本文に移動

MB、度を越した従北攻勢・・・天安艦 論難まで十把一絡げに非難

原文入力:2012/05/28 23:06(2305字)

←2008年10月大統領府執務室でラジオ演説を録音中のイ・ミョンバク大統領。 イ大統領は28日、第91回目のラジオ演説で「北の主張も問題だが、彼らの主張をそのまま繰り返す我々内部の従北勢力はさらに大きな問題だ」と話した。 大統領府提供

イ大統領「北より従北がさらに問題」

「従北勢力」なる表現用い起死回生狙った発言
合理的疑いも従北と決め付け
年末大統領選控え 野圏に打撃与える意図

検察捜査に“指針”下した格好
大々的な公安政局に繋がる恐れ

 イ・ミョンバク大統領が28日「北の主張も問題だが、彼らの主張をそのまま繰り返す我々内部の従北勢力はさらに大きな問題だ」と言った。 特に天安(チョナン)艦事件に対する政府発表に疑いを持つ人々に対してまで「従北勢力」というレッテルを貼ろうとし、論難を呼んでいる。

 イ大統領はこの日朝のラジオ演説(第91回目)でこのように言い、「国際社会が北に対して変化を要求しているように、先進国の隊列に入った大韓民国で国内の従北主義者も変わらなければならない」と付け加えた。 イ大統領が「従北勢力」という表現を用いて批判したのは就任以来初めてだ。

 イ大統領はこの日演説の冒頭部分で、去る14~15日ミャンマー国賓訪問時にアウンサン テロ現場を訪れた話を持ち出して「この方たちが誰の手によって命を失ったのかを考えれば本当に鬱憤をこらえることができない」と話した。 イ大統領は北がアウンサン テロ事件を韓国の自作劇だと主張したという点を指摘した後、「2010年の天安艦爆沈の時も明確な科学的証拠が出てきたにも拘らず北は同じように自作劇だと主張した」と言い、次いで「いつもそうやってきた北の主張も問題だが、彼らの主張をそのまま繰り返す我々内部の従北勢力はさらに大きな問題だ」と言った。 天安艦事件と関連し「従北勢力」が「北の自作劇主張」を繰り返しているとして、政府発表に疑問を持つ人々全体を従北勢力と決め付ける態度を見せたのだ。

 しかしソウル大統一平和研究院が昨年7~8月に全国成人男女1201人を相手に行なったアンケート調査で「天安艦沈没原因についての政府発表を信頼する」という回答は33.6%に過ぎなかった。 「信頼しない」という回答が35.1%、「分からない」という回答が31.3%であった。 国民の半分以上が政府発表に疑問を示しているにも拘わらず、「北の主張に同調している」と決め付けたわけだ。 キム・ヨンチョル仁済(インジェ)大教授は「アウンサン テロやKAL機テロとは違い、天安艦問題は合理的疑問を提起したものであって、分けて考えなければならない」として「“従北勢力”という理念的用語を使って政府の対北政策無能力のアリバイを作っている」と指摘した。

 イ大統領がこのように「内部の従北勢力」を取り上げて強く批判に出たのは、ひとまず最近の世論動向から判断して損することはないという判断によるものと見られる。 大統領府高位関係者は「国民一般の情緒が従北勢力を批判している」として「イ大統領の発言はその延長線にあるだけだ」と話した。

 だが、その裏面には最近の統合進歩党事態と関連して“従北勢力”を浮彫りにすることにより、大統領選挙局面で野党勢力連帯を攻撃し野党勢力全体に打撃を与えようとする政治的意図も含まれていると見られる。 統合進歩党事態が党内の競選不正問題から触発されたものなのに保守言論が従北勢力批判の側により一層集中していることと脈を一にしている。 また、検察が統合進歩党の党員名簿を押収するなど捜査の強度を高めている状況で、大統領が自ら従北勢力批判の先頭に立つことにより、検察の従北勢力捜査につながっていくことを懸念する見解もある。 イ大統領が検察に「従北勢力を清算せよ」という一種の捜査ガイドラインを投じて公安政局を指示したのではないかという疑問を生むに充分だということだ。

 シン・ギョンミン民主統合党スポークスマンはブリーフィングを通じて「イ大統領がアカ論争攻勢に便乗したと見られる」として「イ大統領は検察の不当な野党弾圧、民間人不法査察と組織的隠蔽、側近不正、報道機関ストライキについて、大統領の返答を待っている国民を無視した」と指摘した。 統合進歩党革新非常対策委員会イ・ジョンミ スポークスマンは論評で「統合進歩党の内部問題を契機に政府の失政を覆い隠し、理念攻勢で起死回生の機会にしようとするつもりかも知れないが、国民が進歩政党に望んでいるものはアカ論争とは何の関係もない」と反論した。

 結局、イ大統領の今回の発言は多くの側面で任期末の“公安政局狙い” だという指摘も避け難く見える。 29年前のアウンサン テロ事件を取り上げて「鬱憤をこらえることができない」と言うのは、その後に二度の南北首脳会談が開催されるなど大きく変化した南北関係を考慮しない態度だ。 与党内部からも憂慮の声が出てきた。 イ・サンドン前セヌリ党非常対策委員はこの日の朝、ラジオ インタビューで「(従北勢力論争は)もろ刃の剣のようなものだ」として「過度に理念対立へ推し進めれば一角で行き過ぎではないかとの批判的な見解が出てくる可能性がある」と話した。

アン・チャンヒョン記者 blue@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/534964.html 訳A.K