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核の「ゴールド・スタンダード」【コラム】

登録:2025-03-31 06:53 修正:2025-03-31 08:18
//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2015年11月、韓国と米国は新しい原子力協定を結んだ。1972年に両国が「原子力の民間利用に関する政府間協定」を結んでから、43年ぶりに改定案に署名したのだ。当時、韓国政府は以前の協定では不可能だったウラン濃縮の道が開かれたと大々的に広報した。米国との事前協議という問題があったが、ウランを20%未満の水準で濃縮できるようになったためだ。米国は他国のウラン濃縮と核燃料再処理を全面禁止するいわゆる「ゴールド・スタンダード」(gold standard)を新協定では明示しなかった。

 米国は原子力協力に差を設けている。核保有国やすでに濃縮と再処理技術を保有している国に対しては既得権を認めるが、他の国に対しては極めて厳しい基準を適用する。同盟国や戦略的協力国に対しても、事前同意の形で濃縮と再処理を認めるだけだ。技術も協力関係もない国に対しては、濃縮と再処理を一切認めない「ゴールド・スタンダード」を強要する。実際、米国は2009年のアラブ首長国連邦や2013年の台湾との協定でこれを固守した。韓国のウラン濃縮の可能性を認めたのは、それだけ韓国を信頼しているという兆候と言える。

 米国が最近、韓国を核物質の利用と関連し「センシティブ国およびその他指定国家リスト」に加えたことで、波紋が広がっている。エネルギー省傘下の国立研究所に対するセキュリティを強化する過程で規定を整備したという説明から、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の相次ぐ核武装の意志表明が影響を及ぼしたという指摘まで、様々な分析が飛び交っている。一時、韓国に対してゴールド・スタンダードの適用まで留保した米国が、突然「韓国警戒令」を発令したのだから、ただ事ではない。政府はこれを解除するため、総力を傾けると約束しているが、それが実を結ぶかは不透明だ。

 韓国の原子力研究所で2000年ごろにウラン濃縮実験を行った事実が、2004年に国際原子力機関(IAEA)によって確認されたことがある。韓国が核開発を試みているのではないかという疑惑が浮上し、「韓国の核問題」という言葉まで登場した。韓国はIAEAの特別査察を受け、国連安全保障理事会に付託される危機に瀕した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は同年10月、「核の平和的利用に関する4原則」を発表するなど、波紋を鎮めるため腐心した。この波紋は、4年後の2008年、IAEAが年例報告書を通じて、韓国ではすべての核物質が平和的に利用されていると評価したことで一段落した。核に対する国際社会の信頼を回復するのは、このように至難の業だ。

ユ・ガンムン|ハンギョレ統一文化財団常任理事・論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1189653.html韓国語原文入力:2025-03-30 18:41
訳H.J

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