米エネルギー省が韓国をセンシティブ国に指定した後も、与党「国民の力」の主要政治家たちは、核武装を叫んでいる。
彼らの核武装の主張は、大きく「独自核武装」と「核潜在力の確保」に分けられる。ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長、雇用労働部のキム・ムンス長官、ユ・スンミン元議員は「独自核武装」を掲げており、国民の力のハン・ドンフン前代表、アン・チョルス議員、オ・セフン・ソウル市長は「直ちに核兵器を作ることはできないため、ひとまず核潜在力を確保しよう」と主張している。
17日、野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は、米国が韓国をセンシティブ国に指定した背景として議論される与党の核武装論について「扇動的虚勢」だと批判した。これに対し、ハン・ドンフン前代表は「私が主張したのは、日本のように濃縮、再処理技術を確保し核武装直前までの核潜在力を確保すること」だとし、「それは虚勢ではなく、大韓民国を守り国民を安全にすることだ」と反論した。
韓国が独自に核武装を進めるためには、米国の同意や支援が必要だが、これが現実的に難しいため、次善策として出たのが核潜在力の確保だ。濃縮・再処理能力を備え、有事の際に迅速に核武装できる技術的能力と資源を備えるということだ。特にドナルド・トランプ米大統領がウクライナ戦の終戦交渉でロシアと手を組むのを見て、韓国国内では米国の拡大抑止に依存できないとして、核自強と核潜在力の確保を求める声が高まった。
政界と学界の一部の人々が主張する方法で核潜在力を確保できるだろうか。まず、韓国では核潜在力の研究結果が少なく、どの水準の能力を核潜在力と呼べるかについて合意された定義がない。核の潜在力をどのように定量的に測定するかについても合意がない。人によって核潜在力に対する定義と基準が異なり、韓国で核潜在力は科学技術的概念というよりは、時流に迎合した概念に近い。
ハン・ドンフン前代表をはじめ多くの人々が、日本と同じ水準の核潜在力の確保を主張している。ウラン濃縮と使用済み核燃料再処理の核周期プログラムで、日本と同じように待遇してほしいと米国に要求しているのだ。韓米原子力協定と米日原子力協定によると、日本は使用済み核燃料の再処理において自由な再処理が可能だが、韓国に許可されているのは、核兵器への転用が不可能なリサイクル技術(パイロプロセッシング)の前半部分の工程だけだ。韓国は20%未満のウラン低濃縮が可能だが、但し書き条項があり、20%未満の低濃縮も現実的には容易ではない。20%以上のウラン濃縮は韓米原子力協定に含まれていない。日本はウランの20%未満の濃縮が全面的に認められ、当事者が合意した場合は、20%以上の高濃縮も可能だ。濃縮度が20%を超えれば核兵器の製造に使用できる。
核潜在力の確保を主張する側は、米国が韓国を日本と同等に待遇していないと残念がっている。米国が核再処理施設などを日本には認め、韓国には認めない理由は「核を兵器化しない」という信頼がないためだ。日本は1967年から核兵器を製造せず、保有せず、持ち込まないという「非核三原則」を堅持しており、被爆経験により国民の核に対する抵抗が強かったため、核武装論自体がタブー視されてきた。2010年代までの日本の世論調査を見ると、核武装に賛成するという回答は10%前後だった。2020年以降、北朝鮮の核能力が高まったことから、ロシアのウクライナ侵攻後の世論調査では核武装賛成の世論が強くなり20%前後となっている。
日本政府が核武装を公に進めず、国民多数が望んでいないため、日本の公論の場では核武装や核潜在力のような言葉がほとんど登場しない。一方、韓国の状況は日本と正反対だ。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は2023年1月、核武装の可能性に言及した。それ以降、与党内部では核武装の主張が立て続けに出ている。最近、与党議員たちは、国会議員会館で核武装と核潜在力の確保を主張する公開セミナーを開いている。同セミナーでは、北朝鮮の核の脅威に対する究極の解決策として、核武装を求める1千万人の署名運動を進めようという提案も出た。
昨年、チェ・ジョンヒョン学術院、峨山政策研究院、統一研究院が実施した世論調査では、独自の核武装に賛成する回答が60%を超えた。2000年以降の各種世論調査の結果で、核武装賛成の回答は60〜70%を記録している。
韓国が核潜在力を確保するためには、まず韓米原子力協定を改定しなければならない。韓国政府が核武装の次善策として核潜在力を確保するという思惑をあわらにし、国民多数が核武装を熱望する状況で、米国が韓米原子力協定の改定に応じるわけがない。
韓国が核潜在力を確保するためには、朝鮮半島非核化と、韓国は核不拡散の模範国だという点を国内外の公論の場で強調し、米国などの国際社会に「韓国は核を兵器化しない」という信頼を与えなければならない。核兵器の開発に向けた小細工という印象を与えかねない核潜在力のような言葉の代わりに、「原子力の平和的利用」を掲げなければならない。今のように騒ぎ立てるだけでは、核潜在力の確保は遠ざかる。