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[社説]「大統領夫人のブランドバッグ」で迷走した韓国与党非常対策委の1カ月

登録:2024-01-22 08:19 修正:2024-01-27 08:31
与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長が19日、ソウル中区の情報通信技術専門企業での「共にするAIの未来」民党政懇談会の終了後、記者団の質問に答えている/聯合ニュース

 ハン・ドンフン前法務部長官が与党「国民の力」の非常対策委員長への就任を受諾したのは先月21日。それから1カ月が過ぎた。初日から共存と協治を語る代わりに敵対的な言葉で野党を批判したハン委員長は、連日全国の主要都市を回りつつ、個人的な縁を前面に押し出して支持を訴えた。しかし与党の支持率は足踏み状態だ。大統領室と与党の主従関係にも大きな変化はない。特に国民的関心事である大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の「ブランドバッグ」授受については、これまでのところ「無批判的かばいだて」以外に示したものがない。ハン委員長が推薦したキム・ギョンユル非常対策委員が「キム・ゴンヒ・リスクを解決しなければならない」と述べて注目されたが、ハン委員長がこれについて直接言及したことはない。

 このようなさなか、今月21日、大統領室がハン委員長に非常対策委員長職の辞任を要求したとSBSが報道した。この報道を受けハン委員長は「国民を見て踏み出した道、やるべきことをやります」との立場を明らかにした。すると再び大統領室は「非常対策委員長の去就問題は龍山(ヨンサン=大統領室)が関与すべきことではない」と答えた。まだ正確な状況を完全に把握することは難しい。

 ただし、大統領室はこの日もキム女史の疑惑について「わなをしかけて窮地に追い込むという計画の下に進められた、というのが事件の本質」との考えを維持した。キム女史の行為は「キム・ヨンラン法(請託禁止法)」違反が明らかに疑われる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も書面での届け出、返却などの義務を果たしておらず、法違反に当たる。検察がこの事件を却下できず捜査部署に割り当てたことだけを見ても、それが分かる。

 ハン委員長は「法の前に例外はあってはならない」と語ってきた。しかし、キム女史の行為だけは常に「例外」として扱ってきた。最初は「隠しカメラを用いた政治工作」という詭弁(きべん)で抗ったかと思えば、その次は内容がよく分からないとはぐらかし、また別の席では回答を避けた。ハン委員長は18日になってようやく「国民の目線」と「心配」に言及した。冷ややかな世論を意識した与党内の首都圏の総選挙出馬者たちが問題を提起してからだ。

 ハン委員長は非常対策委員長への就任からこれまで、不逮捕特権の放棄、禁固刑以上の議員の裁判中の歳費返却、議員定数削減、出版記念会の禁止など、「周辺部」の改革ばかりを扱っている。この日の大統領室発の報道についても、ハン委員長が明らかにすべきなのは非常対策委員長職にとどまるかどうかではない。真っ先に解決すべきなのは、大統領室と与党の関係をどうするのか、そしてキム・ゴンヒ女史のブランドバッグ事件にどのような立場を示すのか、ということだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1125280.html韓国語原文入力:2024-01-21 18:02
訳D.K

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