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[コラム]「尹錫悦外交」の前に立つ「進歩外交」の競争力

登録:2023-09-25 06:35 修正:2023-09-25 07:15
アジア競技大会の開会式出席のため中国を訪問したハン・ドクス首相が23日午後、杭州の西湖国賓館で中国の習近平国家主席と面会し、会談場所に移動している=国務総理室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、「外交大統領」のイメージ作りに力を入れている。韓日の「過去の歴史」を消し去り、韓日関係の急速な密着によって韓米日「準同盟化」の第一歩を踏みだし、NATO(北大西洋条約機構)や主要7カ国(G7)、国連総会などで「自由の闘士」として声を強めている。

 尹大統領はなぜ外交をアピールするのか。まず、政府に経済危機を解決する能力がない現実から世論の視線をそらそうとしている。輸出不振や産業競争力の低下、税収不足、国民の暮らしの危機が強まるほど、「決断力のある外交大統領」のイメージを強調することによりいっそう力を入れている。一方では、外交安全保障を歴史・理念戦争と結びつけ、野党と進歩勢力を「親北朝鮮・親中・反日・共産全体主義勢力」に追い込もうとする意図も明らかだ。同時に、「韓米日関係を強化することで、中国も韓国に力を入れる」という成果を出そうとしている。尹大統領が中国の李強首相と会談したのに続き、ハン・ドクス首相が23日、杭州で中国の習近平国家主席と面談した。韓中日首脳会談を経て、習近平主席の訪韓などにつなげようとしている。

 これに対する反論も、当然強い。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は、9・19共同宣言5周年を迎え、「『安全保障と経済は保守政権の方が良い』という『作られた神話』から脱すべきだ」だとして、尹錫悦政権の「旧時代的で対決的な冷戦理念」を強く批判した。尹錫悦政権の外交は、世論を説得することなく韓米日一辺倒の外交に突き進み、朝鮮半島を米中軍事対立の最前線に立たせた。極右の国防長官候補者の指名などは、状況をよりいっそう危険にさせる。だが、「安全保障は保守の方が良いという作られた神話」から脱するためには、「進歩政権の外交」も、急速に変化している国際秩序を深く分析し、説得力ある解決策を提示しなければならない。特に、北朝鮮核問題と中国に対する質問に答えなければならない。

 2018年9月、南北首脳が平壌(ピョンヤン)で首脳会談を行い、文在寅大統領(当時)が15万の平壌市民の前で演説をした歴史的瞬間があった。だが、5年たった今、北朝鮮は韓国との対話を拒否するだけでなく、戦術核で韓国を攻撃すると脅し、核とミサイルの開発を進めている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談し、朝ロ密着と危険な「武器・軍事技術」取引のシグナルを発信した。

 北朝鮮の変化は、尹錫悦政権の韓米日密着外交よりはるか前に始まった。過去30年間、北朝鮮は核開発をテコにした米国との大胆な交渉で経済・安全保障問題を解決するという構想を持っており、2018~2019年の南北、朝米首脳外交は、それを実現させるかのようみえた。だが、2019年2月のハノイでの朝米首脳会談が「ノーディール」で終わった後、北朝鮮は米国との取引は不可能だという結論を下し、韓国の仲裁者としての役割に極度の不信と怒りを示した。その結果、核の脅威の加速化の道によりいっそう突き進むことになった。韓国を狙った北朝鮮の戦術核の脅しと軍事訓練が繰り返される間、当時の与党だった「共に民主党」は、これに対する適切な立場を示さなかった。2018~2019年の北朝鮮との首脳外交の過程と失敗の原因を正確に振り返り、既存の枠組みでは北朝鮮核問題を解決することが難しくなった現実を認めたうえで、代案を出さなければならない。

 金正恩委員長の最近のロシア訪問でみられるように、北朝鮮核危機は、ロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾武力占領の可能性と結びついているという点で、はるかに深刻かつ危険だ。中国と世界システムを研究してきた中央大学のペク・スンウク教授は、著書『連結した危機』で、新自由主義の危機とそれによる国際秩序の混乱、中国の「社会主義」の変化が朝鮮半島に及ぼす意味を細かくみて対応することを提案する。習近平国家主席の政権発足後、強力な権威主義によって積み重なった矛盾を縫合しようとする試みが生じ、「中華民族の偉大な復興」を掲げて台湾統一を必ず達成すべき課題として推進することで、東アジアの秩序を揺さぶる震源地となっているということだ。中国のこうした変化を正面から認識しなければ、「バランス外交」は「意志の過剰」で終わらざるをえない。北朝鮮の核の脅威を抑制するためには、中国をどのように説得して圧力をかけるのか、東アジアの平和を守り中国を排除しない平等な秩序を作るためには、どのような「合従連衡」が必要なのか、中国で抑圧されている人たちに対してどのような立場を取るのか、「進歩政権の答え」を出さなければならない。

 尹錫悦外交を懸念するのであれば、それを越える進歩外交の競争力で世論を説得しなければならない。最も暗い政治の時間に、刷新の努力だけが希望の突破口を作ることができる。

//ハンギョレ新聞社

パク・ミンヒ|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1109825.html韓国語原文入力:2023-09-25 02:37
訳M.S

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