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化学工学学会 招請 天安(チョナン)艦関連論文 発表取消は前例ないこと

原文入力:2012/07/11 10:38(2212字)

←キム・グァンソプ博士

 私は去る4月末、韓国化学工学会の例年春季学術大会で天安(チョナン)艦事件に関し講演する予定だった。 それは化学工学学会の招請であったし、学術的な論文を発表する場であった。 論文は天安艦が1番魚雷によって沈没したかどうかを糾明する最も重要な証拠である吸着物質を理解する上で必ず必要なバブル温度の計算に焦点を合わせた。

 しかし講演は取消され論文は発表されなかった。 そして6月23日付<ハンギョレ>は私の論文の内容と論文発表が取り消しになった経緯を伝えた。 すると学会は6月25日、解明書を通じて化学工学学会が外圧によって私の発表を取り消したという趣旨のこの報道に反論した。 筆者の論文発表を取消したのは学会の正常な活動であり、取消の理由は発表内容が政治的に利用される可能性があったためというものだ。 苦しい弁明だ。 公益法人である学会が政治団体のように政治的な基準を掲げてそれを正常な活動だと話したのだ。 とんでもない主張だ。

 <ハンギョレ>は筆者の学術的な研究に対して論文の内容を深くは伝えられなかったが公正に伝えようとした。 専門的な知識のない読者たちが理解するのが難しいという点を考慮したようだ。 ところが学会はこの記事を政治的な記事だと表現した。 それは筆者はもちろん<ハンギョレ>をも冒とくすることだ。 誰が政治的だったのか?

 学会は筆者が提出した論文の内容が国家的問題の解決に役立って学術的な価値があると決めたので筆者を招請したのだ。 そのような論文を 「発表内容が政治的に利用されうる」 という曖昧な政治的な基準を追加して再審査した後に発表を取り消した。 これを学会の正常な活動といえるのか。

 ‘政治的に利用されうる’というこの基準は種々の問題を抱いている。 最初に、公益法人である学会が明示した学会の任務と相反する。 学会は‘国家的問題の解決’を学会の任務と明示している。 学会は政治的に利用される可能性の有無に関わりなく国家的問題を解決するために努力するという意だ。 驚くべきことに、学会イ・チャンハ総務理事は筆者に送ったEメールで、学会の基本的な任務を無視してもかまわないと主張した。 第二に、この基準は学問と表現の自由を侵害しうる。 第三に、この基準は学会の役員や諮問委員会委員によって個人的な政治的意見(偏見)または、利害関係によって乱用されうる。

 率直に言って学会は論文の内容が政治的に利用されることを憂慮したというよりは、他のことをさらに憂慮したのだろう。 筆者の研究結果を根拠に論争が再燃された場合、学会や学会の指導層が受けかねない被害を憂慮したかもしれない。 学会や学会の多くの指導層の活動は政府の支援を受けているためだ。

 公益団体であり科学者を代表する団体である学会が、政治的な基準を掲げること自体が正常とは言えない。 その基準は学会が筆者の論文発表を取り消すために特に創案したものと見ざるを得ない。 イ・チャンハ総務理事が筆者に送ってきたEメールを見れば、学会が筆者の発表を取り消すための口実を探すために苦心した跡が現れているためだ。 学会の役員が元老諮問委員会を開いたのは、発表取り消しを正当化するための名分だった。 その結果、学会の指導部が集団的に政治的決定に加担する悲劇を招いた。

 学会の基準は発表された論文が政治的に利用される否かによって左右されてはならない。 それが真実を明らかにすること役立つか、学術的価値があるかによらなければならない。 筆者がしようとした発表の内容は、天安艦調査にすでに関与した合調団と反合調団の科学者らと新たに真実を明らかにしようと研究を始める科学者だけでなく他の分野で研究する科学者にも役立ちうるものだ。

 どんな学会と学会誌がこのような政治的な基準を使うのか? 韓国機械工学会は2010年例年学会で天安艦事故に対する数本の論文を発表した。 地球温暖化に関する学術研究はよく政治的に利用されるが、そのような理由で論文発表されなかったという報道を筆者は見ることができなかった。 今回の場合のように学会の指導層が集団的に参加してそのような決定を下した例はないと見る。

 イ・スンジョン学会会長は論文発表の取り消しは韓国的な特殊事情のためとし、大会に参加した筆者に謝った。 しかし筆者はこのような形式的で無責任な謝罪を受け入れなかった。 国政調査のような方法で学会の誤った決定を調査しなければならない。 再びこのようなことがおきないように学界の風土が改善されなければならないだろう。

 韓国化学工学会が公開的に謝罪することを願う。 学会のイ・スンジョン会長はこのような類例のない '非行' が起きたことに対して責任を負わなければならない。 筆者は化学工学学界の一員としてこういう苦言を言わざるを得ないことを遺憾に思う。 それはひとえに学会が固有任務である国家的問題解決に重要な役割をするためだということを明らかにしたい。 在米科学者(化学工学)・前 米科学財団審査委員

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/542017.html 訳J.S