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[社説]「被疑者」駐豪大使の帰国のために急ごしらえの会議、国の恥で税金の無駄遣い

登録:2024-03-23 06:31 修正:2024-03-23 08:29
イ・ジョンソプ駐オーストラリア大使が21日午前、仁川国際空港を通じて入国した後、記者団の質問を受けながら移動している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 海兵隊のC上等兵殉職事件に外圧を働いた容疑で高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査を受けていた中、大使に任命されて出国したイ・ジョンソプ駐オーストラリア大使が、21日に帰国した。イ大使は「防衛産業協力に関する主要国公館長会議に出席するため帰国した」とし、「滞在期間中に公捜処の日程がうまく調整され調査を受ける機会があればと思う」と述べた。イ大使のいう公館長会議は、22日になってようやく確定した。早期帰国の「パフォーマンス」のための急ごしらえで用意したものではないかという疑念を拭えない。突如帰国して、公捜処に調査日程を合わせるように圧力をかけることも、捜査を受ける公職者として居直った態度だ。

 25日に開かれる防衛産業協力に関する公館長会議には中東や欧州など6カ国の駐在大使が出席する。突発的な状況があるわけでもないのに、このように多くの大使を帰国させる会議を5日前に確定するのは、常識的に納得しがたい。昨年2回開かれた防衛産業輸出関係網会議の場合、在外公館長らはオンラインで参加した。わずか1カ月後には定例公館長会議も予定されている。当初、イ大使もこの時に帰国するとみられていた。イ大使の任命・出国が総選挙の悪材料に飛び火したことを受け、火消し用に早期帰国の名目を作るため、急ごしらえで会議を用意したとしか考えられない。重要な犯罪被疑者を大使に任命したこと自体も国格を損ねることだが、政治的必要性により出国から11日で早期帰国させるとは、国の恥さらしもいいところだ。6カ国の大使の帰国に伴う税金の無駄遣いも少なくないだろう。

 現在公捜処は、事件当時の国防部次官や法務管理官などイ大使の下級者に対する調査もまだ終わっていない状態だ。今すぐ調査をしろというのは、ずさんな調査をしろという要求に他ならない。昨年、野党「共に民主党」の現金ばらまき疑惑で捜査を受けた「松の木党」のソン・ヨンギル代表が、迅速な調査を受けるために自ら出頭した時、検察は「(呼び出し調査は)一方的に要求あるいは催促するような事案ではない。こうした行動を繰り返すのは、法的・政治的責任を避けるためとしか考えられない」という反応を示した。与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長も昨年、民主党のイ・ジェミョン代表と検察の呼び出し調査の日程をめぐる押し問答に対し「戦略を練るかのようにいつ(調査に)出ると通知するのは、捜査に臨む態度ではない」と述べた。そう批判していたハン委員長が、公捜処に早期の呼び出し調査を圧迫するのは自家撞着(自分で自分の言動に反する行為をすること)だ。

 辞任の要求を避けるためのイ大使の苦肉の策は、捜査外圧疑惑をさらに膨らませ、国民の怒りを煽るだけだという点を、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とイ大使は直視しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1133336.html韓国語原文入力:2024-03-22 13:46
訳H.J

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