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民間査察 証拠隠滅‘上層部ライン’再捜査 不可避

原文入力:2012/03/05 22:44(3124字)

民主党特別委 "大統領府チェ・ジョンソク行政官再調査すべき"
当初は‘総理室’で仕上げ…大統領府、介入可能性 拡大

民主統合党‘MB政権不正および不法秘密資金 真相調査特別委員会’は5日、大統領府行政官がチャン・ジンス前国務総理室公職倫理支援官室主務官(不拘束起訴)に民間人不法査察の証拠を隠滅しろと指示したという<ハンギョレ21>報道と関連して「検察はチェ・ジョンソク大統領府行政官をはじめとする関連者を再捜査し真実を明らかにせよ」と要求した。

 チャン前主務官はこの日発行された<京郷新聞>インタビューを通じて、チェ行政官が自身に民間人不法査察の証拠を隠滅しろと指示し、自身はコンピュータ ハードディスクの資料を強力な磁力で破壊する破棄き損(ディガウジング)作業に参加したと認めた。

 この事件の発端は2008年7月に遡る。 公職者監察部署である国務総理室公職倫理支援官室は李明博大統領を誹謗する内容の動画を転送し自身のブログにあげたキム・ジョンイク KBハンマウム代表の裏調査に乗り出した。 後日には令状なしでキム氏の事務室を捜索し名誉毀損の疑いで警察に捜査依頼までした。 不法査察だった。 彼らの犯行が言論を通じて知らされ検察が捜査に入るや総理室のまた別の公務員は押収捜索が予想される公職倫理支援官室のコンピュータ ハードディスクを全て消した。

 検察特別捜査チームは総理室の実務者がハードディスクを完全に壊した2日後に押収捜索に入り惨めな捜査結果を出した。 キム氏を査察した職権乱用・業務妨害容疑などでイ・インギュ総理室公職倫理支援官とキム・チュンゴン点検1チーム長を拘束起訴し、ウォン・チュンヨン調査官を不拘束起訴した。 イ支援官を‘上層部ライン’と見たものだ。 また、証拠隠滅容疑としてはイ支援官の後任者格であるチン・ギョンナク総理室企画総括課長を拘束起訴し、チャン・ジンス主務官を不拘束起訴するのに終わった。

 しかし法廷に並んで立った彼らの主張は交錯した。イ支援官は「査察の指示はしていない」 と主張し、キム チーム長らは「イ支援官に報告したし指示も受けた」と主張した。 チン課長は「チャン主務官にハードディスクの削除を指示したことはない」と主張したが、チャン主務官は「チン課長が具体的に証拠隠滅を指示した」と反論した。 いったい誰が指示したのかは明らかにならなかった。

 このような状況から出たチャン氏の新証言は民間人査察事件の‘秘密’を解くための重要な端緒と見ることができる。「チェ行政官の指示でハードディスクを消した」という彼の主張は自身の‘上層部ライン’をチン課長に限定した検察陳述からもう一歩踏み出したものだ。 検察はチェ行政官がチャン主務官に証拠隠滅をする時に使う不法携帯電話を渡した事実を把握し、一度は調査までしたが証拠隠滅とは関連がないという結論を出した。

 チェ行政官はキム・ジョンイク氏査察事件の核心関連者として名指しされたイ・ヨンホ大統領府雇用労使秘書官の直属行政官だ。 イ秘書官は公職倫理支援官室職員に‘耳鼻’と呼ばれており、支援官室業務を事実上掌握していたことが分かっている。 結局、チャン前主務官の証言は公職倫理支援官室の民間人査察と後に続いた証拠隠滅に大統領府の人々が深く介入していた可能性を示している。それでも検察はイ秘書官を参考人として呼び、たった6時間調査した後に送りかえしてしまった。

 検察のある幹部は「チャン前主務官の陳述は、この事件の再捜査に着手できるだけの新証拠」として「証拠隠滅を指示した主体が民間人査察にも関与していた可能性が高いだけに、検察が当初捜査で明らかにできなかった民間人査察の実体を明らかにしなければならない」と語った。 キム・テギュ記者 dokbul@hani.co.kr

←民主統合党‘MB政権不正真相調査特別委’イ・ジェファ弁護士(左側)とパク・ヨンソン最高委員が5日午後、国会院内代表室で大統領府行政官の民間人不法査察縮小と証拠隠滅に関与したチャン・ジンス主務官の録音収録を公開し再捜査を要求する記者会見を行っている。 イ・ジョンウ先任記者 woo@hani.co.kr



当時の捜査チーム関係者 「チャン・ジンス、その時は意味のある陳述をしなかった"
"大統領府との関連を述べていたら結果は変わったはず」

 「今私が2年前のその事件に対して申し上げることができる立場にないということはよくご存じではないですか?」

 <ハンギョレ21>の報道を通じて国務総理室公職倫理支援官室の民間人不法査察事件証拠隠滅に大統領府が深く介入したという主張が提起され、当時検察捜査チームは当惑しながらも具体的な言及を避けた。5日<ハンギョレ>と通話した当時の捜査チーム関係者は「どうであろうがその事件は裁判が進行中という状況で、裁判過程を担当するソウル中央地検が発言しなければならない状況」として口を閉ざした。当時捜査チームはイ・ヨンホ雇用労使秘書官など大統領府内‘ヨンポ(迎日・浦項(ポハン))ライン’(イ・ミョンバク大統領と同郷の公職者)が事件初期からこの事件の縮小・隠蔽を主導したという多くの状況があったにも拘らずイ・インギュ公職倫理支援官ら総理室職員4人だけを不拘束起訴して捜査を終結した。

 しかしこの関係者は用心深く「くやしい」心境を表わした。彼は「一言で言って本末転倒した疑惑提起」と話した。 当時、捜査過程で捜査チームは‘やるだけはやった’ということだ。彼は「民間人不法査察過程から始めて数ヶ月間にわたり捜査を進めながら証拠隠滅情況を知ることになり、ディガウジング(ハードディスク情報消去)企業等の把握に遅れをとり、結局事実を明らかにした」としながら「今言論に提起されたチャン・ジンス主務官の主張のような陳述は捜査当時にはなかった」と話した。 彼は続けて「当時、支援官室職員が痛いと言って病院に行き逃亡し、それをようやく逮捕して数回調査した」として「それ以上どうすればもっと捜査できたか」と問い直した。

 彼はチャン主務官が主張した‘大統領府民政首席室との事件調整’疑惑についても「事実無根」と言い切った。 彼は「捜査が進行中という状況で、しかも大統領府の人々が捜査を受けている状況で、民政首席室と事件捜査を調整するというのが話になることだと思うか」として「そのような事実がないだけでなく、話にもならない主張であり、これ以上言うことはない」と語った。証拠隠滅を指示したと名指しされたチェ・ジョンソク当時大統領府行政官の陳述調書を法廷に提出しなかったことについては「証拠法的に価値がなくてそうしたまで」としながら「当時、チャン主務官が証拠法上、意味のある陳述をすることもなかった」と話した。

 事件関係者の新証言が持つ‘証拠法的’意味については彼もやはりうなずいた。 彼は「当時、大統領府との関連性が認められるほどの陳述が出てきたとすれば事件結果は違っていた」とし「我々は当時我々が収集した証拠により法的責任を問える人を起訴した」と話した。しかし、この関係者は政界を中心に出回っている再捜査要求世論に対しては「私が言及する事項ではない」という言葉を繰り返した。

ノ・ヒョンウン記者 goloke@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/522092.html 訳J.S