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天安(チョナン)艦沈没3周年‘再シミュレーション’主張提起

登録:2013-03-20 19:50 修正:2013-03-21 06:49
[シンクタンク広場] "水中爆発再実験すれば‘国論分裂’抜け出す可能性"
天安(チョナン)艦事件3周年(26日)を一週間余り後に控えた18日、京畿道(キョンギド)平沢(ピョンテク)海軍2艦隊を訪れた陸軍51師団将兵が破損したまま保存中の天安艦を見学している。 平沢(ピョンテク)/ニューシス

 来る3月26日は韓国の哨戒艦である天安艦が沈没して3年になる日だ。 短くない時間が過ぎたが天安艦は依然として南北関係、ひいては東北アジア情勢で不安要素だ。 なぜなら韓国政府が主導した民官合同調査団が天安艦事件に対して‘爆沈’と規定したが、実質的には国際的合意はもちろん、国内的合意の導出も不十分な状況と見なければならないためだ。

 どんな争いでもお互いが善し悪しについて合意を成してこそ終わりできる。 互いに正しいと主張し続けている状況では争いは終わらない。 より一層大きく広がるおそれもある。 ところで天安艦と関連しては南は北の仕業だと規定し、北は南の謀略劇だとして強く対立している。 南側国民の見解も一致を見ていない。 このような状況では‘北から見る時には謝罪ではなく、南から見る時は謝罪’となる妙案を探すのは難しい。

 いまや政府はもちろん様々な議論主導者がお互いの主張だけをするのではなく、合一点を探すために努力しなければならない。 そうした点で最近チョン・ヒョンゴン市民平和フォーラム共同運営委員長が「合調団の天安艦関連模擬爆発シミュレーションを再実施しよう」と主張していることは注視の必要がある事案だ。 保守-進歩が共に同意できる合意点を見出すことによって、私たち自ら‘天安艦の出口’を作ろうという主張であるためだ。

イ・スンホン教授が明らかにした
‘合調団データ捏造説’論難 継続
"エネルギー分光分析の結果
船体・魚雷吸着物質と
爆発実験吸着物質は違ってしかるべき"

国防部は依然として再実験を拒否
"合調団、捏造はなく3ヶの吸着物質は同一成分…
表面不規則な粉末の場合、分光分析元素比率は変わる"

‘真剣勝負’

 チョン・ヒョンゴン市民平和フォーラム共同運営委員長は、天安艦関連‘水中爆発シミュレーション再実験’をこのように表現した。 去る20年余り、統一運動と市民運動に身を置いたチョン委員長は、この再実験がイ・スンホン米国バージニア大学教授(物理学)が提起している‘合調団資料捏造説’の真偽を分ける核心のカギと判断している。 再実験をすれば、天安艦民官合同調査団(合調団)とイ教授のいずれか一方は嘘をついたことが明確になるためだ。 ことによると、その結果は去る3年間にわたって韓国社会を閉じ込めてきた‘天安艦’という長いトンネルから抜け出す出口になるかも知れないということだ。

 2010年3月26日に発生した天安艦沈没事件と関連した疑惑は、事件が発生して3年になる今でも止まずにいる。 政府が構成した合調団は2010年5月20日「北韓の130t級ヨンオ(鮭)級潜水艦が重量1.7tの中魚雷であるCHT-02Dを発射して天安艦を爆沈させた」と発表した。 だが、この発表に対してヨンオ級潜水艦の存在有無、高い腐食率を示したCHT-02D魚雷の真実性有無、爆発後にも残っている魚雷推進体‘1番’文字問題、合調団が明らかにした魚雷の爆発力と地震波の不一致など、多くの疑惑が提起され論争が続いている。

 チョン委員長は、しかし「この論争の中で多くの部分は真偽を分けにくい推定に基づいたこと」と判断している。 このように結論を下しにくい推定に基づいた論争が続きながら‘天安艦爆沈’という政府の公式発表は依然として国民全体をまともに説得できずにいるということだ。

 チョン委員長はしかし、イ教授が主張する‘合調団資料捏造’説は再実験を通じて明確に真偽を分けられる事案だと強調する。 中立的な推進団を構成し再実験をした後、その結果を公開すれば合調団の主張が正しいのか、イ教授の主張が正しいのかを全ての人々が判断できるためだ。

 イ教授の主張を簡単に要約すれば、「天安艦が北韓魚雷によって撃沈されたものと合調団が主張するために、天安艦事件以後に自主的に実施した‘水中爆発シミュレーション結果データ’を捏造した」ということだ。

 合調団は2010年5月20日の調査結果発表時、水中爆発実験の結果 生成された吸着物質(以下、爆発実験吸着物質C)が天安艦船体から発見された吸着物質(以下、船体吸着物質A),そして‘決定的証拠物’である魚雷推進体から発見された吸着物質(以下、魚雷吸着物質B)と同一だと明らかにした。

 だが、イ教授はこのような調査結果は絶対に出てくることがありえないという立場だ。 なぜなら、船体吸着物質Aと魚雷吸着物質Bは、ヤン・パンソク カナダ メニトバ大地質学科教授とチョン・ギヨン安東(アンドン)大教授がそれぞれ独立的に分析し‘アルミニウム硫酸水化物物’と明らかにしたためだ。 アルミニウム硫酸水化物は、爆発によってできる物質ではなく100度以下の低温で生成される沈殿物質だ。

 したがってイ教授は吸着物質AおよびBに対するエネルギー分光(EDS)分析の結果は合調団が発表したようにアルミニウムと酸素の比率が1:0.9であることは正しいと見ている。 だが、合調団が爆発実験による吸着物質Cのエネルギー分光分析結果アルミニウムと酸素の比率が吸着物質AおよびBと同等と出てきたと発表したことは、明白な捏造という立場だ。 なぜなら爆発実験から出た吸着物質は、アルミニウムと酸素の比率が1:0.23でなければならないためだ。 イ教授はしたがって合調団がアルミニウムと酸素の比率が1:0.23である実験結果を隠して、吸着物質AおよびBと同等なデータを偽りで出したということだ。

 これに対して国防部は去る19日<ハンギョレ>が要請した質問書に対する返答で「合調団の実験結果にはいかなる捏造もなく、三つの吸着物質は同一成分」とし 「これは明白な魚雷爆発の証拠」と明らかにした。 また、国防部はイ教授のエネルギー分光分析結果に関する問題提起に対しても、「天安艦船体および魚雷推進体の吸着物は酸化アルミニウムではなく非結晶性アルミニウム酸化物で構成されていて、同じ物質であっても表面が不規則な粉末の場合、エネルギー分光分析上の元素比率が大きく変わる」として「これを根拠に爆発の真偽を問い詰めることは非科学的」と明らかにした。

 去る3年間にわたり継続してきたイ教授と合調団の意見対立から少しも抜け出せなかった姿だ。 国防部としては、再実験要求自体を政府が主導した既存実験に対する不信を表わしたものと判断できる。 したがって再実験要請を受け入れれば、自ら1次実験に対する疑惑を認めることと映りかねず消極的な態度を見せているものと理解される。 だが、韓国社会全体が陥っている国論分裂にともなう国力損失を考慮するならば、国防部が大乗的に再実験要求を受け入れることが国益に役立つとも言えるだろう。

 チョン委員長は実際、2011年の場合には保守陣営でもこのような問題意識に同意して、再実験を含む疑惑解消努力を進歩-保守団体が共同で試みた経緯があると説明する。 当時、進歩的シンクタンクである細橋(セギョ)研究所に常任企画委員として身を置いていたチョン委員長らが保守右派陣営のシンクタンクである時代精神(代表イ・ジェギョ)関係者たち、韓国科学技術団体総連合会(韓国科総)関係者たちと共にイ・スンホン、ヤン・パンソク教授を含め学術シンポジウムを開く計画を推進した。 チョン委員長は「当時、時代精神関係者が‘政府がまさかデータを捏造するか’とし、‘全ての可能性を開けておき討論すれば、疑惑が解消され合調団の結果が正しいことが明らかになる’という自信を示しもした」と回想した。 学術シンポジウムは結局イ・スンホン教授の‘再実験要求’を韓国科総が受け入れなかった状態で延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件が発生し、それ以上は推進自体が失敗に終わった。 だが、天安艦事件と関連した国論分裂の深刻性を進歩団体と保守団体が共に解消するために努力したという点は、その結果と関係なく高く評価できる試みと見れるはずだ。

 市民平和フォーラムのもう一人の共同運営委員長であるイ・テホ参与連帯事務局長は天安艦問題に対して国会がより能動的な姿勢で疑惑と葛藤の解消に乗り出すことを促した。 イ事務局長は「去る18代国会の時、天安艦特別委が構成されたが、報告書も採択できずにうやむやになった」として「天安艦事件の調査発表と関連のない朴槿恵政府がスタートした状況で国会国防委などが立ち上がり疑惑検証を再び始めることが必要だ」と強調した。 参与連帯は2012年3月、天安艦事件2周年をむかえて発表した声明で「9・11テロ調査と関連して米上院に設置された9・11委員会のような与野党共同特別委構成」を促した経緯がある。

 チョン・ヒョンゴン委員長も「国会が天安艦関連疑惑を解消する上で、最も中心的な主体にならなければならない」として「まもなく市民団体らと共に国会が自らの役割を果たすよう促す計画」と明らかにした。

 来年の天安艦4周年の時にはチョン委員長らが推進する‘真剣勝負’の結果が国民の前に明らかにされ、国民が‘一つの視角’で天安艦事件を眺められることを期待する。

キム・ポグン ハンギョレ平和研究所長 tree21@hani.co.kr

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"国防部や政府を攻撃しようとの趣旨ではない
南北関係再開
の障害物を除去しようという意味"

再実験を主張するチョン・ヒョンゴン委員長

チョン・ヒョンゴン委員長

 天安艦関連‘水中爆発シミュレーション再実験’を提案しているチョン・ヒョンゴン(写真)市民平和フォーラム共同運営委員長は、再実験の推進が国防部や政府を攻撃しようとの趣旨で始まったことではないという点を強調した。

 むしろ朴槿恵政府が今後の南北関係を解いていく上で予想される大きな障害物を除去しようという意味が大きいと明らかにしている。 彼が言う‘大きな障害物’は国民の相当数が依然として天安艦事件と関連した政府の発表を信じていないという点だ。

 チョン委員長が活動している市民平和フォーラムは、平和と統一に対する市民社会の無関心を克服して「一般市民や団体も自由に参加し疎通して連帯することを目標」として2008年10月にスタートした市民団体だ。

 チョン委員長はこの他にも市民社会団体連帯会議運営委員長、6・15南側委員会共同執行委員長、細橋(セギョ)研究所常任企画委員など市民団体と統一団体を結ぶ多様な活動をしている。

-合調団が模擬爆発実験データを捏造したというイ・スンホン教授の主張は、イ教授が3年間にわたり続けてきた主張だ。

 "そうだ。 天安艦問題に続いてきた色々な疑惑提起中の一つだ。 だが、他の疑惑は検証が容易ではない推定に基づいたものが多い。 イ教授の主張は再実験さえすれば真偽が明らかになる。 今回の提案が国防部を攻撃するためのものではないので、この問題を過度に争点化させ葛藤を誘発する必要は全くないと考える。 単に再実験結果データを見て、結果にしたがってこの問題に対する社会的葛藤を解消する最も有力な道を探せば良い。"

-再実験結果により後続措置が大きく変わりそうに見えるが。

 "万一、再実験をして合調団の主張が真実であることが明らかになれば、政府の天安艦発表に対する信頼は非常に高まるだろう。 反対の場合ならば、再調査など天安艦に対する国民的合意を形成できる方法を政府が講じなければならないだろう。"

-再実験結果は朴槿恵政府が今後の南北関係を解く上でも大きな影響を与えそうだ。

 "新政府は天安艦事件関連合調団発表などと関連がない。 それゆえに南北関係再開に対する国民の期待があると考える。 南北対話を再開しようとするなら、天安艦問題の責任を南北間で確定することが大変重要だ。 実際に爆沈ならば、明白な謝罪と再発防止の約束を受けなければならない。 そうでないならば、天安艦問題に執着する必要がなくなる。 天安艦に対する北韓の責任がどの程度なのか、また、それに対するわが国国民の合意がどの程度なのかが、新政府が南北関係を解く上でとても重要だ。"

-具体的に今後どのようにすべきか?

 "国防部が再実験に否定的態度である以上、まず再実験できる主体を見つけなければならないようだ。 爆発物取り扱いが可能な大学研究所などが良さそうだ。 再実験主体を探すのも政府と疎通しながら進める計画だ。"

文・写真 キム・ポグン ハンギョレ平和研究所長

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/578696.html 韓国語原文入力:2013/03/19 21:12
訳J.S(5398字)

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