医学部の増員に反発した専攻医の医療現場離脱が1カ月近く続く中、一部の専攻医に別の医療機関への求職の動きが見られる。政府は、診療維持命令と業務開始命令は有効であるとし、専攻医が別の医療機関で働くと兼職禁止違反で懲戒を受ける可能性があると警告している。
15日にソウル市医師会のウェブサイトの求人求職掲示板を確認すると、掲示板が作られた今月6日からこの日までの10日間で、270を超える投稿があった。求人もあるが、かなりの数が求職の問い合わせだとみられる。
ほとんどが非公開であるため具体的な内容は確認できないが、投稿者たちはタイトルで自身のことを「辞職した専攻医」だと紹介しつつ、「職を探している」と述べている。一部の投稿者は「辞職した整形外科の専攻 職を探しています」、「今年卒業、その後の任用を放棄した予備インターン 職を探しています」、「私は峨山(アサン)病院の専攻医 仕事を求めます」などと記して求職活動している。
この掲示板には誰もが書き込めるが、書き込みの内容は管理者だけが見られるようになっている。ソウル市医師会の関係者はハンギョレに「掲示板を通じて求人求職が実現した例はない」と説明した。
専攻医たちは政府の医学部増員方針に反発し、先月19日に集団辞職を開始。彼らは「雇用期間の約定がない場合、当事者が契約解除を通告すれば1カ月後から解除の効力が生じる」とする民法660条を根拠に、求職活動をおこなっているとみられる。病院が辞表を受理していなくても、この条項にもとづいて契約が解除されたと見なせる、との主張だ。
しかし政府は、専攻医は4年など複数年の労働契約を結んでいるため、この条項の適用対象ではないと反論している。保健福祉部のパク・ミンス第2次官は前日のブリーフィングで、「政府は医療法上の診療維持命令と業務開始命令を下しており、今も有効に発効されている。(専攻医が辞表を提出してから)1カ月が過ぎたから辞表に効力が生じるというのは事実ではない」と述べている。
それまでの勤務先の病院を離脱して別の医療機関で働くことも兼職禁止違反だ、というのが福祉部の判断だ。福祉部のチョン・ビョンワン保健医療政策室長はこの日のブリーフィングで、「現在、10人弱の専攻医が別の医療機関に重複して人材申告された事例が把握されている」とし、「研修中の専攻医が医療機関を開設したり、別の病院で兼職勤務したりすると、研修規則に則って研修病院長から懲戒されうる。他人名義で処方箋やカルテを作成した場合は医療法に則って処罰されるだけでなく、専攻医を雇用した開院医も刑法に則って処罰されうる」と述べた。
大韓医師協会(医協)は、専攻医であっても1年が過ぎれば辞表を提出し、労働契約を解約できると反論した。医協非常対策委員会のチュ・スホ報道宣伝委員長はこの日のブリーフィングで、「最高裁の判例によると、1年を超過する労働契約を締結していたとしても、労働者は1年経過後にはいつでもその契約を解除できる」とし、「今回の事態で不当な圧力や処分を受けている専攻医などの会員たちを、権益保護の観点から法律的、経済的に支援していく」と語った。