尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のオランダ国賓訪問の儀典を調整する過程で、韓国側の過度な要求に対し、オランダ側が韓国大使を呼び出したことが分かった。大統領室が「半導体同盟」の成果として広報しようとした今回の訪問が、むしろ国益と国の品格を損ねたのではないか。
尹大統領の国賓訪問(11~15日)を控え、オランダ政府は1日、チェ・ヒョンチャン駐オランダ大使を呼び出した。オランダ政府は、韓国が警護のために必要だとして訪問地のエレベーターの面積まで要求し、特に半導体装置メーカー「ASML」の機密施設である「クリーンルーム」の視察日程に関して決められた人数以上の受け入れを要求したことなどに懸念を示した。「中央日報」が15日付で報じた。韓国外交部は「(呼び出しではなく)調整のための協議だ」と反論したが、尹大統領夫妻の儀典・警護をオランダ側と協議する過程で、両国の間にかなりの意見の相違があり、調整がしっかり行われず、オランダ側が韓国大使を呼んだのは明らかであるようだ。
今回のオランダ訪問は世論の厳しい視線の中で行われた。尹大統領夫妻は英国とフランスを国賓訪問してから約15日後にオランダを訪れた。大統領室は「半導体同盟」の成果だとして大々的に広報したが、すでにサムスン電子が長い間進めてきた協力事業を大統領の業績であるかのようにアピールしたという指摘を免れない。大統領室はASMLのクリーンルームを外国首脳としては初めて訪問したことを前面に掲げたが、結局その無理な日程を決める過程でオランダ側と隔たりが大きくなったわけだ。尹大統領が訪問しなくともうまくいっている事業を、自分の功績にしようとし、かえって韓国半導体産業を妨げる行為をしたのではないか。
尹大統領夫妻は今年策定された外遊の予算249億ウォン(約27億円)の2倍を超える578億ウォン(約63億円)を使った。月に1度以上外遊に出かけているが、釜山万博誘致戦での惨敗でも克明に表れたように、それにふさわしい外交成果を上げているかどうかは不透明だ。また、尹大統領は先月24日、釜山に万博を誘致するため、フランスのパリを訪問した際には、サムスン電子のイ・ジェヨン会長など財閥トップらを呼んで長時間に及ぶ酒席を設けたことも確認された。ほぼすべての外遊に同行するキム・ゴンヒ女史をめぐっては、ブランド物ショッピングなど外遊のたびに問題が起きている。
大統領室と外交部は、過剰な儀典を要求するあまり大使が呼ばれる事態にまで至ったという今回の疑惑を、「協議」という言葉でうやむやにせず、しっかり解明しなければならない。また、成果も不明で予算も過度な国賓訪問を減らし、キム・ゴンヒ女史の不要な同行も控えるべきだ。