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亡くなった韓進重労働者の妻 "朴槿恵当選に絶望したと…""ごめんね、あなた"

登録:2012-12-27 15:01 修正:2012-12-28 09:23
韓進重労組幹部遺影の前で妻は
"整理解雇の22ヶ月後にやっと復職…
出勤して3時間後に再び、休業通知"
亡くなった韓進重工業労働者チェ・ガンソ氏の夫人イ・ソンファ氏が25日釜山影島(プサンヨンド)区の区民葬儀場葬儀室で落胆して夫の遺影を眺めている。

"夫の胸を踏みつけたものが何だったか今やっと分かりました。 そんな切羽詰った心情も知らずにバカな私は不平を言ったりして申し訳ない思いで一杯です。"

 会社側の整理解雇と労組弾圧を非難する遺書を残して命を絶った釜山(プサン)韓進重工業労組組織次長チェ・ガンソ(35)氏の夫人イ・ソンファ(37)氏はクリスマスの25日夜、夫の葬儀室がある影島区の区救民葬儀場で<ハンギョレ>とのインタビューをする間、涙をこらえて唇と噛んでいた。

 今年5才と6才になる二人の息子と共に仲むつまじかったイ氏家族に影が垂れこめたのは昨年の2月14日だった。 チェ氏を整理解雇すると通知する郵便物が家に到着したのだ。 「瞬間、茫然としました。 夫が2001年に入社した後、友人の中で自分が一番良い職場に通っているとしばしば自慢していました。 自負心が強かったんですよ。 ところが当時労組代議員だった自身が整理解雇対象者に含まれるや大きな衝撃を受けました。」

 町内のおばさんたちを笑わせたり泣かせたりするほどに愛想が良くて若干ずうずうしいくらいの夫はこの時から口数が減ったと言った。 整理解雇に全面ストライキで対抗した韓進重工業労組で一緒に戦った同僚が今年1月、労使対話を強調する新労組へ一人二人と移るなかでより一層険しくなった。 夫は子供たちにも大声をあげて怒るようになった。 新労組の組合員数(570人余り)は既存労組である金属労組韓進重工業支会(230人余り)より2倍以上多くなった。

"夫の復職後、給与通帳に入金されたお金は48万ウォン"

 先月9日、夫はまた挫折したと言った。 1年10ヶ月ぶりに復職したが、出勤3時間後に仕事がないので無期限休業するという通知を受け取ったのだ。 「工場が正常化して復職すれば新労組に行った同僚たちがまた戻ってくると期待していました。 ところがそれも水の泡になるととても落ち込んでいました。」

 今月になってからは食事も満足に摂れず眠れない日が増えた。 中旬からは心臓をつかまれるような圧迫感を訴えた。 会社側が労組が運営してきた消費組合を閉鎖して労組事務室を業務空間として使うとして26日までに会社の外に移せと要求してきた頃だった。 労組を相手に提起した158億ウォンの損害賠償請求訴訟の1審宣告日も来月18日に近づいていた。 「労組が弾圧受けることに非常に苦しんでいたようです。 その時、内部事情を知っていればもっと慰めて励ましたはずなのに、バカな私は不平を言ったりして、本当に申しわけなくて。 整理解雇された時、私が家族対策委に出て行かなかったことも気にかかります。」夫の意を生かそうとする労組側に葬儀を任せて、5日間夫の遺影の前で泣いて「もう出てくる涙もない」というイ氏の目がしらが赤く染まっていた。

 今回の18代大統領選挙結果に夫は強く絶望したといった。 開票が終わらんとする頃の19日夜に夫が送ってきたカカオトークのメッセージを見せた。 ‘アッ大統領選挙まで俺を裏切って。 独裁者の娘、維新政権が再びできるよ。 銃に撃たれ刃物で切られ労働者は苦しむだろう。 大変な5年が再開始…’

 選挙の翌日の20日、夫は何も言わずに家にいて、日が沈む頃に外に出て行き、夜6時49分頃に最後の電話をかけてきた。 ‘ご飯をちゃんと食べろ’という日常的な話だったので全く感づけなかった。 夫は夜7時、自身の携帯電話に‘遺書’という題名で「民主労組を死守せよ。 損害賠償を撤回せよ。 …朴槿恵(パク・クネ)が大統領になって5年をまた…。 だめだ。 支会に戻って下さい。 同志たち…」と書いた携帯メールを残して、翌朝労組事務室で首をくくった。

 暮らしは夫が整理解雇された時から崩れ始めた。 整理解雇の後、座込み場を追われた夫は今夏からは日雇いでペンキ塗りをした。 7月からは姉と一緒に小さな店を借りて商売を始めたが、10月からお客さんが半分に減った。

 イ氏は今月7日夫が復職した後、初めて受け取った給与明細書を差し出した。 先月9日から30日まで通常賃金122万9340万ウォンから、国民年金・雇用保険料と銀行借り入れ返済などを控除され給与通帳に入金されたお金は48万2882ウォンだった。

 「私はストライキが何だかわかりません。 でも夫の遺書を見て下さい。 会社に対する怒りと裏切られ、損害賠償訴訟などが記されているのにどうして個人的自殺になるのですか。 会社側にもう一度訴えます。 夫が遺書で指摘した問題を労組と交渉を通じて解決して下さい。」

釜山(プサン)/文・写真 キム・グァンス記者 kskim@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/area/567218.html 韓国語原文入力:2012/12/27 11:20
訳J.S(2173字)

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