イ・ギュニョン最高裁(大法院)長官候補の国会での人事聴聞会が20日に終わり、国会で承認されるかどうかに関心が集まっている。最高裁長官任命のカギを握っている野党「共に民主党」の内部では、財産の申告漏れ、贈与税の脱税などの疑惑が持たれているイ候補は、司法府の長として不適格だとの意見が優勢であるため、任命同意案の可決は難しい可能性があるとの見通しが示されている。最高裁長官の不在が長期化する可能性も提起されている。
国会人事聴聞特別委員会に所属するある民主党議員は、「イ候補はこれまで人権中心の判決を下しておらず、国民の目線に合った司法改革の方向性も提示できていない」とし、「(聴聞会の過程で)10億ウォンほどの非上場株の申告漏れなどの疑惑も解消されていないため、国会の任命同意を得るのは難しいと思われる」と述べた。国会法制司法委員会に所属する民主党議員も「イ候補は司法府の独立性を保障し、構成員を包容すべき長として適した人事とは考えられない」と語った。民主党はこの日、国会で行われた「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権暴政・検察独裁阻止総力闘争大会」で、イ候補の候補辞退を求める決議をあげた。各部や処(省庁)の長官とは異なり、最高裁長官は国会の同意を得て大統領が任命するため、イ候補者の承認のカギは事実上民主党が握っている。
一方では、最高裁長官がかなりの期間不在となりうるという分析も示されている。与野党は21日に、イ候補の人事聴聞の経過報告書の採択をめぐって議論を始める予定だが、合意はできないだろうとの見方が優勢だ。たとえ報告書が採択されても、最高裁長官の任命同意案が国会で可決されるには「在籍議員の過半数の出席、出席議員の過半数の同意」が必要となることから、与党が単独で任命同意案の本会議への上程を要求する可能性も低い。先に尹錫悦大統領が指名したオ・ソクチュン最高裁判事の場合は、キム・ミョンス最高裁長官による任命請求から国会本会議での任命同意案の可決までに119日かかっている。
この過程で、「司法府の長の不在」の責任をめぐる与野党の攻防も激しくなるものとみられる。民主党の院内指導部の関係者は、「党内には、最高裁長官が不在となったとしても適切な人物を大統領が任命することこそ正しいという意見がある。任命が遅れた場合、与党がこの責任は民主党にあると言う可能性があるが、そもそも大統領が不適格な人物を最高裁長官に指名したこと自体が問題だ」と述べた。