実定法違反、権限乱用、公職者として非倫理的な行動、不正蓄財などすでに31ヶの不正事実と疑惑がふくらんだイ・ドンフプ憲法裁判所長候補者に21日の人事聴聞会で5ヶの疑惑が追加提起された。
①寺刹寄付金 出処明らかにできず… "所得控除用 虚偽領収書を出したのか"
毎年500万~1600万ウォンずつ
洛山寺(ナクサンサ)・曹渓寺(チョゲサ)などに寄付
イ "詳しいことは覚えていない"
■毎年1000万ウォン余りの寄付金の出処は?
イ候補者は毎年500万~1600万ウォンの寄付金を仏教寺刹に寄付したが、多額の現金を寄付したと明らかにし、資金の出処に対する疑惑が深まっている。
寄付金に関する論難は当初イ候補者が国会人事聴聞特別委に虚偽資料を提出したことにより火がついた。 イ候補者は‘憲法裁判官在任期間の寄付活動内訳を明らかにしてほしい’という聴聞委員の書面資料要請に対し "2006年4月から2012年5月まで洛山寺(ナクサンサ)福祉財団に月3万ウォンずつ後援し、2012年9月から興天寺(フンチョンサ)に月3万ウォンずつ、2013年1月から地蔵禅院福祉財団に月2万ウォンずつ寄付した" と明らかにした。 憲法裁判所裁判官在職当時、毎年36万ウォン程度を寄付したわけだ。
だが、イ候補者の所得控除内訳には毎年640万~1136万ウォンの寄付金が記入されている。 これについて民主党聴聞委員は追加で資料を要求し、イ候補者は書面資料提出締め切り日である1月19日に修正された寄付金納付内訳を送った。
イ候補者が修正して提出した寄付金納付内訳を見れば、イ候補者は憲法裁判所裁判官在職時期に毎年500万~1600万ウォン程度を寄付してきた。 特にイ候補者は江原道(カンウォンド)襄陽(ヤンヤン)にある洛山寺(ナクサンサ)だけに毎年500万ウォン以上の寄付をしてきた。 2007年と2008年には仏光寺(プルクァンサ)にそれぞれ400万ウォン、345万ウォンを寄付したし、2010年にはソウル曹渓寺(チョゲサ)だけに1030万ウォンを寄付した。
ソ・ギホ進歩正義党議員は聴聞会でイ候補者の寄付金出処を問い質し、所得控除のための偽領収書疑惑を提起した。 ソ議員が「業務推進費を私的に使い、特定業務経費を個人通帳に入れながら、毎年1000万ウォン近いお金を寄付したということが理解出来ない。 本当に寄付したのか」と尋ねると、イ候補者は「母親の法事をあげた寺なので特別な縁がある」と釈明した。 これに対しソ議員は「どんなお金でいつ入金したのか、口座振り替えでしたのか」と尋ねると、イ候補者は「現金で出し、詳しいことは覚えていない」と答えた。 ソ議員は「イ候補者の普段の行動から見る時、所得控除をたくさん受けて税金を少なく出すために虚偽領収書を提出したという疑惑を受けざるを得ない。 関連資料を明らかにして欲しい」と要求した。
イ候補者が多額の現金で寄付をしたと明らかにし、資金の出処に関する疑問はより一層深まった。 イ候補者は毎月給与と手当てなど所得の全額を銀行口座に入金しており、高位公職者財産公開制度を通じて毎年全財産を国家に申告している。 イ候補者が万一公開された財産以外の出処を通じて寄付をしたとすれば財産申告不誠実になる。
②娘の留学費送金 口座確認できない 公開しない第3口座があるかも
■三女への送金はどんな金で?
イ候補者が米国に留学中の三女に数千万ウォンを送金したのに、口座にはそのような内容がなく、資金出処に疑問が提起されている。
ソ・ヨンギョ民主党議員がイ候補者から受け取った資料を総合すれば、イ候補者は2006年8月から2年間、三女に計5274万ウォンを送金した。 だが、イ候補者が公開した財産からは送金した資金の出処が確認されない。
イ候補者がそれぞれ1000万ウォンずつ送金したと明らかにした2006年8月23日、2007年1月2日と6月17日、2008年7月11日、8月2日頃には口座から引き出した内訳が全くない。 むしろイ候補者が1000万ウォンを送金したとする2008年7月11日には口座に出処不明の資金1400万ウォンが入金されている。
イ候補者が三女に送金したのはソウル鍾路区(チョンノグ)の憲法裁判所近隣の新韓銀行であり、イ候補者は聴聞会で「夫人ではなく本人が直接送金した」と明らかにした。 だが、イ候補は資金の出処については「覚えていない」と答えた。
イ候補者は聴聞委員に本人所有のすべての口座を提出したと明らかにした。 野党議員はイ候補者がこれまでに公開していない第3の口座があるのではないかと疑問を提起した。 イ候補者が別の口座以外のところで資金を用意し米国に送金したとすれば、毎年1000万ウォン余りの寄付金と共に出処が確認されない多額の現金が追加で出てくるわけだ。 これまた公職者財産申告を虚偽で行ったという指摘を避けることはできない。
③外国滞留時にもガソリン代は同一 他人が官用車を使用した可能性
■国外出張中にガソリン代受領
イ候補者は官用車を使わない期間にも車両ガソリン代を受け取っていたという疑惑が提起された。
ソ・ギホ進歩正義党議員が21日憲法裁判所から受け取った‘官用車量ガソリン代台帳’によれば、イ候補者は16日間米国に出張に発った2008年12月に1950kmを運行し前月1980kmと同等の距離を運行しガソリン代60万ウォンを受け取った。 イ候補者はまた、11日間ドイツ出張に発った2009年11月にも前月より100km程度多い1670kmを運行して同じ金額のガソリン代60万ウォンを支給された。 ソ・ギホ議員は「他人がイ候補者の(国外出張期間に)官用車を使ったようだ」と疑惑を提起した。
イ候補者はガソリン価格の急騰で汎政府次元でガソリン代節約のために乗用車奇数偶数制が施行された期間に、むしろより多い距離を運行してガソリン代も増加したことが明らかになった。 イ候補者は乗用車奇数偶数制採用期間だった2008年8月に前年同月より2倍を越える距離を運行しガソリン代80万ウォンを受け取った。
イ候補者は奇数偶数制施行期間に官用車を2台支給され、ソウル世宗路(セジョンノ)の政府総合庁舎で勤務する二女と自身の官用車で共に出勤したという指摘を受けており、相次いで官用車と関連した物議をかもした。 官用車使用と関連してイ候補者は「私がとても軽く考えていた。 申し訳ないと考える」として頭を下げた。
④国外招請出張に憲法裁判所予算 "招請国で費用負担" 虚偽疑惑
■国外出張 招請費と言っていたが憲法裁判所予算が入る
招請国家で費用を負担して国外出張に行ってきたというイ候補者の発言も疑いを受けている。
イ候補者は他の裁判官よりはるかに頻繁な出張について解明する過程で「世界各国から韓国の憲法裁判について講演してほしいとの招請がきて出張に行ってきたし、ドイツ・インドネシア・中国・日本などの場合、招請した側で費用を負担した」と話した。 しかしソ・ヨンギョ民主党議員は「ドイツとインドネシア、中国などの3ヶ国はわが国憲裁が一部費用を負担した」と反論した。
実際、憲法裁判所が国会に提出した資料を総合すれば、イ候補者が2009年11月ドイツ・チェコへ11日間の出張に発った時、憲法裁判所はイ候補者に航空費と滞在費名目で829万ウォンを支給した。 イ候補者が2010年7月インドネシアとシンガポールに出張に行った時にも憲法裁判所は425万ウォンの航空費と滞在費を支出した。 イ候補者は「ドイツの場合、エコノミー席を送って来たのでビジネス席との差額を憲法裁判所が負担したのは事実だ」と一部を認めた。
⑤経歴不足 娘の三星(サムスン)就職は特典? 資格10年未達に "インターンなど経歴" 解明
■三女、三星(サムスン)物産就職 特典?
イ候補者の三女が就職した三星物産建築設計チームの経歴要件が、当初疑惑が提起された2年ではなく10年以上の経歴が必要だったという主張も提起された。
ソ・ギホ進歩正義党議員は「イ候補者の三女が1年6ヶ月程度しか経歴がなく、共通経歴要件である2年を満たせなかったにもかかわらず入社した。 また、経歴2年は共通資格に過ぎず、三女が入社した建築設計の場合には10年以上の資格が必要だ」として疑惑を提起した。 イ候補者は三女の就職特典疑惑に対して「2005年中盤に1年間 個人建築会社事務所で契約職として勤め、米国留学時期の6ヶ月間も現地設計事務所でインターンとして勤めた」と釈明した。
ユン・ヒョンジュン記者 hjyoon@hani.co.kr