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春の日“ドキュメンタリーの逆襲”・・・彼らの人生に泣いて笑う

原文入力:2012.04.08 20:46修正:2012.04.08 21:16(2629字)



<写真> <カタツムリの星>(左)、<オモニ>(中央)、<語る建築家>、(右)


3編異例の同時興行成功


<カタツムリ…> <オモニ> <…建築家>
1日の観客数、上位10位圏進入
真率な人生の重たい感興を込め
劣悪な製作環境の中で突風注目


この春国内の映画街に類例を見ない異変が起きている。 劇映画の虚を突いた“ドキュメンタリー映画の逆襲”だ。
建築家チョン・ギヨンの生涯最後の1年を収めた<語る建築家>(監督チョン・ジェウン・3月8日封切り)、視聴覚重複障害をもつ夫と脊椎障害の妻の愛と疎通を扱った<カタツムリの星>(監督イ・スンジュン・3月22日封切り)、チョン・テイル烈士のオモニ(お母さん)故イ・ソソンの人生を記録した<オモニ>(監督テ・ジュンシク)の3編のドキュメンタリー映画が、商業映画まで合わせた“韓国映画1日観客数”で5~7位に上がっている。 <カタツムリの星>と<語る建築家>は外国映画まで含めた“1日観客数”の全体順位で4日それぞれ7位と10位を占めもした。 

独立映画興行ラインの1万人を越えて1万3000人余りを集めた<カタツムリの星>と2万3000人が見た<語る建築家>は、多様性映画(独立・芸術映画)興行順位では先月25日から5日まで1,2位を走っっている。 5日に<オモニ>まで封切りされて“ドキュメンタリー映画3編の強勢構図”が形成された。 映画界では「前例のない状況」という反応だ。3編の突風には、口コミ、再観覧、団体観覧という現象が共通して存在する。

 <カタツムリの星>のチョ・ドンソン プロデューサーは「刑務所、学校、公共機関などの要請で団体上映会をしている」として「口コミのおかげで封切り2週目から観客数がさらに増えた」と話した。 <オモニ>のキム・ファボムプロデューサーも「労組、地域共同体連合会などの団体観覧が続いている」と伝えた。 <語る建築家>のチョン・ジェウン監督は「観客との対話イベントを行なえば、もう一度見にきたという観客にしばしば会う」と話した。

何より3編とも、主人公の人生が与える重たい感興が観客の足を導いている。

 <カタツムリの星>のイ・スンジュン監督は「泣くかと思ってハンカチを用意して入ったが、愉快に笑って出てきたという反応もあり、互いを抱きかかえる夫婦を通して、観客は関係と愛について再度考えようとするようだ」と推測した。
「労働者のオモニとして生きてきたイ・ソソン女史の言われたことを傾聴する映画と受けとめられている」(<オモニ>のキム・ファボムディレクター)、「人間と自然を配慮した建築家として生きたチョン・ギヨン先生を人生のメントと感じるようだ」(<話す建築家>のチョン・ジェウン監督)。 これらの作品が大衆的関心を集める理由についての製作陣の説明だ。

 ドキュメンタリー映画の興行の風は、2009年に295万人を集めた<ウォナンソリ(牛の鈴の音)>の突風と、2000年代以来誰でも容易にデジタル映像を作れる環境が定着したのが契機になった。 以後ドキュメンタリー映画ジャンルが一層身近な存在になったうえに、実際の話を扱う“ジャンルの力”を見せたのも観客を誘引する要因に挙げられる。

 非転向長期囚を扱った<送還>等を演出したキム・ドンウォン監督は「<ウォナンソリ>以後ドキュメンタリーがおもしろいという認識が生まれ、監督の個性と素材の多様性を受け入れる観客の寛容度が大きくなったようだ」と評した。 彼は「劇映画は演出された話という限界があるが、ドキュメンタリーは主人公が実際に存在するので感興が一層濃く残るようだ」と話した。

 <オモニ>のキム・ファボムプロデューサーは「価値ある人生を望み、社会の変化を願う現象の中で、その熱望を込めたドキュメンタリー映画に共感するようだ」として「3編とも、メッセージを説得しようとしない演出のために観客にさらに近付いたように見える」と分析した。 キムディレクターはまた「<カタツムリの星>は放送演出などをした独立ディレクター、<語る建築家>は長編映画監督出身、<オモニ>は独立ドキュメンタリー監督の作品だ」として「創作主体の多様化により、素材と内容の幅も広がった」と付け加えた。

 映画界はドキュメンタリー映画上昇の勢いがずっと続くのかに注目している。 アジアの女性たちと労働の関係を取り上げた<レッドマリア>(26日・監督ギョンスン)と、映画の内容に関連ある実際の人物が演技者として出演してドキュメンタリーと劇映画の境界に立つ<トゥレソリ>(5月11日・監督チョ・ジョンネ)がまもなく封切りするからだ。 国立伝統芸術高校の合唱団創立の実話を劇化した<トゥレソリ>は、青少年の悩みと国楽などが愉快でジーンとくるように入り混じって好評を受けている。

 だが、最近のドキュメンタリー映画の勢いは一時的現象だという声も多い。 劣悪な製作環境のせいで良質のドキュメンタリー映画供給の持続的拡大は難しいということだ。 <カタツムリの星>は米国・フィンランド・日本などの多国籍製作費支援が行き詰っていた予算問題の息を吹き返させたし、<オモニ>も市民後援支援金で封切り費用などを工面した。 <語る建築家>は監督がクレジットカードで撮影費用を充当し、後で製作費の一部を支援を受けた。 このような製作環境のために、労働や疎外された隣人たちの現場などを記録してきた独立ドキュメンタリーの監督たちは最近、製作・配給・上映を相互連帯して支援するための<現場を守るカメラに力を>という会を立ち上げもした。 ある独立ドキュメンタリープロデューサーは「現在封切り館が20個内外に留まっている独立映画の上映機会がさらに拡大され、映画振興委員会の支援予算ももう少し増やすなど映画産業構造が改善されない限り、製作・配給の劣悪な現実は続くだろう」と話した。

ソン・ホジン記者dmzsong@hani.co.kr


写真クリエーティブ イースト・インディストリ・ドゥータ研提供


原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/527336.html 訳A.K