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[社説]韓国の医学部教授たち、医療破局を防ぐためと言いながら集団辞職とは

登録:2024-03-18 08:09 修正:2024-03-18 09:14
国立中央医療院のチュ・ヨンス院長は17日の記者会見で、専攻医の集団辞職を擁護する医師の態度は不適切だと指摘しつつ、専攻医に現場復帰を求めた/聯合ニュース

 専攻医に続いて医学部の教授たちも、25日から辞表を提出する集団行動を起こすことを決めた。学ぶ身分である専攻医の離脱だけでも患者の直面する被害は少なくないが、緊急手術を執刀する教授までもが集団で病院を離れてしまえば、医療大乱は避けられない。政府と専攻医の対話を仲裁する役割を果たすべき医学部の教授たちが、さらなる集団行動で国民の不安を高めることがあってはならない。

 20大学の医学部が参加している全国医学部教授非常対策委員会(非対委)は、15日のオンライン会議で今後の対応策について議論した。16大学は圧倒的多数の賛成で25日から辞表を提出することを決め、残りの4大学所は意見を集約しているという。教授たちが辞表を提出することにした日は、行政処分の事前通知を受けた専攻医たちが意見提出できる最後の日だ。その日までに意見を提出しないと、政府の職権で免許が停止されうる。教え子たちに病院復帰を求めるのではなく、集団辞職に参加するというのだ。

 医学部の教授たちは救急・重症患者の多い上級総合病院で最も重要な役割を担う。非対委は「辞職が完了するまで患者の診療には最善を尽くす」としているが、事態の長期化で教授まで集団行動に加わってしまうと、患者の被害は大きくならざるを得ない。先日、韓国ギャラップが実施した世論調査では、「今回の事態(医政対立)で、具合が悪くなっても診療を受けられないのではないかと心配だ」との回答が69%に達した。「医療破局を防ぐために辞表を提出する」という非対委の主張に共感する国民がどれほどいるだろうか。

 幸いなのは、医学部のすべての教授が患者より教え子を優先しているわけではないことだ。脳血管の治療を担う医師が所属している大韓脳血管外科学会などは15日に、今回の事態が解決されるまで患者のそばを離れないと表明している。国立中央医療院のチュ・ヨンス院長は17日、「専攻医の集団行動による患者の健康と命に対する脅威はかなり深刻な水準」だとし、専攻医に病院復帰を求めた。

 医学部の教授たちは専攻医を擁護するのではなく、医政対立を仲裁する役割をもう少し重視すべきだ。先日、ソウル大学医学部の教授は1年後に増員を決定しようと提案したが、政府と専攻医がいずれも冷淡な反応を示したため、事態を動かすことはできなかった。「政府が2千人増員を譲歩すれば合意が実現しうる」ということばかりを前面に押し出すのではなく、国民も医師も幅広く支持しうる医療改革案を示すことに尽力すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1132618.html韓国語原文入力:2024-03-17 18:04
訳D.K

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