本文に移動

【社説】「黄色い封筒法」が国会で可決、労使関係の新たな枠組み作りが始まった

登録:2025-08-25 01:10 修正:2025-08-25 07:22
民主労総の組合員、進歩党と社会民主党の議員および党員たちが24日、国会本庁前で労組法2、3条改正案の国会本会議での可決を歓迎する記者会見をおこなっている/聯合ニュース

 ついに「黄色い封筒法」(労組法2、3条改正案)が国会本会議で可決され、施行を目前にしている。同法は労働者に実質的な交渉権を保障するとともに、過度な損害賠償請求を制限することが核となっている。これは、労働基本権がまともに行使できなかったせいで傾いた労使関係を正常化する第一歩になるだろう。

 「黄色い封筒法」は、2014年に双龍自動車労組と組合員に(2009年のストライキに対する)47億ウォンの損害賠償を命じる判決が下された後に、市民によって展開された黄色い封筒に寄付金を入れて送るキャンペーンに触発されたもの。無分別な使用者による損害賠償請求が労働者とその家族を破綻に追い込むのを見た市民の怒りが、立法要求へとつながった。24日の国会可決直前まで、経営界と野党「国民の力」は、産業現場の秩序を破壊する法案であるかのように恐怖マーケティングを繰り広げた。だが、そういった懸念とは異なり、黄色い封筒法は産業現場の極端で消耗的な対立を減らすとともに、共生的労使関係の新たな枠組みを作る契機となりうる。

 まず労組法2条の改正によって、元請けは実質的で具体的な労働条件を定める場合、該当する範囲に限り下請け労組と交渉することが義務づけられる。経営界は過度な責任を負わせるものだと反発するが、これまでの下請けを通じた使用者責任の回避という問題を正すものとみるべきだ。下請け労働者はこれまで、自分たちの労働条件を決めている「真の」使用者を引きずり出すために、極限の闘争に打って出るケースがあまたあった。元請けが労働の安全に対する責任を無視している間に、「危険の外注化」が深刻な問題として台頭した。

 労組法3条改正案は、ともすれば違法のレッテルが貼られた労働争議の範囲を従来より広げた。使用者の違法行為に対抗する行為は正当防衛の原理を援用して賠償責任を問えないようにし、個別の労働者の賠償責任の割合は関与度などの具体的根拠にもとづいて決めることとした。憲法で保障されている労働三権がより忠実に保障されるよう、関連法制が整備されたという点で、大きな意義がある。

 残された課題は、黄色い封筒法を実質的に産業現場に定着させることだ。この法は猶予期間を経て来年2月から施行される。政府は施行前に使用者性の判断基準、労働争議の範囲、交渉手続きなどに関する具体的な指針を示す方針だ。できる限り労使の自律的な交渉を保障する一方、対立が激化した際に立法趣旨が損なわれることのないよう積極的に仲裁にあたり、必要なら補完立法も推進すべきだ。政府が使用者となっている公共部門で元請けと下請けが共生する交渉例をまず示すのも、望ましい方法だろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1214897.html韓国語原文入力:2025-08-24 18:01
訳D.K

関連記事