ネチズンらの間で児童・青少年の性保護に関する法律(児青法)を風刺した漫画が人気を集めている。 児童性犯罪の防止を目的に、仮想表現物を利用した表現までを処罰し政府当局に恣意的な探索・処罰権を付与しているためだ。
あるネチズン(ID‘rest****')は先週末(17日)ビデオ・ゲーム関連サイトであるRuliwebに‘児青法漫画’というタイトルの漫画を上げた。 21日現在、150ヶほどのコメントがつき、1万5000人余りが訪問した。 ダウムとネイトなどポータル掲示板でも‘ポムジル(転載)’されて、ネチズン間で話題になっている。
漫画の出だしはこうだ。 実際の殺人場面を入れたスナッフフィルムを見た人と、ケチャップを利用した恐怖映画を見た人を同じように処罰することが可能かと尋ねる。 すると、「児青法では可能だ」と答える。 また、実際に児童を拉致してわいせつ物を作った場合と、家で派手でけばけばしい絵を上げた場合を描いた後に、 「児青法ではこの二つを見た人を同じように処罰する」と指摘する。 漫画が指摘した通り、実際に被害がある事例とそうではない場合が同じように処罰される理由は児青法条項のためだ。
問題になる部分は児青法2条4~5項だ。
4. "児童・青少年の性を買う行為" は児童・青少年、児童・青少年の性を買う行為を斡旋した者または、児童・青少年を実質的に保護・監督する者などに金品やその他の財産上の利益、職務・便宜提供など代価を提供したり約束して次の各項目のいずれか一つに該当する行為を児童・青少年を対象に行ったり、児童・青少年をしてせしめることを言う。
A. 性交行為
B. 口腔・肛門など身体の一部や道具を利用した類似性交行為
C. 身体の全部または一部を接触・露出する行為で、一般人の性的羞恥心や嫌悪感を起こす行為
D. 自慰行為
5. "児童・青少年利用淫乱物" は児童・青少年または、児童・青少年と認識されうる人や表現物が登場し、第4項のいずれか一つに該当する行為をしたり、その他の性的行為をする内容を表現するフィルム・ビデオ・ゲームまたはコンピュータやその他の通信媒体を通した画像・映像などの形態になったものをいう。
まず、4項C.に明示された‘身体の全部または一部を接触・露出する行為’、‘一般人の性的羞恥心や嫌悪感を起こす行為’は、基準がとても主観的だ。 範囲が広範囲でかなりの表現は‘引っかけられる’という話だ。 16才の春香(チュニャン)が李夢龍(イ・モンリョン)と愛を分かち合う場面はもちろん、女性用パンティを頭にかぶった場面が出てくるチャングやセーラームーンのような漫画もこれに該当する。
また、5条では‘児童・青少年’はもちろん‘児童・青少年と認識されうる人や表現物’を使っただけでも処罰対象になる。 漫画で実際の児童を拉致し淫乱物を撮ることと個人が家で派手でけばけばしい絵を上げても、同じように処罰すると指摘した背景だ。 漫画は‘より重い犯罪(実際に児童を利用した淫乱物製作)を犯した人に有利に法律を作った理由は何ですか?’と尋ねる。 漫画は、その理由は "児青法が子供を保護する法律ではないため" とし "この法の本当の目的は表現の自由を拘束すること" と話す。
もちろん、政府が法条項どおりなら児青法に抵触するセーラームーンやチャングを児童わいせつ物に分類することはないだろう。 だが、重要なことは "法的に児童淫乱物に指定できる根拠を作ったということ" だ。 その気になれば処罰できるということは、表現の自由を締めつけることになる。 漫画はこれを犬の首輪に比喩した。 犬が吠えないように電気衝撃を与える犬の首輪をつけさせ、何度か衝撃を与えるならば電気衝撃器を外しても犬はもはや吠えられなくなるということだ。 勝手に自制することになるという話。
このネチズンは20日には‘児青法漫画2という題名の漫画を追加で上げた。 扇風機をつけたま亡くなった人が出るや、明確な因果関係の糾明もなしに言論が扇風機死亡事件をしつこく報道し‘扇風機をつけて寝れば死ぬ’と信じさせたように、‘アダルト動画が性犯罪の原因だ’ということも論理的因果関係がないという内容だ。 この漫画もまた、一日で5000人余りのネチズンが見たし、他のサイトで転載されている。
数日間に漫画で風刺された内容がネチズンの呼応を得ているが、児青法の児童淫乱物に対する主観的判断(2条4項C.)と実際の児童ではない表現物まで処罰するとした条項(2条5項)は専門家たちも問題が多いと指摘してきた。 高麗(コリョ)大パク・ギョンシン教授(法学)は最近‘春香伝を映画化しても児童性犯罪なのか’(http://blog.naver.com/kyungsinpark/110152188264)というタイトルの文で‘表現物’条項の問題点を細かく説明した。 また淫らでなくとも処罰し、受領・所持者まで処罰するのは行き過ぎだと指摘した。 名誉毀損の場合、話した人は処罰しても聞いた人まで処罰しはしないことのようにだ。
ネチズンの動きも活発だ。 文化自由ネットワークでは16日から児青法違憲訴訟のためにネチズンを相手に費用募金運動に乗り出したし(cfree.ncity.net/bbs/board.php?bo_table=joinus&wr_id=2)、自発的な児青法改正請願署名運動(http://krucef.sshel.com/noshut/)も行われている。
イ・スニョク記者 hyuk@hani.co.kr