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猛暑の中、薄情な江南(カンナム) "配達員はエレベータに乗るな"

原文入力:2012/08/07 20:52(1178字)

14階建て銀馬アパート警告文 貼りだす
配達員らを罪人のように住民の顔色を伺う

  7日午前3時40分、ソウル江南区(カンナムグ)、大峙洞(テチドン)の銀馬アパート入り口。 40代のパク・ウンジャ(仮名)氏の手には新聞の束があった。 パク氏は14階建てアパートの入口を通り警備室を見た。 警備員は寝ついていた。 足音を殺して、いちはやくエレベーターに乗った。 同じ頃、チョン・ヨンジャ(仮名・53)氏が牛乳パック30個が入った箱を持って銀馬アパートに現れた。 チョン氏はあちこち廊下を見回した。 外に出てきた住民がいないことを確認した後エレベーターに乗った。

  パク氏とチョン氏はすでに10日間にわたりアパート警備員と住民の目を避けて通っている。 先月27日、このアパートの管理事務所は27棟のすべての入口に‘配達社員エレベータ使用禁止’と書かれた警告文(写真)を貼りだした。 「配達社員(新聞・牛乳など)は配達時、必ず階段を利用して配達して下さることを望む」と記されている。 配達員はエレベーターに乗って最上階まで上がった後に階段を下りながら牛乳または、新聞を家ごとに配る。 入居者がこのことを問題視した。 警告文には 「配達社員が各階ごとにエレベータ ボタンを押して使うため、住民たちの不便と電気料発生などにより入居者から苦情が出ている」と記されている。 猛暑のために電気料が多くかかると住民たちが配達員にその‘責任’の一端を求めたわけだ。

  配達員はエレベーター利用を完全に放棄することはできなかった。 猛暑のせいで明け方の気温でさえ30度を上回るこの頃、14階建てアパート数棟を上がっては下りることは、彼らにとって不可能に近い。 配達時間が遅れれば住民たちはそれも問題視するだろう。 配達員は住民と警備員に隠れるようにエレベーターに乗る苦肉の策を用意した。

  「先日、牛乳箱を持ってエレベーターに乗ったが、ある住民が見とがめ‘電気代を払って利用しているのか’と問い詰めました。 言う言葉がなくて‘申し訳ない’と言って頭を下げましたよ。」 10年間にわたり牛乳を配達してきたチョン氏は「持てる人々の心がより世知辛い」と話した。

  管理事務所関係者は「(共同負担する)エレベーター電気料金などがとても多くかかるとして入居者が苦情を提起したので警告文を貼りだした」と明らかにした。 文ホ・ジェヒョン記者 catalunia@hani.co.kr 写真イ・ジョンア記者 leej@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/546117.html 訳J.S