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KEC、第2の韓進重になるのか

原文入力:2012/02/09 15:54(2307字)

←2010年10月25日、半導体生産専門業者であるKEC労組員200人余りの家族対策委キム・ウンスク(左側)・チェ・ソンア氏がソウル、中区 貞洞(チョンドン)の民主労総会議室で警察が強制鎮圧に乗り出さないことを涙ながらに訴えている。その後もKECの悲劇は終わらなかった。 ハンギョレ資料写真

復帰8ヶ月後に再び整理解雇通知
対象者ら "民主労組をつぶすため"

 パク・ミジョン(仮名・32)氏は明け方5時20分に起き、7時までに会社に出勤する。 慶尚北道(キョンサンブクト)亀尾(クミ)にある半導体専門会社であるKECに通うパク氏は3組3交代で仕事をしているが今週は朝番だ。 今年で会社に通って12年目のパク氏は今月14日からもう仕事をすることはできない。整理解雇対象者であるためだ。 解雇日が迫るほどに胸が苦しい。 仕事をしながらわけもなく涙が出て、夜寝ながらもくやしい心でむくっと起きることが多くなった。パク氏は1年間ストライキをして復帰し、8ヶ月後に再び整理解雇の通知を受けた。パク氏は 「ストライキ過程で会社から受けた傷がまだ癒えないのに再びこのように紙切れのように捨てられることになった」として 「会社を許せない」と話した。パク氏は「ストライキに積極的に参加したことが整理解雇の理由であるようだ」と話した。

 24年にわたりKECに通っているイ・ガヒ(仮名・43)氏も整理解雇対象者だ。 高等学校を卒業して入社したKECはイ氏にとって初めての職場で、青春がそっくり溶けている。イ氏は「出勤をしてもぼうっとしている時が多い」として「まだ家族には解雇の事実を知らせることもできずにいる」と話した。整理解雇対象者である‘死亡者’と、そうではない‘生きた者’の間の気まずさに耐え抜くこともイ氏にとっては難しいことだ。 イ氏は 「解雇日が近づくだけでも狂いそうなのに、親しかった同僚と気楽に話を交わすことのできない現実が一層みじめだ」と話した。

 長期ストライキで労使葛藤が深刻だったKECが今月14日、職員全体の20%ほどにあたる166人の労働者を整理解雇する予定であり‘第2の韓進重工業’事態になるのではないかと憂慮されている。

←KEC労使葛藤日誌

 整理解雇対象者は「今回の解雇は経営上の緊迫した理由ではなく‘民主労組’をなくすためのもの」と主張している。9日KECと労組の話を総合すれば、整理解雇対象者166人の内、民主労総所属金属労組KEC支部(第1労組)組合員が116人で、残りの職員は新入社員だ。KECには昨年7月に複数労組が施行され会社側に協調的なKEC労組(第2労組)が新しく作られた。 イ・ミギョン民主統合党議員が昨年9月に公開したKECの‘人材構造調整ロードマップ’を見れば、「親企業指向の労組を作り全員退職などストライキ参加者の会社復帰は原則的に遮断、自発的退職者が基準に達しない場合は人材構造調整を断行する」と記されている。 実際に文書に記されていた通り、ストライキ参加者の中で会社を退職した人は200人余を越え、会社に協調的な複数労組が作られ、整理解雇も行われている。

 整理解雇をするほど会社が緊迫した経営困難にあるという主張も論難を呼んでいる。 昨年11月、支部が公開したKECの‘管理者処遇改善’文書には整理解雇を通じて役員と管理職の賃金を上げるための必要な資金を用意するという計画が含まれている。‘ストライキ復帰者全員(198人)の希望退職誘導’を通じて73億ウォンの財源を用意し、現場職労働者の賃金カットで42億ウォンの財源を用意するという内容だ。

 KECの持株会社である韓国電子ホールディングスはKECを含めて4ヶの子会社を持っており、海外法人も多数ある大規模企業だ。KECがここ数年、赤字を出しはしたが、持株会社である韓国電子ホールディングスは黒字を出している。KEC支部関係者は「会社の経営がどれほど困難なのか、なぜそのようになったのか、労働者は正確に分からない状態で整理解雇されなければならない」として「とうてい納得できない」と話した。

 法律家88人も最近声明を出し「KECの整理解雇は破廉恥と不道徳の典型」とし「双龍(サンヨン)車、韓進重工業、KEC事例に見るように労働者を死に等しい苦痛に追い立てる整理解雇は廃止しなければならない」と明らかにした。

 こうした中で会社に協調的なKEC労組(第2労組)は去る7日、会社と賃金削減と交代制改編などで合意した。労使は賞与金について通常賃金の300%削減、交代手当て廃止、勤務形態も3組3交代から2組2交代に変えることに合意した。

 だがKEC支会は「御用労組の合意を認めることはできない」として「整理解雇が撤回されるまで断固戦う」と明らかにし、整理解雇が強行される今月14日から再び労使葛藤が予想される。

 KEC会社側は「景気低迷と競争会社との競争、人件費負担など内外要因がかみ合わさり経営が困難な状態」として「第2労組と合意した通り、第1労組が賃金削減などに合意すれば整理解雇は撤回されうる」と話した。この関係者は「外部に公開された文書は担当職員が本人の考えを書いたもので実際には履行されなかった」と付け加えた。

キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/518272.html 訳J.S