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[社説]目の前の空白よりまともな最高裁長官選びが重要だ

登録:2023-10-06 06:16 修正:2023-10-06 07:33
イ・ギュニョン最高裁長官候補が先月20日に開かれた国会人事聴聞会で質問に答えている/聯合ニュース

 韓国国会が6日、本会議を開き、イ・ギュニョン最高裁長官候補に対する任命同意案を表決する。イ候補が6年任期の司法部の首長として適任者かどうかを判定する最終手続きである。多数党である野党「共に民主党」が否決に傾いており、国会の同意を得るのは容易ではないものとみられる。民主党は本会議直前の議員総会で反対投票を党の方針にするかどうかを決める予定だ。

 このように表決の見通しが暗くなったことを受け、与党「国民の力」は「司法府の空白=国民の被害」という論理で野党を圧迫している。キム・ミョンス前最高裁長官が退任した先月24日以降、最高裁長官職が空席になっており、この空白が長くなった場合、裁判の遅延など国民の被害に繋がるという主張だ。「政府と与党の足を引っ張る」、「司法府の麻痺」という非難も加えている。イ候補も5日、予定になかった立場表明文を発表し「最高裁長官の空白で(裁判と人事など)主な機能の多くが正常に行われていない」と述べた。今回の任命同意案の可決を呼びかけたわけだ。

 しかし、イ候補はすでにあまりにも多くの欠陥が見つかり、不適格者であることが明らかになった。財産申告の漏れ、贈与税の脱税、農地法違反、「親の七光り」による子どもへの特恵など、歴代どの最高裁長官候補にもなかった疑惑が次々と持ち上がった。そのうち一つが問題になっても、最高裁長官はおろか下位公職に就くにも不適切な内容だ。イ候補には、先月19日から2日間にわたって開かれた国会人事聴聞会を通じて、疑惑を解消し立法府の同意を求める機会があった。にもかかわらず、聴聞会期間中「私は知らなかった」と答えるとともに、辻褄のあわない釈明で終始責任逃れと回避に回る姿を見せた。イ候補はこの日発表した立場表明文で「申し訳ない」と謝ったが、時すでに遅しだった。イ候補を「原則と正義、常識に基づいた最高裁長官の適任者」だと評した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の指名の辞は虚言となった。

 今国会でイ候補の任命同意案が否決されれば、1988年の盧泰愚(ノ・テウ)政権時代のチョン・ギスン候補以来初めてとなる。この「35年ぶりの空白」が野党にとっては負担としてのしかかるかもしれない。しかし、最高裁長官の重大な権限と責任を考えれば、慎重ながらも果敢な表決が求められる。特に次期最高裁長官は、尹大統領の任期中にほとんどが変わる予定の最高裁判事と憲法裁判所の裁判官3分の1の任命推薦権を行使する。各級の裁判官を任命するのも最高裁長官の役目だ。「不適格者の6年間」を耐え続けるよりは、適格者を探すためのしばらくの空白の方が、国民のためにはより良い選択かもしれない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1111014.html韓国語原文入力:2023-10-06 02:39
訳H.J

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