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韓国のある訓練兵の親の問い【コラム】

登録:2026-01-29 07:35 修正:2026-01-31 12:17
//ハンギョレ新聞社

 一昨日、息子が「軍に入隊した」。陸軍に現役として入隊したのだ。大韓民国の健康な若者なら誰一人として例外のない義務だが、それでもやるせない気持ちになるのが親の常だ。早朝に家族全員でソウルの自宅を出て、忠清南道論山(ノンサン)の新兵訓練所で入所式を見守った。帰り道で妻に聞かれた。外国(の若者たち)もみんな軍隊に行かなければならないの? 軍隊はいつからあったの? 軍隊って絶対に必要なの? ある人にとっては唐突な問いかもしれない。しかし、別の誰かにとってはハッとさせられるものでもあると思った。

 戦争が起きると、たいていの男性は将兵として徴集されるものだ。古今東西同じだ。妻の言う「軍隊」は「常備軍」であるはずだ。国家(中央政府)の統制と支援により、戦時ではなく平時にも編成、運用される常設の軍事組織だ。そのルーツは古い。古代ギリシャの都市国家スパルタは、紀元前7世紀の律令制定で軍事国家体制を整えた。7~30歳のすべての男性が兵営で寄宿し、厳しい訓練を受けた。征服国家だったローマ帝国も、初期には市民兵(参政権を有する市民が戦時に召集される、権利と義務の結び付いた兵役)が中心だったが、初代皇帝アウグストゥスの時代に国境を守備する常備軍の体制が確立された。国家の存続期間中は常に事実上の戦争状態だったモンゴル帝国も、常に軍隊を維持していた。

 こんにちのような国家常備軍の普遍化は、近代国民国家の産物だ。古代や中世には、国家間の戦争や権勢を持つ者の勢力同士の衝突の際に動員された私兵、傭兵が戦闘組織の主な形態だった。18世紀末のフランス革命とナポレオン戦争を起点として、軍隊は「王の軍隊」から「国民の軍隊」へと変貌した。すべての国民が主権者として兵役義務を負う皆兵制の原則が確立された。これは人口増加、科学技術と産業の発達、帝国主義の覇権競争、大規模な兵力を維持するためのコスト計算が下敷きになっている。韓国の歴史においては、1881年に朝鮮の高宗によって創設された新式軍隊「別技軍」が近代的常備軍の第一歩だった。

 皆兵制は、兵力資源の確保のあり方によって募兵制と徴兵制に分けられる。戦争中や準戦時状況、または安全保障の危機に直面している国々は徴兵制を採用する。公式に停戦協定が発効中の南北朝鮮をはじめ、台湾、イスラエル、ロシアと国境を接するフィンランド・ノルウェー・バルト3国などが代表的な例だ。

 「軍隊は絶対になくてはならないのか」という問いは本質的で哲学的だ。3000年前に「刀を鋤(すき)に打ち直す」と言ったユダ王国の予言者の地では、今もパレスチナ先住民の追放と殺傷が続いている。ロシアは主権国家ウクライナを踏みにじり、無差別攻撃をあびせ続けて4年になる。「自由世界」のリーダーを自任していた米国は、自国第一主義と力の論理を前面に押し出し、同盟国の領土まで欲しがる略奪国家となっている。

 私は今も良心的兵役拒否者の代替服務を支持しているし、軍隊が必要とされない世の中を夢見ている。しかし、ルールを基盤とする秩序が崩壊し、弱肉強食のジャングルがよみがえった世の中にあって、分断国家の国民であり息子を軍隊に送った親として、頭の中は複雑だ。理想と現実のはざまからの脱出は、常備軍時代の市民が抱え込まされている最も私的な領域の政治だ。

チョ・イルジュン|テキストチーム先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1242094.html韓国語原文入力:2026-01-28 15:38
訳D.K

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