦略的・技術的問題から韓国に駐留させた可能性がある。
また、韓国と同様に米軍が大規模駐留している日本とドイツでも同じ期間に米軍規模が大きく増えたという点もイラク撤収と関係があるという推定を可能にする。 駐日米軍は2009年の4万1512人から2011年には8万7182人に倍以上増えた。 駐独米軍も同じ期間に5万3106人から6万477人へ7371人増加した。 2009~2011年にこれら三ヶ国で増えた米軍の規模は6万4090人に及ぶ。 これは同じ期間にイラクから撤収した米軍14万2000人の半数にやや足りない規模だ。
この報告書に出てくる駐韓米軍の増加は一時的なことかもしれない。 キム・ジョンデ<ディフェンス21プラス>編集長は「2011年に9000人増えた駐韓米軍が、現在もそのまま維持されているかは分からない。 今後は韓-米間で合意した駐韓米軍2万8500人自体が米国の‘戦略的柔軟性’によりいつでも出入りがあるものと見る」と話した。
この報告書のように米軍が韓国に大規模に流入してきたとすれば、これは長期的に相当な負担となる恐れがあるという憂慮も出ている。 市民団体‘平和と統一を開く人々’のユ・ユンジェ米軍問題チーム長は 「駐韓米軍の人員増加は駐韓米軍の平沢(ピョンテク)移転計画、防衛費分担交渉、戦時作戦統制権返還など韓-米間のすべての軍事問題に悪影響を与える。 追加で入ってきた米軍人員がいるならば、直ちに撤収させ米軍人員・装備の国内出入りを統制する装置を用意しなければならない」と主張した。
しかし、駐韓米軍と韓国国防部はこの報告書の内容が事実とは違うと反論した。 駐韓米軍キム・ヨンギュ広報官は「その報告書が国防部の公式文書であることは間違いない。 しかし任務交代にともなう一時的増減以外に、ほとんど1個師団規模である9000人が増えたということはありえない」と話した。 国防部イム・クァンビン国防政策室長は「駐韓米軍は人員変化があれば我々に通知する。 まだ米軍からそのような通知を受けていない」と語った。
キム・キュウォン、キル・ユンヒョン記者 che@hani.co.kr