安哲秀(アン・チョルス)前候補が文在寅民主統合党候補に対する全幅的支持を宣言した6日、他の地上波放送はもちろん総合編成チャネルまでがこれをトップ記事として扱い、別途の分析記事も送りだした。 しかし<文化放送>(MBC) <ニュースデスク>は大雪と寒波の便りを伝えた後に8番目のニュースとして扱った。 文化放送記者たちが作った民主言論実践委員会報告書は「非常に非常識なニュース編集」と評価した。
■学界・市民団体・労組 "不公正深刻"
9日で大統領選挙まで10日となった中で、公営放送である文化放送と<韓国放送>(KBS)が不公正報道をしているという批判が高まっている。 全国言論労組と放送会社記者協会、市民団体だけでなく放送学者の団体である韓国放送学会のセミナーでも不公正形態を指摘した。
文化放送は3日、安 前候補の記者会見についても「大統領選挙政局が誤って進んでいる」として与野党を全て批判したとアンカーコメントで強調した後、「新しい政治を望む時代精神は見られず過去に執着して戦っている」という彼の発言を肉声で送りだした。 だが「文在寅候補を声援してほしいと申し上げた」という発言は後に記者のコメントで処理した。
韓国放送では大統領候補を検証した<大統領選挙特別企画1部、大統領候補を語る>の製作責任者が韓国放送与党理事らとキル・ファンヨン社長から「朴槿恵候補に不利な内容」等の叱責を聞いた後、6日職務辞退意思を明らかにした。 7日<ニュース9>では 「米国時事週刊誌<タイム>が朴候補を表紙モデルとして載せ、経歴と政治ビジョンなどを紹介した」としつつも「ストロングマン(strongman・鉄拳統治者)の娘」というタイトルは翻訳しなかった。 セヌリ党の朴候補が否定的な政治的遺産に苦しめられているというこの記事の主要内容にも触れなかった。
二つの放送会社は4日に開かれた候補討論会に関しても李正姫(イ・ジョンヒ)統合進歩党候補の‘高木正雄’(朴正熙前大統領の創氏改名で作られた日本名),‘全斗煥前大統領から受け取った6億ウォン’発言など、朴候補に不利な内容はニュースで扱わなかった。
MBC ‘安哲秀の文在寅支持’報道
ニュースデスクで8番目に扱う
KBS、‘朴槿恵 タイム表紙’紹介して
‘鉄拳統治家の娘’タイトル翻訳せず
学会・市民団体‘不公正報道’指摘
■ 主要な曲がり角ごとに与党候補 疑惑‘縮小報道’
不公正性論難は公式選挙運動の開始前から続いてきた。 ‘人民革命党発言’が代表的だ。 朴候補が9月10日 「同じ最高裁で相反する判決もあった」として維新時代‘司法殺人’の誤りを認めないような態度を見せ争点になったが、放送3社はこの日のメインニュースとしてこれを伝えなかった。 反面、文化放送は安 前候補の論文盗作疑惑は明確な根拠がなくとも積極的に報道し選挙放送審議委員会から警告を受けた。 文化放送は言論労組が去る10月初めからネチズンの意見を聞いて選ぶ‘最悪の大統領選挙報道’に8ヶ中6ヶ選ばれる不名誉を受けた。
不公正性は数値でもはっきりしている。 7日、放送学会セミナーで発表されたイ・ワンス東西(トンソ)大教授(映像マスコミ学部)の地上波3社メインニュース(9月20日~11月19日)分析結果を見れば、シーン(scene)当たり平均報道時間は朴候補50秒、文候補36秒、安 前候補33秒であった。 民主言論市民連合(民言連)集計を見れば、単一化交渉以前(10月29日~11月4日)には3社メインニュースで地域訪問など直接的歩みを報道した量は朴候補33.35%、文候補32.0%、安 前候補33.65%でほぼ同等だった。 単一化交渉本格化以後(11月5~11日)には42.9:27.9:29.2%であった。 韓国放送関係者は「単一化交渉も野党圏に関する内容であり、均衡を合わせるには野党圏候補の直接的歩みは相対的に減らさなければならなかった」と話した。 ところが同じ月の14日与党議員が放送会社を訪問し「不公正報道」に抗議した頃(11月12~18日)には49.0:25.1:25.9%へさらに格差が広がった。
■ 報道量 激減 無関心助長-‘不公正フレーム’論難も
大統領選挙の報道量は2007年の半分以下に減り、検証機会が減り有権者の関心も下げる効果を出している。 2者討論を忌避するなど大統領選挙熱気がが熱くなることを避けるような朴候補側の戦略に呼応しているという指摘も出ている。
民言連が同じ日に投票が実施された17代大統領選挙と11月1ヶ月間のメインニュース報道件数を比較した結果、今回は301件で、5年前(630件)の47.8%に終わった。 民言連は「候補選択のための情報接近を遮断して無関心を助長している」と批判した。
6日、全国言論労組討論会でチェ・ヨンジェ翰林(ハンリム)大教授(言論情報学部)は編集でも不公正事例が発見されると指摘した。 彼は公式選挙運動初日を例にあげて「朴候補は歓呼する聴衆を中心に満杯になった画面を捉えたが、文候補の場合、実際の人員より少なく見えるような画面を見せた。 群衆クローズアップでも文候補のものは後ろ姿とか無表情な姿が目につく」と話した。
不公正性論難に対して韓国放送は「1対1の基準に忠実なのに、場面とフレームまで分析して偏向的というのは行き過ぎだ。 画面に映る姿は撮影アングルにより少しずつ違うだけで誰かに一方的に不利な画面を使ったりはしていない」と反論した。 ファン・ヨング文化放送報道局長は「文化放送は公正報道のために最善を尽くしている。 報道順位を定めるのは自主的判断」と明らかにした。 ユ・ソンヒ記者 duck@hani.co.kr