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【社説】尹大統領拘束取り消しを「不当な決定」としながら抗告諦めた検察総長は辞任を

登録:2025-03-10 06:47 修正:2025-03-10 08:05
シム・ウジョン検察総長が昨年9月18日、ソウル龍山の大統領室庁舎で、尹錫悦大統領から任命状を受け取っている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓国検察が裁判所の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領拘束取り消し決定に対する「即時抗告」を諦めた。これで尹大統領は、不拘束状態で内乱罪一審裁判と憲法裁判所の弾劾審判を受けることになった。尹大統領の命令に従って内乱罪の被告になった軍人と警察の高位職のうち、病気による裁量保釈で釈放されたチョ・ジホ警察庁長を除けば、全員が拘束されて裁判を受けている中、尹大統領の釈放は公平性に反するだけでなく、法の究極的目的である正義の実現にも合わない奇形的な結果だ。

 最高検察庁は8日、シム・ウジョン検察総長が裁判所の拘束取り消し決定を尊重し、尹大統領の釈放を指揮したとし、「即時抗告」を行わないことにしたと発表した。「裁判所の保釈決定や拘束執行停止決定など身柄拘束と関連した」検事の即時抗告が憲法裁判所から違憲決定を受けるなど、憲法が定めた令状主義原則を考慮したためだという理由からだ。それと共に「拘束期間の算定などに対する裁判所の判断は、現行の法律規定はもちろん、長い間裁判所と検察で作られてきた実務例にも合致しない不当な決定であるため、即時抗告を通じて是正すべきという特別捜査本部の意見があった」とし、「本案の裁判所に積極的に意見を開陳するなど対応するよう指示した」と補足した。

 全くつじつまが合わない詭弁だ。保釈や拘束の執行停止は、被告人が病気になった時や両親が死亡した時など特別な事由があった場合、居住地の制限や証拠隠滅の恐れを払拭する条件を付けて裁判所が被告人を一時的に釈放することだ。これが検事の即時抗告によって決定の執行が保留された場合、令状主義の原則を傷つける側面があるのは事実だ。憲法裁の違憲決定は、そのような点を考えたものだ。しかし、裁判所の今回の拘束取り消し決定は、拘束期間の算定と高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査範囲など、手続きの適正性に関する判断によるもので、保釈や拘束の執行停止の決定とは全く性格が異なる。しかも、現行の法律によって可能な権限の行使を検察自ら放棄したという点で、異例のことだと言わざるを得ない。

 特に検察が自ら指摘したように、拘束期間の算定の場合、これまで一度も日付ではなく時間で計算したことがないが、裁判所が突然従来の慣行と合意を破り「時間計算法」を持ち出した。「不当な決定」と判断したなら、当然即時抗告をすべきだった。公捜処の内乱罪捜査権限も裁判所の令状発給ですでに何度も認められてきた。にもかかわらず、ソウル中央地裁刑事合議25部(チ・グィヨン部長判事)は、これに対して最高裁など上級審の判断が必要だという決定を下した。たとえ納得しがたい決定だとしても、検察が裁判所の決定趣旨を本当に尊重したならば、当然即時抗告をして上級審の判断を受けるべきだった。

 しかも、シム総長は起訴を控えて突然「全国検事長会議」を開き、拘束期間延長を2回も請求するなど、無駄に時間を引き延ばして(拘束時間満了後に起訴したという裁判所の判断の)口実を提供した。これだから、尹大統領に対する恩返しの意味で、わざと事を企てたのではないかという批判の声があがるのではないか。シム総長は、今回の事態に責任を持って直ちに辞任すべきだ。特検による捜査も覚悟しなければならないだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1186096.html韓国語原文入力: 2025-03-09 18:38
訳H.J

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